異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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増やそう経験

PHASE-296【圧倒的、有利である】

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 下卑た発言が俺に聞こえているということは、ここでも当然、バニー中佐にも聞こえているわけだ。
 なので更なる恥辱に襲われて動きが悪くなる。

「どうした? ベル」
 あのベルに対して強気に攻められている俺は、口角を上げて問うてしまう。

「調子に……乗るな!」
 おお!? なんという横薙ぎなんだ!
 ――――遅い! 遅すぎるぞベル。まるで児戯のようじゃないか。チャンバラでもしたいのかな?

 だが悲しいかなその大きさである。児戯程度に動いても揺れてしまう。
 感謝とばかりに野郎達が声を上げ、拝む姿まで見られる。
 
 ベルの体は、徐々に締め付けらていく拘束具でも着用しているかのように動きが鈍くなっていく。
 
 うさ耳バンドはベルの感情と同期していると思わせるように、両耳が更に垂れ下がり、なんとも弱々しい。

「ハハハ――――」
 反面、俺は有利なこの状況に、恍惚な気分となって攻め立てる。

「どうしたんだ。防戦一方じゃないか。らしくないぞ中佐」
 ゴロ太達の声援を奪われ、野郎達を前に恥ずかしい姿をさらした状態で、ボルテージの上がるアバカンコールの中から聞こえてくる下品な発言。
 完全なる俺のホームに、ベルは渋面に支配される。
 これが俺の固有結界の真の力だ!
 我がEX宝具、凄く尊き理想胸アバカンの力なのだ!

「なんちゃって!」
 俺いま、スゲー調子に乗ってます。
 自分でも駄目だなと思うくらいに調子に乗ってます。
 でも制御できない。だって調子に乗っているから。

「それそれそれ~」
 言葉尻を伸ばしながらも苛烈に攻めていく。調子に乗っていても手を緩めないのは、俺がこの世界で鍛えられてきた証拠。
 強い打ち込みを繰り返す。
 示現流で立木に連続して打ち込むような感じの、上から下の高速往復運動。
 それに合わせて、木管楽器のような高い音が鳴り響く。
 
 防げば防ぐで、受ける衝撃でプルプルと震えるお乳様。
 ありがて~。

「参りましたと言えば――、元に戻してやるぞ。トールは強くなったと付け加えれば尚良し」

「この阿呆が!」

「口は強気でも動きは消極的だな。今こそ俺がマスターだということを認識させてやる!」
 いったん距離を置き、手拍子を始めてから、

「アーバカン! アーバカン!」
 コール&レスポンスの更なる熱を高めていく。
 野郎達は盛った猿のように声を張り上げてくれる。
 野郎達の思いが熱となり、湯気となって濛々と空に立ち込みそうな勢い。

「ハハ――――」
 乾いた笑いをこぼしてしまう。
 まるで背徳の町の住人のようじゃないか。この狂いようは――。
 だが、背徳の町を灰燼とする神の炎は現在、品切れ中だからな~。
 メギドフレイムの使い手は、現在それが使えないばかりか、必死になってまろび出そうな乳を隠すので手一杯だからな。

「今一度問うぞ。参ったと言えばここで終わらせてやる」

「誰が貴様に屈するか!」
 気骨もあるが、鎖骨も最高。
 隠しきれない胸に、内股となっている姿は可愛らしい。
 強気に発言しようとも、色香と愛らしさのある姿では、説得力はないな。

「ええい! ふしだらな目を向けるな!」

「そんな魅力的な姿を目の前にして、向けるなと言うのが難しい。そもそも戦ってる相手を前にして、よそ見なんて出来るかぁぁぁぁ!」

「後半は正しい。だが私が言っているのは、そのだらしない目を指摘しているのだ!」
 どうやらかなり、だらしない目になっているようだ。
 怒り任せに木剣を振るベル。

 だが――――、

「「「「おお!」」」」や「「「「イィィィィヤッホォォォォォォォォ!!!!」」」」
 と、俺の固有結界である凄く尊き理想胸アバカンが、周囲で狂熱の猛りを見せる限り、ベルの動きは全くもって脅威とならない鈍い動き。
 攻撃を捕捉する事のなんと容易いことか。
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