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チートがほぼ無い冒険
PHASE-270【食とは戦いらしい】
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「なんかいい匂いじゃな」
団子っ鼻は誰よりも早く匂いを嗅ぎつける。
「おう、今日は鶏肉たっぷりのクリームシチューだ」
缶詰のやつだけどな。
小麦粉に缶詰と、湖から町までを荷車を引いて大量に運んだから。
汗を流しながら荷車を引いて思ったことは、トラック運転は絶対に覚えようという誓いと、馬のありがたみ。
「鶏肉たっぷりのシチューじゃと……。なんじゃこの町はそんなにも食料が潤沢なのか?」
「まさか、会頭の奇跡ですよ」
と、先ほどまで惚けていたリュミットが、目の当たりにした奇跡を違えることなく説明――――。
そんな事も出来るのかと、ギムロンは驚嘆の表情。
「待ってくれい。じゃったらなぜ普段から――」
「甘えは許さない。有る物をありがたく食す。依存はさせない。俺はこの世界を救いに来たのであって、介護しに来たんじゃない。急場しのぎ以外では提供しない」
遮るようにして、語調も低音であってしっかりとした声で伝えた。
威厳を感じてくれたのか、コクリコ以外の面々は真っ直ぐに背筋を伸ばして、発言を聞き入れてくれた。
俺も先生から怒られたくないからな。
自立は大事ってことで。
「ご馳走が食べたいなら、この世界をさっさとよい方向に変えればいいだけです」
まさかのコクリコがまっとうな発言。
で、口を閉ざすと、すたすたと歩きだす。
――と、思ったら、動く足の回転数が徐々に上がっていく。
広場に準備されるシチューへと向かい、戦闘中を彷彿させる、滑空するかのような猛ダッシュにまで足を加速させ、肩越しにこちらを見れば、
「まあ、今の世界は、早い者勝ちの乱世ですがね!」
発言の意味は、そこで未だに突っ立ってる者たちの分は、全て私がいただくという事なのだろう。
「冗談じゃねえ! 素材を大量に確保できて気分がいいところに、更に最高の気分を堪能できる僥倖! ご馳走に酒。ドワーフの人生にとって最高の時間よ」
湿地で悪態をついていた時とは別人の如き足の速さ。
と、いってもドワーフ目線で――――。
新米さん達は肉がたっぷりと耳にし、ギムロンに続けば、瞬く間に抜き去っていく。
追い抜かれた事に対して怒号を飛ばすのが、この中で一番位階が高い赤色級っていうね……。
「元気ですよね」
Gの回収を終えて、まだあれだけ走れるのだからと感嘆の声のタチアナ。
「あれだけ体力があるなら、今後、冒険者として期待できますね」
と、クラックリックが俺へと語りかけてきた。
「だな」
有りがたい人材がギルドに入り、そして活躍してくれる。
俺はそんな存在たちに十分に報いられるように、これからも励んでいきますよ。
――――その晩は、宝石をちりばめたような満点の星空の下で、町の広場に集まり、ギルドメンバーにリオスの住人。そしてコボルト達と、種族の偏見を持つこともない楽しい宴が開かれた。
シチューが入っていた空の缶詰を目にしたギムロンは、薬莢を目にした時と同様に、同じサイズに寸分の狂いもなく作られたソレを見て感動し、ブリキをこんな用途で使うとは、とも感心していた。
シチューに入った鶏肉を口に運んで酒をゴクリ。髭周りはクリームで汚れているが、大層に喜んでくれている。
釜でグツグツと暖められるシチューを誰よりも口に運ぶのは乱世発言のまな板。 一人、大皿で馬鹿みたいに食べる。
あの小さな体によくもまあ入ると、感嘆の声が方々から上がった。
右手にスプーン。眼下の大皿を睨み、左手には手早く作られたナンのようなパンを持つスタイル。
コクリコの大食いショーを皆、笑みを湛えて楽しんでいた。
「てな具合で無事に済みました」
「ご無事で何より」
応接室にて結果報告。俺の無事が本当に嬉しいと顔に出ている先生。
この忠誠心MAXの笑顔を女に向ければコロッと落ちちゃうね。
応接室にはいつもの面々。この面子がいてくれればどれだけ楽だったか。
甘えなかった自分を褒めたい。
「トロールを倒したそうだな。しかも自力で」
「銃を使ったシーンもあったけどな」
「だが、倒したのだろう」
「おうよ。皆のおかげでな」
「うむ、素晴らしい。もっと励むのだぞ」
「はい!」
成長を喜んでくださる中佐。
このように、立場が逆転する事が発生する時があるが、もう気にしない。
笑顔で褒めてくれることが、このクエストのご褒美ですよ。
こんな美人上司が褒めてくれるなら、俺は社畜としてブラックを凌駕するダークな会社でも働ける自信があるね!
