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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第一章 8)喧噪
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アリューシア一行の荷物を運びこむ作業が長引いたせいで、いつもよりも眠りにつく時間は遅くなってしまったが、それでも私は習慣通りの決まった時間に起きる。
まあ、無理して起きたというより、この時間に自然と目が覚める体質になっているだけで、別に意志が強いというわけではないのだけど、とはいえ、私が真面目な性格であることは事実なのだろう。
朝起きると、扉の前に朝食が用意されている。私の身の回りの雑用をこなしてくれる召使いが、部屋の前まで持ってきてくれるのである。
朝食を一人きりで素早く食べ、朝の湯浴みを済ませ、身繕いを整え、そして、今日も一日が始まるんだな、なんて感慨を抱きながら中央の塔に向かう。
私の部屋があるのも東の塔だ。
東の塔は中央の塔とは長い回廊でつながっている。その回廊の突き当たりにある鋼鉄製の巨大な扉を開けると、広大なホールに出る。
そのホールは謁見の間の一階下にある。ある意味、このホールが塔の中心地と言えるだろう。
この部屋を通らなければ、プラーヌスの部屋がある西の塔にも、謁見の間にも行くことが出来ないだけでなく、塔から出ることも出来ない。
どこに行くにしてもこのホールを経由しなければいけないのだ。
天井には月と星が描かれた天井画がある。
ホールを囲むように、人の形をした十数体ものもの石像が並んでいる。床には瑞々しい色の切り花が、まるで花壇に植えられているかのように散らばっている。
この塔の内装は本当に無個性で、一つ一つの部屋にこれといった違いがない。
どの塔の、どの部屋に入っても、同じ石の壁が整然と積み上げられているだけといった印象である。
しかしこのホールだけは、他の部屋とかなり趣が違うであろう
その広さも特別ならば、その人の形をした石像も目を惹く。ここに一歩足を踏み入れただけで、誰もが中央のホールだということが認識出来るはずだ。
このホールが、アビュとの待ち合わせ場所であった。
毎朝、ここで彼女と落ち合い、それから一日の仕事が始まる。自然と仕事熱心な召使いも集まってきて、ここで、今日の予定について打ち合わせをするようにもなっていた。
この扉をくぐった瞬間から、私はこの塔のナンバー2として振る舞わなければいけないわけだ。
私は背筋をキリッと伸ばし、回廊とホールを隔てる重い扉を開ける。
しかしそこを開けて、私は目の前の光景に仰天してしまった。まるで別の部屋に通じる扉を間違って開けてしまったのかと思ってしまったほどだ。
普段もそのホールにはそれなりの数の召使いたちが行き来していたが、しかしその日は異常だった。まるでどこかの街の賑わう市場のように、たくさんの人で溢れていたのだ。
「お、おい、アビュ!」
何という喧騒。とてつもないざわめきが耳の中に押し寄せてくる。
私は思いもよらない事態に慌てふためきながら、まず彼女の姿を探す。
塔の召使いたちが、このホールに集まっているわけではななそうだ。ホールにいる人たちは明らかに見慣れない人たちばかりである。着ている服装も様々ならば、年齢もばらばら。金持ちそうな人もいれば、日々の暮らしで精一杯という感じの人もいる。
「ボス、ここよ」
アビュは入り口近くで私を待ち構えてくれていたのか、すぐに私の服の裾をグイッと引っ張ってきた。
「おお、アビュ! これはどういうことなんだ? どうしてこんなに人がいるんだよ?」
私はその喧騒に負けないように、必死に声を張り上げる。
「全員、どっかから来たお客さん。夜中から今朝にかけて、大挙して押しかけてきたんだって。客なんて珍しいから、夜番の門番さんたちが一人のお客さんを中に入れて、ここで待つようにさせたらしいんだけど。それからも続々とやってきて、気がつけばこのあり様。ううん、まだまだ増えるいっぽうよ、さっきも五組くらい到着してた」
まあ、無理して起きたというより、この時間に自然と目が覚める体質になっているだけで、別に意志が強いというわけではないのだけど、とはいえ、私が真面目な性格であることは事実なのだろう。
朝起きると、扉の前に朝食が用意されている。私の身の回りの雑用をこなしてくれる召使いが、部屋の前まで持ってきてくれるのである。
朝食を一人きりで素早く食べ、朝の湯浴みを済ませ、身繕いを整え、そして、今日も一日が始まるんだな、なんて感慨を抱きながら中央の塔に向かう。
私の部屋があるのも東の塔だ。
東の塔は中央の塔とは長い回廊でつながっている。その回廊の突き当たりにある鋼鉄製の巨大な扉を開けると、広大なホールに出る。
そのホールは謁見の間の一階下にある。ある意味、このホールが塔の中心地と言えるだろう。
この部屋を通らなければ、プラーヌスの部屋がある西の塔にも、謁見の間にも行くことが出来ないだけでなく、塔から出ることも出来ない。
どこに行くにしてもこのホールを経由しなければいけないのだ。
天井には月と星が描かれた天井画がある。
ホールを囲むように、人の形をした十数体ものもの石像が並んでいる。床には瑞々しい色の切り花が、まるで花壇に植えられているかのように散らばっている。
この塔の内装は本当に無個性で、一つ一つの部屋にこれといった違いがない。
どの塔の、どの部屋に入っても、同じ石の壁が整然と積み上げられているだけといった印象である。
しかしこのホールだけは、他の部屋とかなり趣が違うであろう
その広さも特別ならば、その人の形をした石像も目を惹く。ここに一歩足を踏み入れただけで、誰もが中央のホールだということが認識出来るはずだ。
このホールが、アビュとの待ち合わせ場所であった。
毎朝、ここで彼女と落ち合い、それから一日の仕事が始まる。自然と仕事熱心な召使いも集まってきて、ここで、今日の予定について打ち合わせをするようにもなっていた。
この扉をくぐった瞬間から、私はこの塔のナンバー2として振る舞わなければいけないわけだ。
私は背筋をキリッと伸ばし、回廊とホールを隔てる重い扉を開ける。
しかしそこを開けて、私は目の前の光景に仰天してしまった。まるで別の部屋に通じる扉を間違って開けてしまったのかと思ってしまったほどだ。
普段もそのホールにはそれなりの数の召使いたちが行き来していたが、しかしその日は異常だった。まるでどこかの街の賑わう市場のように、たくさんの人で溢れていたのだ。
「お、おい、アビュ!」
何という喧騒。とてつもないざわめきが耳の中に押し寄せてくる。
私は思いもよらない事態に慌てふためきながら、まず彼女の姿を探す。
塔の召使いたちが、このホールに集まっているわけではななそうだ。ホールにいる人たちは明らかに見慣れない人たちばかりである。着ている服装も様々ならば、年齢もばらばら。金持ちそうな人もいれば、日々の暮らしで精一杯という感じの人もいる。
「ボス、ここよ」
アビュは入り口近くで私を待ち構えてくれていたのか、すぐに私の服の裾をグイッと引っ張ってきた。
「おお、アビュ! これはどういうことなんだ? どうしてこんなに人がいるんだよ?」
私はその喧騒に負けないように、必死に声を張り上げる。
「全員、どっかから来たお客さん。夜中から今朝にかけて、大挙して押しかけてきたんだって。客なんて珍しいから、夜番の門番さんたちが一人のお客さんを中に入れて、ここで待つようにさせたらしいんだけど。それからも続々とやってきて、気がつけばこのあり様。ううん、まだまだ増えるいっぽうよ、さっきも五組くらい到着してた」
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