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色々と進めていこう
PHASE-217【拳骨からのグリグリお尻ペンペンコンボの使命を思い出す】
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「いいですよ。姿勢は悪くありません。頭が弓と弦の間に入らないようにしてください。耳が持っていかれる事もあります」
「なにそれ怖い!」
基礎を知らないとえらい目に遭うからな。
よくよく考えれば、俺はファンタジーの世界に来ているのに、刀や魔法は使用したが、弓矢は初めて使用する。
飛び道具は銃であるマテバを使用しているし、刀剣に次いで有名どころの武器を使用しないまま今に至っている。
なので――、
「ご教示ねがう」
コクリコのことは一度保留して、俺は弓に集中していた。
「任せてください」
――――自分より最適だと、カイルは後ろに立つ一人を紹介してくれる。
ハンター職で、カイルと共に先生の護衛を務めるギルドメンバーの精鋭、ジュセル。
彼に師事を受けることになる。
赤色級――、第三階級だ。間違いなく強者。
「失礼します」
俺の姿勢を正すように、背中に手を当ててくる。
それにしてもインクリーズは便利だ。
弓を引くだけでも力は必要になる。
力を要するということは、そこにも意識を集中しないといけないが、インクリーズ発動だと張力が無いようなものなので、そこに意識をする必要がない。
なので的を狙うことだけに集中できるってのは、通常の状態で矢を射るのとは比べられないくらいに命中率が高いにちがいない。
「背を伸ばして、真っ直ぐと的を見てください。――いいですね。後はご自身の時宜で」
深呼吸を一回。吸気のところで息を止める。
FPSにて、スナイパーライフルを使用している時の息止めをイメージ。
L3押し込みによる照準ブレをなくすアレだ。
「――――――しっ!」
藁で出来た人の上半身を象った的と、鏃が重なったところで、気概を込めた呼気を合図にして弦を放すせば、ボヒュンという力強い風切り音とともに、矢が直線を描きながら飛翔する。
「「「「――――おお!!!!」」」」
皆で確認の為に的まで移動すれば、新米さん達が感嘆の声を上げる。
といっても、俺の矢は的には当たらず、的の後ろに盛られた土に刺さっただけだ。
感嘆の声の原因は、俺の矢が盛られた土にスッポリと埋まったからだ。
本来なら隣に刺さっている矢のように、三分の一程度が土に刺さればいいくらいだが、俺のは完全に埋没している。
「外れてしまいましたが精度はいいです。修正すれば次は当たりますよ」
「ありがとう」
ジュセルのアドバイスを受けつつもう一度、射位に戻ってから、構えて――放つ。
強弓が奏でる風切り音からドスッという音に変わる。
「よっしゃ!」
「お見事です」
と、ジュセルが発せば、カイルや新米の方々からも賛辞を受ける。
見事に藁の的の腹部部分に直撃。
見に行けば、威力は絶大。
藁人形の的に刺さった矢はそのまま藁を貫通し、埋没までには至らなかったが、土に深く埋まって矢羽が顔をのぞかせているだけだ。
「的の中央には芯として杭が使用されてます。そこを貫通してのこの状態。生身の存在が鎧を装備していようとも――――」
最後まで言わないジュセル。
そこからは言わずもがなってことか。
インクリーズ。こいつはとんでもないな。
ピリアを極めれば、絶大なる力を得ることが出来るってのは嘘じゃないな。
基礎でこれだもの。
「では、次は確実に頭を射抜けるようになるまで続けましょう。インクリーズ使用の矢が頭に当たれば、突き刺さった反対側から矢が飛び出してくる光景は、弾けたスイカみたいですよ」
――……ジュセル……。嬉々として言う事ではない……。
温和な笑みとは裏腹に、エグいことを口にするジュセル……。
それを聞かされ続けながら、結構な時間まで矢を射かけさせられた――――。
夕陽が俺たちの影を伸ばすまでに時間が経過していた。集中していたから時間が過ぎ去るのがあっという間だったな。
インクリーズのおかげで腕に疲労感を感じることはない。
だけども、マナの使用には集中力を要するってだけあって、精神面はヘトヘトだ。このヘトヘトにはジュセルの会話内容も含まれているけどな……。
疲労感は無くとも、結構な脱力感に襲われている。
戦闘が長期化する時は、ピリアもネイコスも使いどころが大事ってことだな。
ふう――、体が自然と甘い物を欲している……。
ケーキが食べたい。モンブランだ。甘くて美味しい栗をふんだんに使ったモンブランが食べたい。
ヨーロッパアルプスの最高峰の名に恥じないくらいの盛りに盛ったモンブランが食べたい。
――……モンブラン……。
モンブランはヨーロッパアルプス最高峰。
アルプス……、山……。アイガー。アルプスの三大北壁。
断崖絶壁……。
つまりは……、コクリコ……。
そうだよ……。コクリコ…………だよ!
