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ギルドを立ち上げてみよう
PHASE-34【開戦前】
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来やがった……。本当に来やがった……。
先生が言うように遊戯じゃないようだ。装備がしっかりしてる。
以前、王都を襲っていたのは軽装のオークだったけど、今回は金属の鎧兜を装備したのを先頭にして、王都へと向かってきている。
攻城兵器まである……。
「ふむふむ、好天続きからの土煙の立ち上り方からして、二千ほどですかね。となると、あれが先駆けなら、本隊はその三倍から五倍と考え、最悪一万を超えるかな~」
「こちらが動員できるのは三百程度ですが、どう戦うおつもりで?」
先生を試すかのようなベルの発言。
普通に戦うなら籠城しか手がないが、ここの兵は守ることも出来ないくらいに心が弱い。
そもそも籠城のための城壁が機能していないからね。正面から打って出ても数で蹂躙される。
「戦いが始まれば、恐怖に支配された兵は逃げ惑います」
と、当たり前のように返す先生。
「そもそも、先日の主の演説どおり、彼等には戦いには参加させず、ただ背後で見てもらうだけです。彼等を鼓舞することが、今は大切でしょうから」
継いで言うけども、
「となると、この四人ですか?」
本当に? と、俺は質問する。いくら何でも無理だろう。
「相手の先鋒は二千ほど。対してこちらは一騎当千のお二人がおります。兵力は互角ですね」
何、その余裕の笑顔。女性が惚れちゃう。
「そんな馬鹿な」
計算式が違うと思います。二千対四です。どう言葉で大仰にしても、数字は嘘をつきません。
「これは誤った発言を」
先生は俺に典雅な一礼で謝り、すっと頭を起こせば、
「訂正します。一騎当千ではなく万夫不当でしたな。兵力差は圧倒的にこちらが有利です」
うん……。
――……違う、違う! 何を脳天気な。言葉遊びをしてるんじゃないよ。でも先生のこの余裕はなんだ?
ちらりと二人に目を向ける。
この二人なら確かに不可能じゃないだろうけども。
――ふぅ……、頼るしかないよな。やばくなったら、召喚って手もある。俺のストレージにはまだ頼れるのもあるからな。
「まずは我々が設置した、ゲッコー殿のしーほーなる物を活用します。敵は攻城兵器をしーほーを設置したところに展開するので、それを待ちましょう」
先生。いくら先生が政治、戦略などに長けてるからって、そんな言うように設置しますかね?
――――と思っていた事もあったよ。
「ほう、衝車だけでなく、霹靂車まであるとは。あれが見舞われたら、このボロボロの城壁はもちませんな」
言ってる内容と、表情が対極ですよ。
自信に満ちあふれた笑みですね。女性が見ればキュンキュンですよ。羨ましい。
ゲッコーさん、MASADAにマガジンを装填して、銃を壁に立てかけて、空いた手で煙草を楽しみ始める。
ベルは腕組みをして、敵の陣形を見下ろす。真一文字の口元に、冷たさを感じさせる炯眼。
そして――――、腕を組むことで、大きな胸が更に強調されている。
「主、ベル殿の胸を注視するのもいいでしょうが、そろそろ準備を」
なんと余計なことを言うんですか……。先生…………。
それに、ゲッコーさんとベルの事をちゃんとした発音で言えるようになりましたね。横文字は苦手だったけど、大戦とか言っていた後に、念仏を唱えるように、ゲッコー殿、ベル殿って、ぶつぶつと言い続けていたからな。
見習わないとな、その努力。
そして、今、俺はベルに目を合わせたくない……。
深呼吸をして、勇気を出して、チラリと見れば――、
「汚らわしい。馬鹿者め!」
向くと同時のタイミングで、敵を見下ろしていた時よりもキツイ目をしてこき下ろされた……。
「この状況下で胸に集中できるのは余裕の表れだな」
話を蒸し返さないでいいです……。
携帯灰皿に吸い殻を入れ、ゲッコーさんがやおら立ち上がる。
いよいよという事だろう。
さてさて、俺はいったい何をすればいいのか。壁上から市井を眺めれば、見事なくらいに収拾がつかない大混乱だ。
攫われた経験のある女性たちは、二度と同じ目にはあいたくないと、王城に向かって走り出している。
そんな中で、人々を誘導しているのは、煌びやかでありながらも、幾多の戦いを経験して傷ついた鎧を纏ったお偉いさんであるナブル将軍と、気骨ある近衛が住民の避難に協力していた。
ああいうのを見てると、俺も頑張らないとなって思えてくるよ。
「お、目に力が宿ってますね。主」
「頑張りますよ!」
「快活よい発言。では――――、舞などを一つ」
「…………ふぁ?」
俺の聞き間違えかと思ったけども、先生はその場で小気味のよい足運びで踊っている。
どうやら、聞き間違いではないようだ。
しかし、なんでこんな壁上で踊らなければならないのか?
