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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第五章 15)改革断行
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「え、今すぐ?」
私はプラーヌスの言葉に耳を疑う。
「ああ。今すぐだ。召使いたちをすぐに開墾に向かわせるんだ。彼らがたむろしている場所に行って命令を出してきてくれ」
いや、僕が直接言いに行こう。
プラーヌスはそう言いながら立ち上がり、階段のほうに向かって歩き出した。
「ちょっと待ってくれよ、プラーヌス。それはあまりに乱暴ではないだろうか。とにかく今、この塔を維持管理するため、どれだけの人員と仕事が必要か調べているわけで、それが終わってからでも遅くないと思うのだけど・・・」
私は急激な展開に対処出来ず、振り返る余裕もなく、後ろ歩きで必死にプラーヌスの横を並走する。
「もう待っていられないと言っているのさ。もちろん、明らかに重要な仕事を担っている者たちは除けばいい。門番や倉庫係、篝火を管理している者、見張り係などはそのまま仕事をさせてもかまわない」
「掃除夫たちは?」
「男も女も関係ない。老人も子供も無関係だ。とりあえず暇そうな奴は全て外で働かせよう。少しの間、塔の掃除が滞っても問題ない。彼らが今までどれほど貢献していたのか、その指標にもなる」
素晴らしいアイデアだ。何だか気分が晴れ晴れにするね。頭痛も収まった気がする。あの陰惨な連中を外に追い出すことも出来るし、あいつらに苦役を強いることも出来る。しかも食料も確保出来るのだ。いったい、何を躊躇することがあるのさ、シャグラン! 最高じゃないか。
プラーヌスは上機嫌だ。プラーヌスが上機嫌だと何だか悪い気はしない。安心感すら覚える。
しかしこのような上機嫌を許していいものであろうか。
「僕には自信がないよ。塔がどんなことになっても責任は持てない」
「責任は僕が引き受ける。君はそれに協力するだけでいい」
「だけど!」
言い出したら聞かないプラーヌスである。説得の言葉も見つけ出せないまま、召使いたちが大勢集まっている北の塔の泉の前に到着した。
そこで女たちは洗濯をしたり、男たちは飲み物を飲みながら談笑したりしている。
ほとんどがゲオルゲ族の者たちである。この塔にずっと昔から住み続けている民族。
肌は褐色、目は細い者が多く、髪の毛は短くて癖毛気味。私たちよりも少し小柄。それらが彼らの特徴だろうか。
南のほうの国からやってきたらしい。この塔の七割か八割が彼らゲオルゲ族で、圧倒的多数派の彼らがこの塔を実質支配していると言ってもいい。ゲオルゲ族が出自ではない他の召使いたちにも、大きな影響力を持っている。
プラーヌスが「塔の召使いども」と呼ぶとき、その対象はゲオルゲ族のことである。
仕事熱心というわけではないが、彼らが仕事をサボタージュし始めたら、この塔を円滑に運営することは難しくなるだろう。
今のところ、なくてはならない存在である。
しかしプラーヌスは当初から、ゲオルゲ族全体に対して芳しい印象を持っていないようだった。ゲオルゲ族のほうもそれを感じ取ってか、彼を慕っている雰囲気はない。
さて、突然、現れたプラーヌスを見て、ゲオルゲ族たちはぴたりと押し黙った。
北の塔の泉がある広場。ここは彼らの安息の場である。そんな場所に、プラーヌスが現れたのである。まるで扉を蹴破るように、ドタドタと足音も高らかに。
明るい笑い声を上げていたゲオルゲ族たちは、まるで一家の食卓に死人が土足で上がり込んできたのを目撃したかのように、静まり返った。
不愉快だという表情を出してはいないが、張り詰めた緊張が走った。
そんな彼らに向かって、少しも気遣う様子を見せず、プラーヌスは冷酷に言い放つ。
「出来れば今日からと言いたいが、もう日が沈んでいる。明日から、君たちの仕事は変わる。塔の周りを開墾してくれ。それが気に入らなければ出ていくがいい」