「あのガキンチョョョョョョョョョョョョョョョ!!!!」
「なにそれ怖い!」
基礎を知らないとえらい目に遭うからな。
よくよく考えれば、俺はファンタジーの世界に来ているのに、刀や魔法は使用したが、弓矢は初めて使用する。
飛び道具は銃であるマテバを使用しているし、刀剣に次いで有名どころの武器を使用しないまま今に至っている。
なので――、
「ご教示ねがう」
コクリコのことは一度保留して、俺は弓に集中していた。
「任せてください」
――――自分より最適だと、カイルは後ろに立つ一人を紹介してくれる。
ハンター職で、カイルと共に先生の護衛を務めるギルドメンバーの精鋭、ジュセル。
彼に師事を受けることになる。
赤色級――、第三階級だ。間違いなく強者。
「失礼します」
俺の姿勢を正すように、背中に手を当ててくる。
それにしてもインクリーズは便利だ。
弓を引くだけでも力は必要になる。
力を要するということは、そこにも意識を集中しないといけないが、インクリーズ発動だと張力が無いようなものなので、そこに意識をする必要がない。
なので的を狙うことだけに集中できるってのは、通常の状態で矢を射るのとは比べられないくらいに命中率が高いにちがいない。
「背を伸ばして、真っ直ぐと的を見てください。――いいですね。後はご自身の時宜で」
深呼吸を一回。吸気のところで息を止める。
FPSにて、スナイパーライフルを使用している時の息止めをイメージ。
L3押し込みによる照準ブレをなくすアレだ。
「――――――しっ!」
藁で出来た人の上半身を象った的と、鏃が重なったところで、気概を込めた呼気を合図にして弦を放すせば、ボヒュンという力強い風切り音とともに、矢が直線を描きながら飛翔する。
「「「「――――おお!!!!」」」」
皆で確認の為に的まで移動すれば、新米さん達が感嘆の声を上げる。
といっても、俺の矢は的には当たらず、的の後ろに盛られた土に刺さっただけだ。
感嘆の声の原因は、俺の矢が盛られた土にスッポリと埋まったからだ。
本来なら隣に刺さっている矢のように、三分の一程度が土に刺さればいいくらいだが、俺のは完全に埋没している。
「外れてしまいましたが精度はいいです。修正すれば次は当たりますよ」
「ありがとう」
ジュセルのアドバイスを受けつつもう一度、射位に戻ってから、構えて――放つ。
強弓が奏でる風切り音からドスッという音に変わる。
「よっしゃ!」
「お見事です」
と、ジュセルが発せば、カイルや新米の方々からも賛辞を受ける。
見事に藁の的の腹部部分に直撃。
見に行けば、威力は絶大。
藁人形の的に刺さった矢はそのまま藁を貫通し、埋没までには至らなかったが、土に深く埋まって矢羽が顔をのぞかせているだけだ。
「的の中央には芯として杭が使用されてます。そこを貫通してのこの状態。生身の存在が鎧を装備していようとも――――」
最後まで言わないジュセル。
そこからは言わずもがなってことか。
インクリーズ。こいつはとんでもないな。
ピリアを極めれば、絶大なる力を得ることが出来るってのは嘘じゃないな。
基礎でこれだもの。
「では、次は確実に頭を射抜けるようになるまで続けましょう。インクリーズ使用の矢が頭に当たれば、突き刺さった反対側から矢が飛び出してくる光景は、弾けたスイカみたいですよ」
――……ジュセル……。嬉々として言う事ではない……。
温和な笑みとは裏腹に、エグいことを口にするジュセル……。
それを聞かされ続けながら、結構な時間まで矢を射かけさせられた――――。
夕陽が俺たちの影を伸ばすまでに時間が経過していた。集中していたから時間が過ぎ去るのがあっという間だったな。
インクリーズのおかげで腕に疲労感を感じることはない。
だけども、マナの使用には集中力を要するってだけあって、精神面はヘトヘトだ。このヘトヘトにはジュセルの会話内容も含まれているけどな……。
疲労感は無くとも、結構な脱力感に襲われている。
戦闘が長期化する時は、ピリアもネイコスも使いどころが大事ってことだな。
ふう――、体が自然と甘い物を欲している……。
ケーキが食べたい。モンブランだ。甘くて美味しい栗をふんだんに使ったモンブランが食べたい。
ヨーロッパアルプスの最高峰の名に恥じないくらいの盛りに盛ったモンブランが食べたい。
――……モンブラン……。
モンブランはヨーロッパアルプス最高峰。
アルプス……、山……。アイガー。アルプスの三大北壁。
断崖絶壁……。
つまりは……、コクリコ……。
そうだよ……。コクリコ…………だよ!
「あのガキンチョョョョョョョョョョョョョョョ!!!!」
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