選択授業では、イケてない存在としてカテゴライズされる俺は、ダンス授業を面舵いっぱいで回避したくらいだぞ。
だから、こんな場所で踊れるわけがない。
恥ずかしいし、テクニックも無いんだ。
先生が言うように遊戯じゃないようだ。装備がしっかりしてる。
以前、王都を襲っていたのは軽装のオークだったけど、今回は金属の鎧兜を装備したのを先頭にして、王都へと向かってきている。
攻城兵器まである……。
「ふむふむ、好天続きからの土煙の立ち上り方からして、二千ほどですかね。となると、あれが先駆けなら、本隊はその三倍から五倍と考え、最悪一万を超えるかな~」
「こちらが動員できるのは三百程度ですが、どう戦うおつもりで?」
先生を試すかのようなベルの発言。
普通に戦うなら籠城しか手がないが、ここの兵は守ることも出来ないくらいに心が弱い。
そもそも籠城のための城壁が機能していないからね。正面から打って出ても数で蹂躙される。
「戦いが始まれば、恐怖に支配された兵は逃げ惑います」
と、当たり前のように返す先生。
「そもそも、先日の主の演説どおり、彼等には戦いには参加させず、ただ背後で見てもらうだけです。彼等を鼓舞することが、今は大切でしょうから」
継いで言うけども、
「となると、この四人ですか?」
本当に? と、俺は質問する。いくら何でも無理だろう。
「相手の先鋒は二千ほど。対してこちらは一騎当千のお二人がおります。兵力は互角ですね」
何、その余裕の笑顔。女性が惚れちゃう。
「そんな馬鹿な」
計算式が違うと思います。二千対四です。どう言葉で大仰にしても、数字は嘘をつきません。
「これは誤った発言を」
先生は俺に典雅な一礼で謝り、すっと頭を起こせば、
「訂正します。一騎当千ではなく万夫不当でしたな。兵力差は圧倒的にこちらが有利です」
うん……。
――……違う、違う! 何を脳天気な。言葉遊びをしてるんじゃないよ。でも先生のこの余裕はなんだ?
ちらりと二人に目を向ける。
この二人なら確かに不可能じゃないだろうけども。
――ふぅ……、頼るしかないよな。やばくなったら、召喚って手もある。俺のストレージにはまだ頼れるのもあるからな。
「まずは我々が設置した、ゲッコー殿のしーほーなる物を活用します。敵は攻城兵器をしーほーを設置したところに展開するので、それを待ちましょう」
先生。いくら先生が政治、戦略などに長けてるからって、そんな言うように設置しますかね?
――――と思っていた事もあったよ。
「ほう、衝車だけでなく、霹靂車まであるとは。あれが見舞われたら、このボロボロの城壁はもちませんな」
言ってる内容と、表情が対極ですよ。
自信に満ちあふれた笑みですね。女性が見ればキュンキュンですよ。羨ましい。
ゲッコーさん、MASADAにマガジンを装填して、銃を壁に立てかけて、空いた手で煙草を楽しみ始める。
ベルは腕組みをして、敵の陣形を見下ろす。真一文字の口元に、冷たさを感じさせる炯眼。
そして――――、腕を組むことで、大きな胸が更に強調されている。
「主、ベル殿の胸を注視するのもいいでしょうが、そろそろ準備を」
なんと余計なことを言うんですか……。先生…………。
それに、ゲッコーさんとベルの事をちゃんとした発音で言えるようになりましたね。横文字は苦手だったけど、大戦とか言っていた後に、念仏を唱えるように、ゲッコー殿、ベル殿って、ぶつぶつと言い続けていたからな。
見習わないとな、その努力。
そして、今、俺はベルに目を合わせたくない……。
深呼吸をして、勇気を出して、チラリと見れば――、
「汚らわしい。馬鹿者め!」
向くと同時のタイミングで、敵を見下ろしていた時よりもキツイ目をしてこき下ろされた……。
「この状況下で胸に集中できるのは余裕の表れだな」
話を蒸し返さないでいいです……。
携帯灰皿に吸い殻を入れ、ゲッコーさんがやおら立ち上がる。
いよいよという事だろう。
さてさて、俺はいったい何をすればいいのか。壁上から市井を眺めれば、見事なくらいに収拾がつかない大混乱だ。
攫われた経験のある女性たちは、二度と同じ目にはあいたくないと、王城に向かって走り出している。
そんな中で、人々を誘導しているのは、煌びやかでありながらも、幾多の戦いを経験して傷ついた鎧を纏ったお偉いさんであるナブル将軍と、気骨ある近衛が住民の避難に協力していた。
ああいうのを見てると、俺も頑張らないとなって思えてくるよ。
「お、目に力が宿ってますね。主」
「頑張りますよ!」
「快活よい発言。では――――、舞などを一つ」
「…………ふぁ?」
俺の聞き間違えかと思ったけども、先生はその場で小気味のよい足運びで踊っている。
どうやら、聞き間違いではないようだ。
しかし、なんでこんな壁上で踊らなければならないのか?
選択授業では、イケてない存在としてカテゴライズされる俺は、ダンス授業を面舵いっぱいで回避したくらいだぞ。
だから、こんな場所で踊れるわけがない。
恥ずかしいし、テクニックも無いんだ。
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