元の世界に戻っても、立派に社会人になれる勇気を得られた気分である。
団子っ鼻は誰よりも早く匂いを嗅ぎつける。
「おう、今日は鶏肉たっぷりのクリームシチューだ」
缶詰のやつだけどな。
小麦粉に缶詰と、湖から町までを荷車を引いて大量に運んだから。
汗を流しながら荷車を引いて思ったことは、トラック運転は絶対に覚えようという誓いと、馬のありがたみ。
「鶏肉たっぷりのシチューじゃと……。なんじゃこの町はそんなにも食料が潤沢なのか?」
「まさか、会頭の奇跡ですよ」
と、先ほどまで惚けていたリュミットが、目の当たりにした奇跡を違えることなく説明――――。
そんな事も出来るのかと、ギムロンは驚嘆の表情。
「待ってくれい。じゃったらなぜ普段から――」
「甘えは許さない。有る物をありがたく食す。依存はさせない。俺はこの世界を救いに来たのであって、介護しに来たんじゃない。急場しのぎ以外では提供しない」
遮るようにして、語調も低音であってしっかりとした声で伝えた。
威厳を感じてくれたのか、コクリコ以外の面々は真っ直ぐに背筋を伸ばして、発言を聞き入れてくれた。
俺も先生から怒られたくないからな。
自立は大事ってことで。
「ご馳走が食べたいなら、この世界をさっさとよい方向に変えればいいだけです」
まさかのコクリコがまっとうな発言。
で、口を閉ざすと、すたすたと歩きだす。
――と、思ったら、動く足の回転数が徐々に上がっていく。
広場に準備されるシチューへと向かい、戦闘中を彷彿させる、滑空するかのような猛ダッシュにまで足を加速させ、肩越しにこちらを見れば、
「まあ、今の世界は、早い者勝ちの乱世ですがね!」
発言の意味は、そこで未だに突っ立ってる者たちの分は、全て私がいただくという事なのだろう。
「冗談じゃねえ! 素材を大量に確保できて気分がいいところに、更に最高の気分を堪能できる僥倖! ご馳走に酒。ドワーフの人生にとって最高の時間よ」
湿地で悪態をついていた時とは別人の如き足の速さ。
と、いってもドワーフ目線で――――。
新米さん達は肉がたっぷりと耳にし、ギムロンに続けば、瞬く間に抜き去っていく。
追い抜かれた事に対して怒号を飛ばすのが、この中で一番位階が高い赤色級っていうね……。
「元気ですよね」
Gの回収を終えて、まだあれだけ走れるのだからと感嘆の声のタチアナ。
「あれだけ体力があるなら、今後、冒険者として期待できますね」
と、クラックリックが俺へと語りかけてきた。
「だな」
有りがたい人材がギルドに入り、そして活躍してくれる。
俺はそんな存在たちに十分に報いられるように、これからも励んでいきますよ。
――――その晩は、宝石をちりばめたような満点の星空の下で、町の広場に集まり、ギルドメンバーにリオスの住人。そしてコボルト達と、種族の偏見を持つこともない楽しい宴が開かれた。
シチューが入っていた空の缶詰を目にしたギムロンは、薬莢を目にした時と同様に、同じサイズに寸分の狂いもなく作られたソレを見て感動し、ブリキをこんな用途で使うとは、とも感心していた。
シチューに入った鶏肉を口に運んで酒をゴクリ。髭周りはクリームで汚れているが、大層に喜んでくれている。
釜でグツグツと暖められるシチューを誰よりも口に運ぶのは乱世発言のまな板。 一人、大皿で馬鹿みたいに食べる。
あの小さな体によくもまあ入ると、感嘆の声が方々から上がった。
右手にスプーン。眼下の大皿を睨み、左手には手早く作られたナンのようなパンを持つスタイル。
コクリコの大食いショーを皆、笑みを湛えて楽しんでいた。
「てな具合で無事に済みました」
「ご無事で何より」
応接室にて結果報告。俺の無事が本当に嬉しいと顔に出ている先生。
この忠誠心MAXの笑顔を女に向ければコロッと落ちちゃうね。
応接室にはいつもの面々。この面子がいてくれればどれだけ楽だったか。
甘えなかった自分を褒めたい。
「トロールを倒したそうだな。しかも自力で」
「銃を使ったシーンもあったけどな」
「だが、倒したのだろう」
「おうよ。皆のおかげでな」
「うむ、素晴らしい。もっと励むのだぞ」
「はい!」
成長を喜んでくださる中佐。
このように、立場が逆転する事が発生する時があるが、もう気にしない。
笑顔で褒めてくれることが、このクエストのご褒美ですよ。
こんな美人上司が褒めてくれるなら、俺は社畜としてブラックを凌駕するダークな会社でも働ける自信があるね!
元の世界に戻っても、立派に社会人になれる勇気を得られた気分である。
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