66 / 70
65)シユエト <薬屋3>
しおりを挟む
シユエトとアンボメは見知らぬ建物の中の薄暗い廊下に立っている。
さっきまでいた部屋と臭いも違う。肌に感じる風の湿度も違う。
もしかしたら季節も違うのかもしれない。ダンテスクの寝ていた部屋と、この街はかなり離れているのかもしれない。
――帰るときにアルゴが使用した魔法陣だ。奥の階段を上ってくれ。三つ目の扉がマリオンの医療院だ。
急がなくてはいけない。敵の魔法使いよりも先に到着して、全ての準備を終えておく必要がある。さもないと、せっかくの好機を逃すことになる。
シユエトはアンボメの手を乱暴に引っ張って廊下を走る。
――アルゴがここに忍び込んだときに、彼の潜入を手伝うためにマリオンの心を操ったことがある。何度も彼のゲシュタルトを覗いている。勝手はわかっている。今回も手伝えるはずだ。
「ああ、頼むぞ、ダンテスク」
シユエトは扉を開けた。まだ敵の魔法使いがここに到着していないことを祈りながら。
敵の魔法使いがいれば、計画は失敗だ。
それどころか、すぐ戦闘になるだろう。
戦いになれば勝てるわけがない。それは即、全ての崩壊を意味する。
栄光か死か、この扉を開けた瞬間に決するだろう。
シユエトは扉を豪快に開けて、目を見開き、部屋の中を見回した。
部屋には老人が座っているだけだった。
椅子に座り、薬の調合か何かの作業を行っているようであった。
老人は扉を乱暴に開けたシユエトを睨みつけるように見てくる。
「マリオンか、あんた? あ、あんただけか?」
シユエト改めて部屋の中を見渡した。「他に誰もいないよな?」
「お前は誰だ?」
老人が声を荒げる。
「あんたの患者だ。サソリに噛まれたんだ。解毒剤が欲しい。あるかな?」
「お前が私の患者かどうか決めるのは、私だ。今のところ、お前は患者ではないな」
「俺の発言で、あんたの気分を害してしまったのなら謝る。命に関わることだ。急いで欲しい」
「噛まれたのはお前か? 後ろの少女か?」
シユエトの謝罪が効いたのか、それともダンテスクの魔法が効果を上げ始めたのか、老人はさっきよりも医者らしい表情になった。
「あっ、いや、違う。ここには連れてきていない。本当に危険な状態なんだ」
「解毒剤はある。あるぞ。しかしお前が想像している以上に、何種類もの解毒剤がある。違う鍵では部屋は開かないのと同じだ。間違った解毒剤では、何の効果もない」
「南国の珍しいサソリらしい。何という名前だったかな?」
――ボハーチェクという国に生息しているサソリだ。
ダンテスクの声が聞こえる。
「ボハーチェクという国に生息しているサソリだ」
「そうか。あれはサソリの中で最も強い毒を持っている。暗殺や戦闘によく利用されているらしい。あるぞ。高くつくが」
「欲しい」
シユエトは金貨を三枚、テーブルの上に置いた。
「足らないな」
シユエトは更に三枚、金貨を上乗せした。老人が金貨のきらめきを横目で見ながら言った。
「いいだろう、用意しよう」
「ありがたい。ところで調合した薬は何に入れるのだろうか?」
「何に入れるかだって? どういう意味だ?」
老人の視線が怪訝そうに尖った。
「そのままの意味だ。調合した薬は何に入れるのか、教えて欲しい」
すまないが本当に急いでいるんだ! シユエトは焦りを前面に現しながら言う。
「小瓶に入れる。一度飲んだだけでは完治しない。明日も明後日も飲まなければいけないからな」
「なるほど。どの小瓶だ? 見せて欲しい」
「何だと?」
老人の視線が更に鋭く尖った。
シユエトはそれを意に介さずに続ける。
「あんがやらなければいけないのは、その小瓶を俺に見せるだけじゃない。今、俺が語ったこと全てを忘れる必要もある。小瓶の話しも、サソリの話しも、俺がここに来たことすら忘れるんだ」
不承不承ながらも、薬を取りにいこうとしていた老人の足が止まった。
「帰れ、やはりお前は私の患者ではない」
