君の前と僕の前と…。

花咲シズク

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遠くの方へ

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人混みのなか
僕はここにいる

誰も振り向きもしない

それはそうか
人ひとりが立っているだけだから。


暇な時間が流れていく。

君に好きだと言われた時間を思い出す
あの時の瞬間の匂いと風景と…。


懐かしいようななんていうのか…。

もしも、あの時に君に正直に答えていたら未来は変わっていたのだろうか?

君と一緒に過ごせていたのだろうか?

…いや、考えるのはやめよう

ただ苦しくなるだけだ
君にとってあの時の時間は
僕とは違う感覚だと思うから

だってあの頃は
まさかそう言われるとは思っていなくて
いや、ただ単に気味が悪いと思ってしまっただけだった。

急にそんなことを言われても考えが追いつかなくて

…言い訳でしかないけれど。

君の前から通り過ぎて一人の時間が始まって未だに
自分が何をしたいのかすらわからない。

本当はもっと面白いことをして生きていく予定だったけど
色々と現実は厳しいもので
そんなに上手いこと行かないわけで…。

一人の時間は嫌いじゃないよ
たくさんの人混みの中でぽつんと立っているのも悪くないし

ただ、遠い所にいけたら…

遠いところにいけたらいいのにな


そうしたら君に合わなくて済むだろ?
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