世界樹の反抗期〜世界樹と呼ばれて一万と二千年〜「もう、じっとしているの我慢出来ない!」

ke-go

文字の大きさ
12 / 30
第一章 出逢い 編

11 ギルド長の悩み

しおりを挟む
 「すまない…マナ氏よ!」

マナが目を覚ますと隣りのベンチの上で顔面がボコボコに腫れ上がったデコルが横になっていた。

 デコルは嫌い!

しかしマナは、部屋で見せた金色の液体が入った小瓶を再び取り出し、出血が激しい口に小瓶を突き刺した。

 「デコル嫌い!だから自分で飲んで!」

ドドじいには口うつししたけど、デコルには触りたくないという感情が芽生えてしまうマナ。

 どうやら本当にデコルが嫌いな様だ。

金色の液体を飲み干したデコルは驚く。こうも簡単に痛みが引くものなのかと。液体を飲み込んだデコルを見ていた2人も目を見開き驚いている。

 傷が一瞬で消えた…

冒険者が使う回復薬とはレベルが違う。この回復量は正しく世界樹の秘薬…エリクサーだ。

 「エリクサーって本当にあったんですね?」
 「あったな…こいつは凄いもんじゃ!」

 エリクサー?

もしかして、この薬の名前?私は名前なんかつけていない。

 そう言えば昔…大きな黒い翼の生き物が私の所に来て沢山、口から炎を吐き出して邪魔したから枝を震わせて叩き落とした時に根もとで泣いて謝るから、この薬をあげた事があったけど…

 あの子が薬の名前をつけたのかな?

 え~と黒炎なんとか邪神…龍って名前だった筈だけど泣き声がうるさいせいで名前…忘れちゃった。

 元気かな?あの泣き虫さん。

 この日は遅くなった。ドドじいはデコルギルド長と仮冒険者ギルドの広間で難しい話しをしている。マナは退屈でレナ・バースの家に泊まる事になった。どうやら、ドドじいがレナ・バースに頼んだ様だ。

 翌朝…

 ドドルとデコルギルド長は、広間で口を開けて椅子に座り背もたれに寄りかかる様に寝ていた。朝からギルドは忙しい。冒険者達は良い依頼受ける為に我先にとカウンターへと押し寄せる。職員はその対応に追われている。

 「ギルド長…邪魔です」

2人は職員達から邪魔者扱いされて広間の端に追いやられ、寝ぼけ眼で冒険者達と職員のやり取りを見ていた。

 「おはよう!」

レナ・バースは2人を見つけ挨拶をする。ドドじいは、マナを泊めてくれた御礼をする。デコルギルド長はギルド長室に戻り壊れた壁の修理依頼を職員達に頼んでいたが何故か手には愛用の手鏡が握られていた。

 「良いのか?レナ・バース」

マナは朝から笑顔だった。お腹が空いたと騒ぐ事も今日はしていない。緑色の髪につけられている赤いリボン。
マナはレナ・バースがくれたんだと嬉しそうにドドルに見せている。

 「かまわない。私はもう使わないから」

 …………………………?

先程から、デコルギルド長は頻りに手鏡を覗き込んでいる。

 「デコル…なにをしておる?」

デコルは、自分もドドルのようにエリクサーで若返ったのではないかと手鏡で顔を確認している。

 額と生え際。この2箇所だけで構わない。頼む!

 コンプレックスは誰にでもある。ギルド長まで登りつめた男…デコル。冒険者として成功した側の人間。志半ばで倒れた仲間もいる。しかしデコルは生き残った。

 運はある方だ…頼むエリクサー!俺にもう一度…

 ふさふさを与えてくれないか?

 …………………

 ギルド長室の壊れた壁際から外を眺めるデコル。いつも同じ姿を見せる太陽…

 「太陽よ…お前はいつも変わらない姿だな?」

 太陽はなにも言わない。

 「お前はいつも眩しいな?だが俺も負けてないぞ!」

 ………何も変わっていなかった。いつものベタつきとヤル気のない髪だった…

 「そんな事を気にしていたのか?儂は若い頃からお前を見てきたが…なんじゃ…あれじゃ!お前は最初から、そんな感じの額と髪じゃったぞ!」

 ドドルはデコルに事実を告げた。

 そうだったのか…知らなかった!俺は若い頃から、こんな感じの額と髪質だったのか?

 あの頃は、冒険者として強くなりたくて、がむしゃら
だったな。容姿なんて気にしている暇もなかったよ。

 余裕ができたから、俺は自分の容姿を気にしだしたのかな?
 
 デコルは自分の生え際を両手でもむ。あんなフルフェイスの兜なんか愛用するんじゃなかった。

 酒を飲んで騒ぐ暇があったなら、しっかり根もとまで乾かせば良かった…

 もうあの頃には…どうやっても戻れないんだ!

 「カツラ買えばいいじゃない!くだらない悩みをするくらいなら世界樹の事を考えたら?」

 レナ・バース…

「お前には、薄毛の悩みなんか…わからねぇだろうな!」

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...