「もうすぐ、あの扉を開けて、新しい患者がやってくるだろう。そいつもサソリの解毒剤を求めるはずだ。その男にその小瓶を必ず手渡すのだ。他の小瓶では駄目だ。絶対にその小瓶にして欲しい」
「お前はさっきからいったい何を言っておるんだ?」
「出来れば、それを患者に渡すとき、手渡ししないほうがいい。テーブルか何かに置いて、向こうに取らせるんだ。さもないと、あんたも死ぬ。さて、ダンテスク、あとは任せるぞ。この老人を上手く操って欲しい」
――シユエト、この老人にこの出来事を忘れさせることは不可能だ。俺の力でも出来ない。
しかし大丈夫だ。驚きの声を上げかけたシユエトを制するように、すぐにダンテスクの声が続く。
――しかし君とこうして会ったこと、サソリの解毒剤を求められたこと、それらの出来事を、奴に向かって言わせないようにすることは出来る。俺の魔法に賭けて、何としても阻んでみせる。安心してくれ。
「わ、わかった、あんたに俺の運命を委ねる」
大丈夫だ、ダンテスクならばやり遂げてくれるだろう。
シユエトはそう思いながら、この部屋で身を潜めるのに最も適したところはどこか探す。
そこにアンボメを押し込んでおかなくてはいけないのだ。
その小瓶にアンボメの魔法をかければ、彼女はもう用済みなので、出来ればダンテスクの部屋に返してしまいところである。
しかしあの魔法使いとの戦いである。まだまだ何が起きるかわからない。彼女の魔法が必要な状況も起きるかもしれない。
それに出来ることならば、この恐るべき魔法使いアンボメを自分の手元から一瞬たりとも離しておきたくない。
とはいえ、勝手に出てこられたら困るから、縛っておいたほうがいいかもしれない。
幸いにも戸棚などがたくさん置かれている。狭苦しい部屋であるが、身を隠せそうな場所はたくさんある。
一方、シユエトはそこに隠れる必要はない。魔法で消えることが出来るから。
敵の魔法使いの気配を近くに感じながら、奴がその小瓶を触った瞬間を待つことが出来る。
さっきまでいた部屋と臭いも違う。肌に感じる風の湿度も違う。
もしかしたら季節も違うのかもしれない。ダンテスクの寝ていた部屋と、この街はかなり離れているのかもしれない。
――帰るときにアルゴが使用した魔法陣だ。奥の階段を上ってくれ。三つ目の扉がマリオンの医療院だ。
急がなくてはいけない。敵の魔法使いよりも先に到着して、全ての準備を終えておく必要がある。さもないと、せっかくの好機を逃すことになる。
シユエトはアンボメの手を乱暴に引っ張って廊下を走る。
――アルゴがここに忍び込んだときに、彼の潜入を手伝うためにマリオンの心を操ったことがある。何度も彼のゲシュタルトを覗いている。勝手はわかっている。今回も手伝えるはずだ。
「ああ、頼むぞ、ダンテスク」
シユエトは扉を開けた。まだ敵の魔法使いがここに到着していないことを祈りながら。
敵の魔法使いがいれば、計画は失敗だ。
それどころか、すぐ戦闘になるだろう。
戦いになれば勝てるわけがない。それは即、全ての崩壊を意味する。
栄光か死か、この扉を開けた瞬間に決するだろう。
シユエトは扉を豪快に開けて、目を見開き、部屋の中を見回した。
部屋には老人が座っているだけだった。
椅子に座り、薬の調合か何かの作業を行っているようであった。
老人は扉を乱暴に開けたシユエトを睨みつけるように見てくる。
「マリオンか、あんた? あ、あんただけか?」
シユエト改めて部屋の中を見渡した。「他に誰もいないよな?」
「お前は誰だ?」
老人が声を荒げる。
「あんたの患者だ。サソリに噛まれたんだ。解毒剤が欲しい。あるかな?」
「お前が私の患者かどうか決めるのは、私だ。今のところ、お前は患者ではないな」
「俺の発言で、あんたの気分を害してしまったのなら謝る。命に関わることだ。急いで欲しい」
「噛まれたのはお前か? 後ろの少女か?」
シユエトの謝罪が効いたのか、それともダンテスクの魔法が効果を上げ始めたのか、老人はさっきよりも医者らしい表情になった。
