君と言う相棒。

花咲シズク

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プロローグ?

相棒

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小さい頃は
学校へ行って遊んで食べて寝ての繰り返し。

小学4年の頃
パソコンでアニメを見ていた
関連動画に出てきたアニメを見ると
そこには今までとは違う別の世界が広がっていた。
それまでその何かを知らなかった私にとっては
とても刺激的で楽しいものである。

次の日に
友達に聞いてみる

すると、それを知っているというのだ。

私はとても嬉しくなり延々とその話を聞きまくっていた。


小6の春
私は机に自由帳を出して落書きをする。

他のみんなは喋りながら休み時間を満喫しているようだ。
その話題は、他のクラスで付き合い始めた人がいるとか…。
まぁ、私には遠い話か


「…。 何書いてるの?」

そう話しかけてきたのは
加賀龍之介。

「うーん…特に何も。ただ、ぐるぐる円描いてるだけかな?」

 「ふーん。そっか」

そういうと彼は隣に座って見ている。
気になるけど気にしないふりでそのまま円をぐるぐる…。

 「ちかなは、恋ってしたことある?」

「? うーん、したことはないなぁ」

「じゃあ、ちょっと俺と付き合わない?」

そう言葉にされた瞬間私の頭は思考停止…。
数秒間が空いて

「ちょ…ちょっとまって、いまなんて?」

「だーかーら、付き合わない?」

「何を言ってるんだい君は、小学生で付き合うとか…。」

そうだ、小学生で付き合うとか
どうかしてる。
そう笑いながら君の目を見ると
真面目な顔で真っ直ぐな目をしているものだから…。なぜか照れくさい。


「…ちょっと、考えさしてください。」

そう口から言葉が出ていた。

「…うん。 わかった」

そう彼はいってその場から立ち上がり友達の輪の中へと戻って行った。

次の授業でも、頭の中はそのことばかりで

( あいつが私を好き?
いやいや、ちょっとまてよ。好きって言葉にされたわけじゃないし
"つきあって"っていわれたのなら何かの用事で言われてるだけかもしれないじゃん。そうだ、そうに決まってよ
ていうか何勝手に妄想膨らましてるんだろう…。)


「ちがう、付き合うとかそういうのじゃないから。」

と小さく声に出ていた。

あっという間に放課後。
ずっと頭の中はそれのことばかり。
初めて言われたってこともあるし言い訳じゃないから
いや、本当に別に嬉しいとかそういう感覚でもないから…。
自分に言い聞かせる様に思い込みさせるというくらいだった。


「…ちかな、考えてくれた?」

唐突に後ろからそう聞かれて
思わず体が驚いて揺れる。

「へ? あぁ、 うん…えっと。」

急な本人のお出ましに頭はパニック。

「…? 付き合ってくれるの?」

また再度その事を聞いてくるあいつは
なんだか少し切ないような悲しいようなしゅんとした顔をしている。

「つ、 付き合うよ!」

大きな声で裏返りながらも答える
恥ずかしくてむずがゆくて消えてしまいたくなったけど
けど、あいつがどんな顔をしてるのか気になってつぶった目を少しずつ開いたら

嬉しそうに笑う君がそこにはいた。


なんだか嬉しいようななんなのか
この気持ちはなんなのか?

「良かった。ようやく話が出来る。」

そういった君は
私に近づいてきて
実はこの事でとランドセルの中から出されたのは例の本。
その表紙は私も知っている人物が描かれていて。
思わずガン見。

「…えっと、これは?」


「この間、いや、2年前かな? 廊下で話してるのを聞いててちかなになら、話せるかなって」

「…いや、確かに、これならわかるけど」

思わず恥ずかしさも何もかもはじけ飛んでった
だって、そこにあったのは私も大好きな漫画本だったから。

「この本を話してるちかなを知って、それで君に聞いてみたくて、この本をどう思う?」

「…尊いと思うよ」

そう私は真面目な顔で答えてた。
それが君、加賀龍之介との出会い。



加賀龍之介
真面目で勉強も出来る男の子
外見は暗い茶色の髪に澄んだ茶色の目
正直、周りの女子からはカッコイイと評判。
そんな彼には、私と同じ趣味を持つ。
そして彼はそれを知ろうとしている。


「龍之介。私はちょっとびっくりしてるよ。」

「? なにが」

あの時の出会い方は本当に誤解を招く。いや、言葉が悪いな。

「あの時のあんたは、真面目な顔で言うから私はてっきり…。」

「てっきり…なんだよ」

「なんでもねーよ、つーかあの時の感情を返せよ」

私の可愛らしい女の子の時代はどっかへ飛んでいって消えてしまった。
現在 高校1年生。
なんだかんだで
龍之介とは
今でも共通の趣味をもつダチである。

「…ふっ。 勘違いしたお前がわるい」

「おいっ、性格ねじまがってるぞー。」

小学生の頃は特に話もしなかったが、あの時の出会い方で今となっては友達以上恋人未満。
いや、相棒?といったところか。

「あんなに可愛かった龍之介はどこへいったのでしょうか。」

「…可愛くねーだろ。それよりお前の方が可愛いだろうが」

はい、また出ましたよ。無自覚な言葉の発言。

「そういうのだろうが、いい加減気づきなさいよ」

「…? 当たり前の事言っただけだぞ?」

あっ、ダメだ。

「うん、じゃあ、うん。 黙ってなさい。」


龍之介との会話はいつも噛み合うようで噛み合わない。
それはそれで面白いけど。

「ちかな、急な話だけど聞いてくれない?」

「…? なんだー」

「…気になる子がいるんだけど」

…ちょっとまてよ、これはまたなんとも。

「ほー。相手は?」

「ちかなのクラスの子」

「女? 男?」

「…。男」

「よし、じゃあ、告白しにいこうか。」

「いやいや、ちょっとまてよ。驚かないのか?」

「? 別に好きになるのに男も女も関係ないでしょ」

「さっさと告白して砕けてこいよ?」

「まずは紹介してくれよ。話もしてないのに」

「話もしてないのかよ。
しょうがないなー、じゃあ明日話するから昼休み、あけといてね。」

「わかった、マジで神だな。ありがとうちかなさま」

いやマジでかっこいいと評判の龍之介がこんなのだって知ったら周りの女子は引くだろうな

まぁ、そう言ってる君があの時に見た表情と一緒で
私は嬉しいけど。
好きという感情がキラキラしている君を見ているだけで私は満足だよ





これが小学4年で知った世界。
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