ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

文字の大きさ
471 / 539

第469話 ふーん、モテるんだね、ふーん at 1996/2/16

しおりを挟む
「これは……どういうことなの……カナ? ケンタ君?」

「ちょ――ちょっと待ってみようか、スミちゃん! 一旦、深呼吸とかしてみるのも――!」



 すぅ――はぁ――。



「これは……どういうことなの……カナ?? ケンタ君??(圧)」


 ダメだ。深呼吸をしたことで脳に酸素がくまなく行き渡り、思考に思考を重ねた上で、あらためてもう一度しっかりはっきりキレていた。同じセリフなのに圧力の密度が倍増している。


「ええと、ええと――! ぼっ、僕にも状況がちっともわかってなくて――!!」


 なぜか僕の机の上には。

 大量の赤やピンクの包装紙でていねいにかわいくラッピングされた小さな箱が置いてあり。



 試しにひとつ、開けてみたところ――。



『カッコよすぎです! ひとめぼれしちゃいました! 一年ですが、センパイの彼女に――』



 びりびりびりびり……。



 やたらと丸っこい女の子特有の文字で書かれた愛の告白すべてに目を通すか通さないか、という絶妙のタイミングで、となりの席に、むすり、と陣取った『高精度AIシュレッダー:TYPEヒューマン』が細密かつ爆速でラブレターをミリ単位まで粉砕していった。かろうじて最後まで生き残っていた右下に描かれた手書きの天使のイラストが断末魔の叫びをあげて助けを求めていたけれど、僕にはどうすることもできない。なにせ、自分の命が最優先なのである。


「これはー……どういうことなの……カナー?? ケーンーターくーん??(圧)」

「ぼっ! 僕にもさっぱりわからないんだってば! 今朝になったら急に――!」

「あっ! 古ノ森センパイ! このクラスだったんですねっ!♡」

「うぉうぃっ! 誰だよ! 君は!」


 ぐるる……と低く唸りをあげる純美子を片手で押し留めながら、完全初見の下級生らしき子が立っている教室の後ろのドアまで、ずるる、と半ば押し出されるように近づいて尋ねてみる。


「あ、あたしですか!? きゃっ、お話ししちゃった♡ あたしは――――――っていいます」


 肝心な部分が伏せられているわけは、背後に立っている純美子がとっさに耳をふさいでしまったからだ。プライバシーに配慮しすぎだろ。ぐう有能。このあとの会話にも支障が生じる。


「ええと……。で、なんの用なんだい?」

「センパイにチョコを――え、えっと、渡したかったんですけど。……この人、誰なんです?」


 さすがにむっとして睨みつけたが、それをはるかに上回る怒りと嫉妬をはらんだ狂気の瞳で見つめられると、それ以上言葉が出ないらしい。大げさに怖がるそぶりをして僕の両手にすがりつこうとしたが、予告も前触れもなしに噛みつかれそうになって、あわてて手をひっこめた。


「だ、誰っていうか……ぼっ、僕のカノジョ……です」


 仕方なしに僕は言う。
 すると、その後輩ちゃん(仮)は憐みの目で僕を見た。


「はぁ……タイヘンですね、センパイ。あたしなら、すっごい優しくしてあげられますけど?」

「い――っ!? いい! いいからっ! ともかく帰って! ……あ、チョコ、ありがとね!」

「まだ休み時間はありますし、あたしの方はもう少し――」



 GRRRRR……。



「えっとぉー……か、帰りますねー。あは、あははははー……」


 僕の左右の耳元で、かつん! かつん! と繰り返し繰り返し音がする。そのたびいい匂いがするところをみると……あんまり考えたくないけど、純美子が噛みつこうとしているらしい。

 その後輩ちゃんは去り際に名残惜しそうに振り返ると、満面の笑みを浮かべてこう言った。


「バレンタインのヒーロー、古ノ森センパイ♡ ウチのクラスの女子、みんなの憧れですよ♡」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...