「あっ、いや、違う。ここには連れてきていない。本当に危険な状態なんだ」
「解毒剤はある。あるぞ。しかしお前が想像している以上に、何種類もの解毒剤がある。違う鍵では部屋は開かないのと同じだ。間違った解毒剤では、何の効果もない」
「南国の珍しいサソリらしい。何という名前だったかな?」
――ボハーチェクという国に生息しているサソリだ。
ダンテスクの声が聞こえる。
「ボハーチェクという国に生息しているサソリだ」
「そうか。あれはサソリの中で最も強い毒を持っている。暗殺や戦闘によく利用されているらしい。あるぞ。高くつくが」
「欲しい」
シユエトは金貨を三枚、テーブルの上に置いた。
「足らないな」
シユエトは更に三枚、金貨を上乗せした。老人が金貨のきらめきを横目で見ながら言った。
「いいだろう、用意しよう」
「ありがたい。ところで調合した薬は何に入れるのだろうか?」
「何に入れるかだって? どういう意味だ?」
老人の視線が怪訝そうに尖った。
「そのままの意味だ。調合した薬は何に入れるのか、教えて欲しい」
すまないが本当に急いでいるんだ! シユエトは焦りを前面に現しながら言う。
「小瓶に入れる。一度飲んだだけでは完治しない。明日も明後日も飲まなければいけないからな」
「なるほど。どの小瓶だ? 見せて欲しい」
「何だと?」
老人の視線が更に鋭く尖った。
シユエトはそれを意に介さずに続ける。
「あんがやらなければいけないのは、その小瓶を俺に見せるだけじゃない。今、俺が語ったこと全てを忘れる必要もある。小瓶の話しも、サソリの話しも、俺がここに来たことすら忘れるんだ」
不承不承ながらも、薬を取りにいこうとしていた老人の足が止まった。
「帰れ、やはりお前は私の患者ではない」
「もうすぐ、あの扉を開けて、新しい患者がやってくるだろう。そいつもサソリの解毒剤を求めるはずだ。その男にその小瓶を必ず手渡すのだ。他の小瓶では駄目だ。絶対にその小瓶にして欲しい」
「お前はさっきからいったい何を言っておるんだ?」
「出来れば、それを患者に渡すとき、手渡ししないほうがいい。テーブルか何かに置いて、向こうに取らせるんだ。さもないと、あんたも死ぬ。さて、ダンテスク、あとは任せるぞ。この老人を上手く操って欲しい」
――シユエト、この老人にこの出来事を忘れさせることは不可能だ。俺の力でも出来ない。
しかし大丈夫だ。驚きの声を上げかけたシユエトを制するように、すぐにダンテスクの声が続く。
――しかし君とこうして会ったこと、サソリの解毒剤を求められたこと、それらの出来事を、奴に向かって言わせないようにすることは出来る。俺の魔法に賭けて、何としても阻んでみせる。安心してくれ。
「わ、わかった、あんたに俺の運命を委ねる」
大丈夫だ、ダンテスクならばやり遂げてくれるだろう。
シユエトはそう思いながら、この部屋で身を潜めるのに最も適したところはどこか探す。
そこにアンボメを押し込んでおかなくてはいけないのだ。
その小瓶にアンボメの魔法をかければ、彼女はもう用済みなので、出来ればダンテスクの部屋に返してしまいところである。
しかしあの魔法使いとの戦いである。まだまだ何が起きるかわからない。彼女の魔法が必要な状況も起きるかもしれない。
それに出来ることならば、この恐るべき魔法使いアンボメを自分の手元から一瞬たりとも離しておきたくない。
とはいえ、勝手に出てこられたら困るから、縛っておいたほうがいいかもしれない。
幸いにも戸棚などがたくさん置かれている。狭苦しい部屋であるが、身を隠せそうな場所はたくさんある。
一方、シユエトはそこに隠れる必要はない。魔法で消えることが出来るから。
敵の魔法使いの気配を近くに感じながら、奴がその小瓶を触った瞬間を待つことが出来る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる