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増やそう経験
PHASE-338【鱗には鱗】
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鎧職人さん。凝視されれば普段なら集中できない! と怒りそうだが、勇者兼会頭の俺や、シャルナのような美人さんも見てるもんだから、照れてらっしゃる。
「お待たせしました」
ワックさんの登場である。
そう、俺の装備だよ。見学じゃない。俺の装備!
火龍の鱗による装備がいよいよ完成するわけだ。
「この様な素晴らしい素材をこの手で加工することが出来たこと、最高に幸せでした」
と、満面の笑みのワックさん。
伝説の装備なんてレベルでは括れない、神のような存在である四大聖龍の長から貰った鱗。
最高の素材を加工するという事は、作り手にとって最高の喜びだったようだ。
――――ワックさんは話したくてたまらなかったようで、作業工程を語ってくれる。
口を切る内容は、とても苦労したということだった。
アルマースドラゴンと呼ばれる、非常に硬く希少な鱗を持ったドラゴンがいるそうで、このドラゴンの鱗から作られた回転ノコギリならば、大抵の鉱物なんかは加工が簡単に出来るらしいのだが、火龍の鱗の作業工程をスムーズにする為の一カ所を切り取るだけでも、かなりの時を要したそうだ。
なんの作業かというと、火龍の鱗で回転ノコギリを作るという工程。
Sサイズピザくらいの回転ノコギリを作るだけで、アルマースドラゴンの鱗を三桁も消耗し、夜通しで四日を費やして、ようやく一つの回転ノコギリを製作したそうだ。
ここまでが苦行だったらしい。これが出来れば後は順調だったと、得意げに胸を張るワックさん。
火龍の鱗は火龍の鱗で作った回転ノコギリで加工する。
ダイヤモンドはダイヤモンドで。ってやつだな。
畳一畳ほどの鱗を切断機に取り付けた回転ノコギリで切断していき、次に作り出したのが、火龍の鱗から出た粉末を利用した研削盤。
切り取った鱗を研削盤にて研削していく。
以前ギムロンの言っていた、ミスリルなんかの希少な鉱物から加工中に出て来る粉末をコーティングとして利用し、鉄製武具の強化を行う工法。
砥石を火龍の鱗でコーティング。
正にその工法が使用されたわけだ。
切断機、研削盤。これらを揃えることで、細やかなでスピーディーな作業が可能となったそうだ――――。
「あの、もしよろしければ、このまま火龍の鱗で出来た切断機や研削盤の使用を許可してもらえればと思っています」
ワックさんは恐る恐る俺に許可を得ようとする。
これが有れば、アダマンタイトだろうが緋緋色金だろうが、加工が容易くなるという。
その分、奪われることがあれば大変だから、厳重に管理するのでとお願いしてくる。
先生に目を向ければ、なんの反応もない。俺に一任するといったところか。
「――――いいんじゃないですかね。それが有れば今後の王都の発展にも繋がるわけですし」
「ありがとうございます!」
ワックさんが喜べば、ワックさんの手伝いをするゴロ太も喜ぶ。
「ああ、可愛い」
と、さっきからゴロ太がこの作業場で手伝いをする姿を凝視するベルがようやく口を開いた。
見る姿が完全に、授業参観に参加している母親のようである。
「じゃあゴロ太。切断をやっていこう」
「わかったよ」
ゴロ太がサポートを開始する。
切断機に乗せた火龍の鱗をワックさんと一緒に押さえながら切断していく。
畳一畳ほどあった鱗も、今では随分と小さくなった。
完成間近の籠手の、仕上げのために使用するパーツ部分を切り取っているらしい。
籠手か。いいじゃないか。火龍の籠手。格好いい。
「ああ、危ない。怪我でもしたらどうするのだ」
と、俺が自分の装備の完成にワクワクしている中、隣では過保護なベルが心配でオロオロしている。
まったく、ゴロ太や愛玩達が絡んでくると、途端にダメになるな……。
そんな心配などどこ吹く風とばかりに、人間の手以上に器用な前足で、細やかな作業をこなしていくゴロ太。
流石は名前がアウト気味な存在だぜ――――。
「お待たせしました」
ワックさんの登場である。
そう、俺の装備だよ。見学じゃない。俺の装備!
