異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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海賊退治

PHASE-111【引き際は大事】

「は、外れない!?」
 俺を殴った手でうさ耳バンドを外そうとしているが、取れなくて困惑している。
 フフフ――――。
 
 倒れた状態からやおら立ちながら、ほくそ笑んでやる。
 口の中が鉄の味に支配されるが、余裕を見せる俺。
 
 ゲッコーさんは巻き添えは御免とばかりに離れている。
 チッ! 情けない。それでも伝説の兵士ですか!

「それは装備品だからな。俺が許可を出さないかぎり外れないのさ。もちろんバニースーツもだ! いいか! 俺に逆らうといつまでたってもそのままだぞ! 俺をマスターとして――」

「そうか――――」
 いや、俺の話を遮らないでくれる。
 
 なんで、そんなに冷静なの? なんで指からポキポキと音がするの?
 なんでゲッコーさんは、食堂から退出しているの? 本当に、それでも伝説の兵士なの?

 これは……、まずい状況か? 
 未だかつて経験したことの無い、抗うことの出来ない暴力が待っているのだろうか?

「分かりました。俺が悪かった。装備を解くから」

「素直だな」
 お前の目がやばかったからだよ……。

「でも――、いいんだな?」

「シャワールームといい、お前のその含みのある言い様は大概だな! 私を本気で怒らせたいか!」
 炎は禁止!

「装備だからさ。解除しちゃうと――――、分かるだろ?」

「まさか!?」

「そうよ、そのまさかよ! まっぱになるぞ。まろびでちゃうよっふ!?」
 やめて、胸ぐらを掴まないで。息が出来ないくらいに締めないで……。

「俺は優しさでいっでるんでず」
 死んじゃう。窒息死する。窒息するならその胸がいい。

「くっ! 覚えていろ」
 悪役の如き台詞を発して去っていった。
 何とか難を逃れたようだ。
 
 しかし、色欲とは怖いもんだ。
 後先考えない行動だった。

 バニーの恰好が見たいと思ったら、大義名分を振りかざして、即、実行だったからな。
 後に迫る現実を考えていないんだもの。
 
 だけども、俺の事をさんざっぱら鼻で笑ってたからな。
 猿叫とかさ。
 その時に抱いた復讐は、しっかりと果たせた。
 
 だけど、ボコボコルートのフラグが立ったよね……。
 ベルの軍服が復活した時、俺は手痛い目に遭わされるかもしれない……。

 だがいい! エロい恰好が見られたから!
 
 ――――当のベルは捨て鉢になっているのか、バニースーツのまま露天艦橋で腕を組み、海原を眺めている。
 長い赤い髪に、うさ耳と燕尾を靡かせての仁王立ち。
 
 長い足のスーパーモデル体型の威風堂々たる姿。
 あれだけ恥ずかしがってたのにな。甲板にいる人達もなんだアレは? といった感じで見上げている。
 
 俺はそんな中で、プレイギアのカメラ機能を使って激写しまくりだ。




「――――到着です」
 なんて無茶なことをするんだコクリコは……。
 本当に魔法使いなのか?
 ミズーリの甲板から港に飛び降りるとか、本来なら怪我じゃすまないぞ。

「おお、揃ってる」
 コクリコを追った視線で、そのまま港を見渡せば、町長のおっちゃんに、孫娘や町の人々が集まっていた。

「俺たちも行こうぜ」

「う、うぬぬ……」
 その恰好を流石に衆目にはさらしたくないようだ。露天艦橋では堂々としてたのに。
 だが、俺に弱いところを見せられないとばかりに、バニースーツのままミズーリから降りようとしていた。

「マント貸そうか?」
 言えば、眉間に皺を寄せて、柳眉を上下に動かし、困惑の表情を見せてくる。
 
 俺に借りを作るか、プライドか。
 俺が手にするマントを受け取るかどうか、迷っている。

「……頼む……」
 プライドよりも羞恥心が上回るところが乙女だな。
 纏えば、全体を隠せた。

「まったく! 早く貸せば良かったのだ」
 貸したらその姿が見れなくなるからな。
 ま、カメラには収めたから、もう大丈夫。

「何を見ている?」

「素敵なメモリーを」

「!? 壊してやる!」

「やめてくれ! 俺のプレシャスメモリーなんだよ!」

「ふざけるな!!」
 必死にプレイギアを守るために両手で抱いて、体を丸める俺。
 アダマンタイトの甲羅で出来た亀を己に憑依させるイメージ。
 
 こんな馬鹿なやり取りをしていれば――、

「あの!」
 港からの大きな声。町長のおじさんが声の主だ。
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