短編小説

花咲シズク

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あの教室の窓から

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夏の風
窓から差し込む光
カーテンがゆらゆらとゆれて
穏やかな時間が流れ出す


あれは中学生の夏


本を読んでいる昼休み


「なに? 読んでるの?」

声が聞こえる方を見てみると
?という顔をした。
女子が俺を見ている
これが、君との出会い。



少し蒸し暑い教室
汗ばんだシャツ
頬にくっつく髪の毛が妙にエロかったのを覚えている。

「…小説。」

「どんな内容なの?」

「見てみる?」

「うん。」


なんてことのない会話
どこにでもある会話
それなのに俺にとっては
長い瞬間だった
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