上 下
4 / 4
2冊目

つまらないあいつ

しおりを挟む
学校っていうところは
どうしてこうもつまらないんだろうな


遅れていけば
迷惑そうな顔をされるし。

(ちっ…見てんじゃねーよ)

イライラが募る

目の前にはメガネのかけたモブっぽい男。
いいおもちゃがあるじゃねーかと思いつつ肩に腕を回す。

「なあなあ、ちょっとおねがいあんだけどさ?」

モブっぽい男のメガネの奥の瞳は
反抗的な目つきで俺をみる。
その態度に興味がそそられる。

(この反抗的な目つき、壊してみたいな。)


そこからは、毎日声をかけにいってはひどいと思うほどのことはした。

周りからもコソコソと聞こえていた。

"関わったらいけない"…と

モブっぽい男の目つきも変わるかと思われたが
それでもまだ 俺に対して反抗的だ。

「いい度胸してやがる」

学校はつまらない
そう思っていても面白い奴がいるからやめられない。


「もういい加減、やめたらいいんじゃないですか?」

そうモブっぽい男は言う

「あ? やめるわけないだろ」

俺は楽しくて仕方ない。
そう楽しくてやめられないんだ。

「じゃあ、その瞳に映ってる僕に対しての感情はなんですか?


お前に対しての感情?
なにをいってるんだ
そんなの面白い、楽しい 以外ないだろ?


「……。 僕を痛めつけてる時のあなたはなんか悲しそうでしたよ?」

そう言われた瞬間
今までのことが頭の中で流れ出す


なにをしてももう怒らなくなった親。
悪いことをしていないのになすりつけられる罪
手に伝わる感触と胸に広がる痛み。
走馬灯のように頭の中で流れていく



「なにわかったようなこと言ってんだよ。俺は…悲しいなんて思っちゃ…」

口に出した途端に溢れ出す
涙。

誰にも見せないと張り詰めていた糸が

こいつによって切られた。



「僕は、なんであなたのような人がこういうことをするのか…謎でした」

モブっぽい男はたんたんと話し出す
少しずつではあるけど

「僕を痛めつけてるあなたは、必ず終わったあとに悲しそうな顔をするんです。悔やんでるのかなんなのか…だから、もうやめましょう?」

「もう何も戻れない…。友人も家族も後ろにはもう何もないんだよ。俺は1人だ。
やめる?やめたところでなにも変わらない、俺はこういう人間なんだ」

「いいえ、あなたは自分に弱いだけですよ。といっても僕はやられっぱなしだし、こんな事言うのもおかしな事なんですけど…僕と友達になりませんか?」

先程まで怖い思いをさせられていたというのに
こいつは何を言っているんだ?

「…お前はバカなのか? いじめられていたやつにそんなこと聞くなんて…。」

「うーん。まぁ…普通じゃないでしょうね
君には痛い思いもさせられましたし、正直、今でも怖いです。でも、今君を1人にしたらなんかいけない気がするんですよ」

そう笑っていう


「俺を1人にしちゃいけないとか…本当に普通じゃないぞ? 今ならまだ逃げれるんだ、俺のことは放っておいてくれよ? な?」

そう俺は言っているのにそこから動こうともしない

「わかった。俺はもうお前にも他の奴にも手は出さない。学校も辞める。お前の前からいなくなってやるから…」

「僕は友達になって欲しいって言ってるんです。あなたが私を痛めつけた。その代償です。」

殴られた顔も体にある痣もまるで自分を攻めているようにしか見えない
そんなやつと友達?

「それは、俺に対する当て付けか?友達にはならない。なれるはずがない。」

「そんなの分かりませんよ、傷がなくなるまで…それまでお互いに普通の友達。ってことでどうです?」

「っだから、なんでそんなにべらべらと…。」

その目は真っ直ぐ俺を見ている
反抗的だと思っていた目なのに。

楽しいだけ面白いから
俺の気まぐれ…。

本当にこいつはなんなんだ?


「…わかった、友達になろう。」

「よかったです。これからよろしくお願いしますね?」
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...