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シーズン2 私の邪悪な魔法使いの友人の弟子
第七章 27)これからどうすればいいのか
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自分が不機嫌だと、暗に伝える手段は幾つもあるだろう。無駄に大きなため息をつくとか、鋭い舌打ちとか、頻繁な咳払いとか、テーブルをコツコツと叩くとか。
いつ頃からか、アリューシアはその全てを交互に繰り広げていた。挙句の果てには、腕組みをしながら、こんなことを口にし出した。
「ねえ、お仕事の話しは終わった?」
彼女は私のデスクの上に腰を掛けている。あまりにも長い話しで退屈させられたわ。欠伸をしながら、そんなことまで言い出しそうな表情。
いや、確かに仕事の話しは終わったようだ。バルザ殿は一通り話し終えられ、少しの間、沈黙が流れ、次の話題はどのように展開すべきなのか私も迷ったりした。
だから次はアリューシアの番でも構わないのかもしれないが、しかしこれはバルザ殿に対して、あまりに無礼な態度と言葉。
もちろん、アリューシアは目の前のこの壮年の男性が実は、パルという国の騎士団長を務めていたという事実を知っているわけなどなく、ただ単に彼のことをこの塔で働いている一人の兵士としてしか見ていないだろう。
それでも彼女はバルザ殿の威厳に心打たれたりはしないのだろうか。私はそれが不思議でならない。見るからに凄まじいオーラが漂っているではないか。
「ねえ、シャグラン、終わったのかどうか聞いているんだけど?」
「お、お嬢様」
サンチーヌが顔色を変えている。彼としては大声で怒りたいところであろうが、バルザ殿を前にして遠慮しているのだ。今更、彼女を叱ったところで、どのように転んでもボーアホーブ家の恥。
「アリューシア、君は!」
代わりに私がアリューシアを怒鳴りつけてやろうかと思った。
何やらアリューシアは私に不満があるようである。確かに普段から傲慢で態度の悪い女性である。しかしこのアリューシアの不機嫌さは特別。昨日のことで何か機嫌を損ねているようだった。
「終わりましたよ、お嬢様」
しかし私やサンチーヌが彼女を叱る前に、バルザ殿がにこやかな態度で仰られた。
「どうぞ、次はお嬢様のターンです」
まるで宮殿の舞踏会で女性をダンスに誘うように腰を低く、とても優雅な仕草で、バルザ殿はアリューシアに言う。
私は背筋が凍りついた。サンチーヌや他のアリューシアの付き人たちも同様のようだ。バルザ殿のあまりに素晴らしい応対が、むしろ私たちを恐縮させるのである。
「そ、そう。ありがとう」
さすがのアリューシアも、バルザ殿の応対には少し動揺したようである。ここに来て、この御方がただの田舎剣士ではないことを理解したようだ。
しかし、それ以上にアリューシアは苛々しているようで、すぐにいつものあの傲慢で居丈高な表情になる。
「私さあ、わからないんだけど。これからどうすればいいのか。ねえ、シャグラン、昨日の話し合いとか中途半端なままに終わったし」
「な、何だって」
この女は、こんなに大勢の人の前で何てことを言い出そうとするんだ。私は傍目にも激しく取り乱していたであろう。しかしアリューシアは続ける。
「シャグラン、あなたが言ってくれた言葉、私、本気で考えてたんだけど」
「ちょっと待ってくれ、それは別の部屋で話そう。さあ、アリューシア」
私はドアの前まで歩き、さあ、出て行けとばかりに扉を開け放つ。
そのすれ違いざま、アビュが肩をすくめて、公開で話し合うべきよと、意地悪な視線を向けてくる。彼女はまだ、私とアリューシアを誤解したままだ。
サンチーヌたちは何やら首を傾げて、私のほうを見つめてくる。ということはどうやらアリューシアは、彼らとは何の相談もしていないようだ。
