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第469話 ふーん、モテるんだね、ふーん at 1996/2/16
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「これは……どういうことなの……カナ? ケンタ君?」
「ちょ――ちょっと待ってみようか、スミちゃん! 一旦、深呼吸とかしてみるのも――!」
すぅ――はぁ――。
「これは……どういうことなの……カナ?? ケンタ君??(圧)」
ダメだ。深呼吸をしたことで脳に酸素がくまなく行き渡り、思考に思考を重ねた上で、あらためてもう一度しっかりはっきりキレていた。同じセリフなのに圧力の密度が倍増している。
「ええと、ええと――! ぼっ、僕にも状況がちっともわかってなくて――!!」
なぜか僕の机の上には。
大量の赤やピンクの包装紙でていねいにかわいくラッピングされた小さな箱が置いてあり。
試しにひとつ、開けてみたところ――。
『カッコよすぎです! ひとめぼれしちゃいました! 一年ですが、センパイの彼女に――』
びりびりびりびり……。
やたらと丸っこい女の子特有の文字で書かれた愛の告白すべてに目を通すか通さないか、という絶妙のタイミングで、となりの席に、むすり、と陣取った『高精度AIシュレッダー:TYPEヒューマン』が細密かつ爆速でラブレターをミリ単位まで粉砕していった。かろうじて最後まで生き残っていた右下に描かれた手書きの天使のイラストが断末魔の叫びをあげて助けを求めていたけれど、僕にはどうすることもできない。なにせ、自分の命が最優先なのである。
「これはー……どういうことなの……カナー?? ケーンーターくーん??(圧)」
「ぼっ! 僕にもさっぱりわからないんだってば! 今朝になったら急に――!」
「あっ! 古ノ森センパイ! このクラスだったんですねっ!♡」
「うぉうぃっ! 誰だよ! 君は!」
ぐるる……と低く唸りをあげる純美子を片手で押し留めながら、完全初見の下級生らしき子が立っている教室の後ろのドアまで、ずるる、と半ば押し出されるように近づいて尋ねてみる。
「あ、あたしですか!? きゃっ、お話ししちゃった♡ あたしは――――――っていいます」
肝心な部分が伏せられているわけは、背後に立っている純美子がとっさに耳をふさいでしまったからだ。プライバシーに配慮しすぎだろ。ぐう有能。このあとの会話にも支障が生じる。
「ええと……。で、なんの用なんだい?」
「センパイにチョコを――え、えっと、渡したかったんですけど。……この人、誰なんです?」
さすがにむっとして睨みつけたが、それをはるかに上回る怒りと嫉妬をはらんだ狂気の瞳で見つめられると、それ以上言葉が出ないらしい。大げさに怖がるそぶりをして僕の両手にすがりつこうとしたが、予告も前触れもなしに噛みつかれそうになって、あわてて手をひっこめた。
「だ、誰っていうか……ぼっ、僕のカノジョ……です」
仕方なしに僕は言う。
すると、その後輩ちゃん(仮)は憐みの目で僕を見た。
「はぁ……タイヘンですね、センパイ。あたしなら、すっごい優しくしてあげられますけど?」
「い――っ!? いい! いいからっ! ともかく帰って! ……あ、チョコ、ありがとね!」
「まだ休み時間はありますし、あたしの方はもう少し――」
GRRRRR……。
「えっとぉー……か、帰りますねー。あは、あははははー……」
僕の左右の耳元で、かつん! かつん! と繰り返し繰り返し音がする。そのたびいい匂いがするところをみると……あんまり考えたくないけど、純美子が噛みつこうとしているらしい。
その後輩ちゃんは去り際に名残惜しそうに振り返ると、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「バレンタインのヒーロー、古ノ森センパイ♡ ウチのクラスの女子、みんなの憧れですよ♡」
「ちょ――ちょっと待ってみようか、スミちゃん! 一旦、深呼吸とかしてみるのも――!」
すぅ――はぁ――。
「これは……どういうことなの……カナ?? ケンタ君??(圧)」
ダメだ。深呼吸をしたことで脳に酸素がくまなく行き渡り、思考に思考を重ねた上で、あらためてもう一度しっかりはっきりキレていた。同じセリフなのに圧力の密度が倍増している。
「ええと、ええと――! ぼっ、僕にも状況がちっともわかってなくて――!!」
なぜか僕の机の上には。
大量の赤やピンクの包装紙でていねいにかわいくラッピングされた小さな箱が置いてあり。
試しにひとつ、開けてみたところ――。
『カッコよすぎです! ひとめぼれしちゃいました! 一年ですが、センパイの彼女に――』
びりびりびりびり……。
やたらと丸っこい女の子特有の文字で書かれた愛の告白すべてに目を通すか通さないか、という絶妙のタイミングで、となりの席に、むすり、と陣取った『高精度AIシュレッダー:TYPEヒューマン』が細密かつ爆速でラブレターをミリ単位まで粉砕していった。かろうじて最後まで生き残っていた右下に描かれた手書きの天使のイラストが断末魔の叫びをあげて助けを求めていたけれど、僕にはどうすることもできない。なにせ、自分の命が最優先なのである。
「これはー……どういうことなの……カナー?? ケーンーターくーん??(圧)」
「ぼっ! 僕にもさっぱりわからないんだってば! 今朝になったら急に――!」
「あっ! 古ノ森センパイ! このクラスだったんですねっ!♡」
「うぉうぃっ! 誰だよ! 君は!」
ぐるる……と低く唸りをあげる純美子を片手で押し留めながら、完全初見の下級生らしき子が立っている教室の後ろのドアまで、ずるる、と半ば押し出されるように近づいて尋ねてみる。
「あ、あたしですか!? きゃっ、お話ししちゃった♡ あたしは――――――っていいます」
肝心な部分が伏せられているわけは、背後に立っている純美子がとっさに耳をふさいでしまったからだ。プライバシーに配慮しすぎだろ。ぐう有能。このあとの会話にも支障が生じる。
「ええと……。で、なんの用なんだい?」
「センパイにチョコを――え、えっと、渡したかったんですけど。……この人、誰なんです?」
さすがにむっとして睨みつけたが、それをはるかに上回る怒りと嫉妬をはらんだ狂気の瞳で見つめられると、それ以上言葉が出ないらしい。大げさに怖がるそぶりをして僕の両手にすがりつこうとしたが、予告も前触れもなしに噛みつかれそうになって、あわてて手をひっこめた。
「だ、誰っていうか……ぼっ、僕のカノジョ……です」
仕方なしに僕は言う。
すると、その後輩ちゃん(仮)は憐みの目で僕を見た。
「はぁ……タイヘンですね、センパイ。あたしなら、すっごい優しくしてあげられますけど?」
「い――っ!? いい! いいからっ! ともかく帰って! ……あ、チョコ、ありがとね!」
「まだ休み時間はありますし、あたしの方はもう少し――」
GRRRRR……。
「えっとぉー……か、帰りますねー。あは、あははははー……」
僕の左右の耳元で、かつん! かつん! と繰り返し繰り返し音がする。そのたびいい匂いがするところをみると……あんまり考えたくないけど、純美子が噛みつこうとしているらしい。
その後輩ちゃんは去り際に名残惜しそうに振り返ると、満面の笑みを浮かべてこう言った。
「バレンタインのヒーロー、古ノ森センパイ♡ ウチのクラスの女子、みんなの憧れですよ♡」
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