短編小説

花咲シズク

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見慣れた景色

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「あれ? ここにあった駄菓子屋さんは?」

「もう二年前になくなったよ」


そう友達から聞いた。


小学2年の時から通っていた駄菓子屋さん

手に大金である100円玉を握りしめ駆け足で毎日行っていた。
その駄菓子屋さんがなくなっている

新しい建物が作られている


「…なんか寂しいなぁ」


「ん? なんか言ったか?」

「いや、なんでもない」

友達は気にしていないのだろうか?

俺はとても気になる
だってあんなに楽しく通い続けていた駄菓子屋さん
視野が広くなり先の方に遊びに行っていたから気づきもしなかった

見慣れた景色がどんどん変わっていく

そういえば、角にあった焼肉屋さん
あそこも閉店したんだっけ?

新しい店が出来るのかな?

何もなかった更地
大きな建物が後に建てられるらしい


前に来た時、こんなの無かったよな?
と思うほどにいつもの風景が変わる
変化していく。


同じ道だったはずなのに、まるで別のところに来たみたいだ




好きな遊具も危ないからというので取り上げられ
公園で遊ぼうにも球技はダメだし

なんだか息苦しいなぁ
もっとのびのびとやっていたはずなのに
息苦しいなぁ…。


変わっていく景色
塗り替えられていく記憶

それら全てが無くなってしまったら…。


それはそれでまた
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