ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

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第421話 キャンバスのゆくえ at 1996/1/6

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『というわけで、だ――』


 やたらと威勢のいい声が電話の向こう側から響き渡った。
 コトセである。


『ようやくフルメンバーでの「会議」復活というわけだ! さて、正月はどうだったかね?』

「お前はお昼のバラエティ番組の司会者か。タモリか」

『まあまあ。そう憎まれ口を叩くな。ただでさえ陰気臭いムードを晴れさせようとだな――』

「誰が陰気臭いのよ。陰気臭いのはケンタだけでしょ?」

「おいおいおい……。メッタ打ちだな、僕……。サンドバッグかよ」


 ただでさえ辛辣なメンバーが電話越しにいるってのに、こっち側にもいると来た。


「……あのな? 僕をいじめて楽しむ会なら、早めに帰らせてもらうぞ?」

『待て待て待て! ただの冗談だろうが。軽めのジャブだろうが。いちいち気にするでない』


 冗談でいじめられる方の身にもなってみるがいい。
 が、しかたなく溜息をついて座り直すことにする。


『こほん……では、本題に入ろう。まず、私から報告だが、水無月家は町田天満宮に初詣だ』

「で、どうだった?」

『ハズレだな……。何も感じなかった。そっちは菅原神社に行ったのだろう? 二人でか?』



「「違う(って!)(から!)」」



『ハモるなハモるな。新年早々、仲がいいところを見せつけなくてもだな』

「あー! うるさいうるさい! ……ともかく報告としては、こっちも収穫ゼロよ!」


 なんか文句あんの!? と有無を言わせない口調でロコは言い切り、ついでに僕の方を見て、なんか文句あんの!? と無言で凄んできた。すっかり気圧された僕は、おどおどと手を振る。


『ふぅむ……。では、町田三天神の残りひとつ、「南大谷天神社」にでも行ってみようかね?』

「いや、それはたぶん無駄足だと思う。あの神社は常に誰かいるようなオヤシロじゃないから」

「そうなの? くわしいわね、ケンタ」

「昔さ、高校時代の友だちが……って、今だと未来のハナシか。ややこしいな、まったく――」


 遠い記憶にあるけれど、まだこの時点では起こっていないハナシ。ひさびさに自分たちが『リトライ』中なのだと実感する。この先の世界線で起こるかまだわからないハナシをする。


「友だちの友だちが『南大谷天神社』のすぐ近所に住んでいるんだ。彼からそう聞いたんだよ」

『ほう? それで困らんのかね? つまりだ……まつりごとやらの何か用事があった時などに?』

「そういう時は『菅原神社までご連絡ください』って書いてあるんだそうだ。御朱印とかもね」

「じゃあ、ホントに誰もいないのね、普段は」

「うん。本殿とかの建物も、多くも大きくもないしね。除外していいと思うよ。あそこは違う」

『ふうむ――』


 コトセがむっつりと考え込んだような声を出した。


『やはりケンタの推測どおり「リトライ」のたびごとにパパが奉納する神社が違っているのかもしれないな。なにか規則性はないものかと、同じ菅原道真公を奉る神社に目をつけたが……』

「アテが外れたよ。完全に」

「この前描きはじめたっていう絵が完成した時に、ツッキーパパを尾行する、っていうのは?」

『実はな……あの絵はすでに水無月家から消え去っているのだよ』

「お――おいおいおい! そのハナシ、僕も聞いてないぞ!?」


 さすがに仰天してしまった。ロコと似たような案を考えていただけに、コトセには定期的に進捗度合いを報告して欲しいとお願いしてあっただけに、計画が台無しになった焦りを感じる。


「この前の報告だと、当分完成しないだろう、ってハナシだったじゃないかよ、コトセ!?」

『ま――待て待て! 私の言葉に嘘などない! 未完成だというのに消えてしまったのだ!』


 まさかとは思うが、笙パパをかばって――そんな心配は杞憂だったようだ。


「……ど、どういうことよ?」

『私だって知りたいくらいだ。パパは私に「あの絵だけは特別なんだ」と言っていたが……』

「ツッキーパパが夜に外出するのは、たしか毎週金曜日だったよな? よし、だったら――」


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