火龍の鱗による装備がいよいよ完成するわけだ。
「この様な素晴らしい素材をこの手で加工することが出来たこと、最高に幸せでした」
と、満面の笑みのワックさん。
伝説の装備なんてレベルでは括れない、神のような存在である四大聖龍の長から貰った鱗。
最高の素材を加工するという事は、作り手にとって最高の喜びだったようだ。
――――ワックさんは話したくてたまらなかったようで、作業工程を語ってくれる。
口を切る内容は、とても苦労したということだった。
アルマースドラゴンと呼ばれる、非常に硬く希少な鱗を持ったドラゴンがいるそうで、このドラゴンの鱗から作られた回転ノコギリならば、大抵の鉱物なんかは加工が簡単に出来るらしいのだが、火龍の鱗の作業工程をスムーズにする為の一カ所を切り取るだけでも、かなりの時を要したそうだ。
なんの作業かというと、火龍の鱗で回転ノコギリを作るという工程。
Sサイズピザくらいの回転ノコギリを作るだけで、アルマースドラゴンの鱗を三桁も消耗し、夜通しで四日を費やして、ようやく一つの回転ノコギリを製作したそうだ。
ここまでが苦行だったらしい。これが出来れば後は順調だったと、得意げに胸を張るワックさん。
火龍の鱗は火龍の鱗で作った回転ノコギリで加工する。
ダイヤモンドはダイヤモンドで。ってやつだな。
畳一畳ほどの鱗を切断機に取り付けた回転ノコギリで切断していき、次に作り出したのが、火龍の鱗から出た粉末を利用した研削盤。
切り取った鱗を研削盤にて研削していく。
以前ギムロンの言っていた、ミスリルなんかの希少な鉱物から加工中に出て来る粉末をコーティングとして利用し、鉄製武具の強化を行う工法。
砥石を火龍の鱗でコーティング。
正にその工法が使用されたわけだ。
切断機、研削盤。これらを揃えることで、細やかなでスピーディーな作業が可能となったそうだ――――。
「あの、もしよろしければ、このまま火龍の鱗で出来た切断機や研削盤の使用を許可してもらえればと思っています」
ワックさんは恐る恐る俺に許可を得ようとする。
これが有れば、アダマンタイトだろうが緋緋色金だろうが、加工が容易くなるという。
その分、奪われることがあれば大変だから、厳重に管理するのでとお願いしてくる。
先生に目を向ければ、なんの反応もない。俺に一任するといったところか。
「――――いいんじゃないですかね。それが有れば今後の王都の発展にも繋がるわけですし」
「ありがとうございます!」
ワックさんが喜べば、ワックさんの手伝いをするゴロ太も喜ぶ。
「ああ、可愛い」
と、さっきからゴロ太がこの作業場で手伝いをする姿を凝視するベルがようやく口を開いた。
見る姿が完全に、授業参観に参加している母親のようである。
「じゃあゴロ太。切断をやっていこう」
「わかったよ」
ゴロ太がサポートを開始する。
切断機に乗せた火龍の鱗をワックさんと一緒に押さえながら切断していく。
畳一畳ほどあった鱗も、今では随分と小さくなった。
完成間近の籠手の、仕上げのために使用するパーツ部分を切り取っているらしい。
籠手か。いいじゃないか。火龍の籠手。格好いい。
「ああ、危ない。怪我でもしたらどうするのだ」
と、俺が自分の装備の完成にワクワクしている中、隣では過保護なベルが心配でオロオロしている。
まったく、ゴロ太や愛玩達が絡んでくると、途端にダメになるな……。
そんな心配などどこ吹く風とばかりに、人間の手以上に器用な前足で、細やかな作業をこなしていくゴロ太。
流石は名前がアウト気味な存在だぜ――――。
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