ゲオルゲ族たちは怪訝な表情で彼を見つめている。
「おっと、君たちには共通語は通じなかったね」
プラーヌスはゲオルゲ族の言葉でもう一度さっきの言葉を繰り返したのであろう、ゲオルゲ族たちはざわざわと騒ぎ始めた。
私はプラーヌスの言葉に耳を疑う。
「ああ。今すぐだ。召使いたちをすぐに開墾に向かわせるんだ。彼らがたむろしている場所に行って命令を出してきてくれ」
いや、僕が直接言いに行こう。
プラーヌスはそう言いながら立ち上がり、階段のほうに向かって歩き出した。
「ちょっと待ってくれよ、プラーヌス。それはあまりに乱暴ではないだろうか。とにかく今、この塔を維持管理するため、どれだけの人員と仕事が必要か調べているわけで、それが終わってからでも遅くないと思うのだけど・・・」
私は急激な展開に対処出来ず、振り返る余裕もなく、後ろ歩きで必死にプラーヌスの横を並走する。
「もう待っていられないと言っているのさ。もちろん、明らかに重要な仕事を担っている者たちは除けばいい。門番や倉庫係、篝火を管理している者、見張り係などはそのまま仕事をさせてもかまわない」
「掃除夫たちは?」
「男も女も関係ない。老人も子供も無関係だ。とりあえず暇そうな奴は全て外で働かせよう。少しの間、塔の掃除が滞っても問題ない。彼らが今までどれほど貢献していたのか、その指標にもなる」
素晴らしいアイデアだ。何だか気分が晴れ晴れにするね。頭痛も収まった気がする。あの陰惨な連中を外に追い出すことも出来るし、あいつらに苦役を強いることも出来る。しかも食料も確保出来るのだ。いったい、何を躊躇することがあるのさ、シャグラン! 最高じゃないか。
プラーヌスは上機嫌だ。プラーヌスが上機嫌だと何だか悪い気はしない。安心感すら覚える。
しかしこのような上機嫌を許していいものであろうか。
「僕には自信がないよ。塔がどんなことになっても責任は持てない」
「責任は僕が引き受ける。君はそれに協力するだけでいい」
「だけど!」
言い出したら聞かないプラーヌスである。説得の言葉も見つけ出せないまま、召使いたちが大勢集まっている北の塔の泉の前に到着した。
そこで女たちは洗濯をしたり、男たちは飲み物を飲みながら談笑したりしている。
ほとんどがゲオルゲ族の者たちである。この塔にずっと昔から住み続けている民族。
肌は褐色、目は細い者が多く、髪の毛は短くて癖毛気味。私たちよりも少し小柄。それらが彼らの特徴だろうか。
南のほうの国からやってきたらしい。この塔の七割か八割が彼らゲオルゲ族で、圧倒的多数派の彼らがこの塔を実質支配していると言ってもいい。ゲオルゲ族が出自ではない他の召使いたちにも、大きな影響力を持っている。
プラーヌスが「塔の召使いども」と呼ぶとき、その対象はゲオルゲ族のことである。
仕事熱心というわけではないが、彼らが仕事をサボタージュし始めたら、この塔を円滑に運営することは難しくなるだろう。
今のところ、なくてはならない存在である。
しかしプラーヌスは当初から、ゲオルゲ族全体に対して芳しい印象を持っていないようだった。ゲオルゲ族のほうもそれを感じ取ってか、彼を慕っている雰囲気はない。
さて、突然、現れたプラーヌスを見て、ゲオルゲ族たちはぴたりと押し黙った。
北の塔の泉がある広場。ここは彼らの安息の場である。そんな場所に、プラーヌスが現れたのである。まるで扉を蹴破るように、ドタドタと足音も高らかに。
明るい笑い声を上げていたゲオルゲ族たちは、まるで一家の食卓に死人が土足で上がり込んできたのを目撃したかのように、静まり返った。
不愉快だという表情を出してはいないが、張り詰めた緊張が走った。
そんな彼らに向かって、少しも気遣う様子を見せず、プラーヌスは冷酷に言い放つ。
「出来れば今日からと言いたいが、もう日が沈んでいる。明日から、君たちの仕事は変わる。塔の周りを開墾してくれ。それが気に入らなければ出ていくがいい」
ゲオルゲ族たちは怪訝な表情で彼を見つめている。
「おっと、君たちには共通語は通じなかったね」
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