それは有り難いことであるが、アリューシアは今からそれを洗いざらい話そうとしているのだ。
「何て言うか、あなたの気持ちに気づけて良かったと思うし」
アリューシアは続ける。やはり私の悪い予感は当たっているようだ。
いつ頃からか、アリューシアはその全てを交互に繰り広げていた。挙句の果てには、腕組みをしながら、こんなことを口にし出した。
「ねえ、お仕事の話しは終わった?」
彼女は私のデスクの上に腰を掛けている。あまりにも長い話しで退屈させられたわ。欠伸をしながら、そんなことまで言い出しそうな表情。
いや、確かに仕事の話しは終わったようだ。バルザ殿は一通り話し終えられ、少しの間、沈黙が流れ、次の話題はどのように展開すべきなのか私も迷ったりした。
だから次はアリューシアの番でも構わないのかもしれないが、しかしこれはバルザ殿に対して、あまりに無礼な態度と言葉。
もちろん、アリューシアは目の前のこの壮年の男性が実は、パルという国の騎士団長を務めていたという事実を知っているわけなどなく、ただ単に彼のことをこの塔で働いている一人の兵士としてしか見ていないだろう。
それでも彼女はバルザ殿の威厳に心打たれたりはしないのだろうか。私はそれが不思議でならない。見るからに凄まじいオーラが漂っているではないか。
「ねえ、シャグラン、終わったのかどうか聞いているんだけど?」
「お、お嬢様」
サンチーヌが顔色を変えている。彼としては大声で怒りたいところであろうが、バルザ殿を前にして遠慮しているのだ。今更、彼女を叱ったところで、どのように転んでもボーアホーブ家の恥。
「アリューシア、君は!」
代わりに私がアリューシアを怒鳴りつけてやろうかと思った。
何やらアリューシアは私に不満があるようである。確かに普段から傲慢で態度の悪い女性である。しかしこのアリューシアの不機嫌さは特別。昨日のことで何か機嫌を損ねているようだった。
「終わりましたよ、お嬢様」
しかし私やサンチーヌが彼女を叱る前に、バルザ殿がにこやかな態度で仰られた。
「どうぞ、次はお嬢様のターンです」
まるで宮殿の舞踏会で女性をダンスに誘うように腰を低く、とても優雅な仕草で、バルザ殿はアリューシアに言う。
私は背筋が凍りついた。サンチーヌや他のアリューシアの付き人たちも同様のようだ。バルザ殿のあまりに素晴らしい応対が、むしろ私たちを恐縮させるのである。
「そ、そう。ありがとう」
さすがのアリューシアも、バルザ殿の応対には少し動揺したようである。ここに来て、この御方がただの田舎剣士ではないことを理解したようだ。
しかし、それ以上にアリューシアは苛々しているようで、すぐにいつものあの傲慢で居丈高な表情になる。
「私さあ、わからないんだけど。これからどうすればいいのか。ねえ、シャグラン、昨日の話し合いとか中途半端なままに終わったし」
「な、何だって」
この女は、こんなに大勢の人の前で何てことを言い出そうとするんだ。私は傍目にも激しく取り乱していたであろう。しかしアリューシアは続ける。
「シャグラン、あなたが言ってくれた言葉、私、本気で考えてたんだけど」
「ちょっと待ってくれ、それは別の部屋で話そう。さあ、アリューシア」
私はドアの前まで歩き、さあ、出て行けとばかりに扉を開け放つ。
そのすれ違いざま、アビュが肩をすくめて、公開で話し合うべきよと、意地悪な視線を向けてくる。彼女はまだ、私とアリューシアを誤解したままだ。
サンチーヌたちは何やら首を傾げて、私のほうを見つめてくる。ということはどうやらアリューシアは、彼らとは何の相談もしていないようだ。
それは有り難いことであるが、アリューシアは今からそれを洗いざらい話そうとしているのだ。
「何て言うか、あなたの気持ちに気づけて良かったと思うし」
アリューシアは続ける。やはり私の悪い予感は当たっているようだ。
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