346 / 1,861
増やそう経験
PHASE-346【銘を決めよう】
しおりを挟む
「あの、満足でしょうか」
言葉を返さなかったから、些か不安な表情のワックさん。
俺の表情を見れば不安になるなんて事はないだろうに。
これで満足いかないとか言えば、どんだけ勘違い野郎だと思われることか。
「頭に大をつける満足ですよ」
やはり、口には出さないといけないな。
言われてやっと、ワックさんも心から笑んでくれた。
そうだよな。火龍の鱗を加工しないといけない重責を背負わせてたんだもんな。顔に出すだけでなく、ちゃんと言葉にしないといけなかったな。
「ありがとうございますワックさん」
再度、謝意を述べてから、典雅な一礼。
心から感謝を込めての一礼だ。
「本当に良かったです。ところで――――」
破顔となったワックさんが言葉を続ける。
心なしか体が弛緩している。重責から解き放たれたからな。
気分も体も軽くなったからか、軽い調子で継がれたのは、
「折角ですので銘を」
とのこと。
銘か。確かに大事な事だ。後の世で【勇者が使用していた伝説の刀】って事で伝えられていくであろうからな。
数多の魔王軍。幹部、そして魔王を倒した。という予定の刀だからな。変な名前だけは絶対につけられない。
「さっさと決めてください。覗き魔でいいでしょう」
「ゴメンだねそんな名前。しつこくて悪いが、お前のは見てない」
そもそも覗き魔じゃなくて、覗き魔だし。格好良く言ってくれなと困るよ。
コクリコの馬鹿した言い様に対してカウンターを見舞ってやれば、
「くぅぅぅぅぅぅぅ――――。こちらには非が無いはずなのに、その発言には悔しさだけがこみ上がってきますよ」
非が無いとか。俺の挑発に乗って、仕切りに穴をあけたのはお前だけどな。
だがこの話はここで強制的に終わらせたいね。
じゃないと、あの時をお思い出したベルとシャルナが、冷たい目線を俺に向けてくるからな。
俺はこれ以上、殴る蹴るの暴行を受けるのはごめんだ。
なんか格好いい名前ってないもんかな~。俺の中二病が炸裂するような名前。
真紅の鞘だからブラッディなんちゃら――――。
火龍は神のような存在のでもあるから、古くからいるとして、エンシェントなんちゃら――――。
あえての横文字だが、しっくりこない。
柄の作りから日本刀をモチーフにしてくれたんだろうけど、そもそも玉鋼じゃないから日本刀とは似て非なるもの。
横文字でもいいとおもったが、デザイン的にやはり漢字がいいような。
「ふむ~ん」
「何をそんなに考える必要がある。適当につければいいだろう」
「ベルさん。これは大事なことなんだ。後世の歴史家たちに、ダサい単語を口にさせたくないという、俺の優しさを分かってほしいね」
「別に勇者の刀で良いだろう。あえて無銘にするのもいいと思うぞ」
なるほど無銘ね。確かに格好いいかもしれない。
無銘なのに名刀。うん。俺の中二心がくすぐられるな。
「いえ、名前は大事ですよ」
と、ここで覗き魔とかいうセンスの無い発言をしたコクリコが、またもズイッと俺たちに一歩足を進めてから述べる。
「魔眼刀ってどうです?」
「なんだよ魔眼って? なんにもかかってねえよ」
「覗き魔の眼ですよ」
「しつこいぞ。妖怪ツルツルペタペタ」
その話は止めろ。スタイル抜群たちが怖いんだからな。
こき下ろすように新しい呼称をプレゼントしてやれば、
「よし、表出ろ」
さっきのと含めて、妖怪ツルツルペタペタ発言でとうとうエンレージが溢れだしたのか、ヤンキーみたいなことを言い出したよ。
徒手空拳だとしても、今の俺に勝てるかな? 火龍装備を着用したこの俺に。
ピリアに火龍装備。最早、お前のシャイニング・ケンカキックは完全に通用しなくなった。悔しかったら本物つれてこいやエー!
「じゃあさ、シルフィードってどう?」
シャルナのアイディア。
流石はエルフだ。風の精霊の名前を出してくる。まったくもって火龍とは関わりがないよ。
風龍ならよかったんだろうけどさ。俺に鱗をくれたのは火龍だから。なので却下。
「ゲッコーさんは」
「そんなもんは振って斬れればなんでもいいだろ」
おっと合理的な回答。
おかしいな。以前のゲッコーさんなら何かしら言うと思ったんだが。
いや――――、ベルもだ。無銘とか言ってたが、もしかしてこの二人、以前のギルド名のアイディアを俺が却下したことで、言いにくくなっているのだろうか?
あの時は、自分のゲームの組織名だったり、帝国軍の遊撃だったりとあり得なかったからな。
俺にツッコまれるのが嫌だからこその回避と見ていいだろう。
意外とこの二人、ギヤマンハートだな。
言葉を返さなかったから、些か不安な表情のワックさん。
俺の表情を見れば不安になるなんて事はないだろうに。
これで満足いかないとか言えば、どんだけ勘違い野郎だと思われることか。
「頭に大をつける満足ですよ」
やはり、口には出さないといけないな。
言われてやっと、ワックさんも心から笑んでくれた。
そうだよな。火龍の鱗を加工しないといけない重責を背負わせてたんだもんな。顔に出すだけでなく、ちゃんと言葉にしないといけなかったな。
「ありがとうございますワックさん」
再度、謝意を述べてから、典雅な一礼。
心から感謝を込めての一礼だ。
「本当に良かったです。ところで――――」
破顔となったワックさんが言葉を続ける。
心なしか体が弛緩している。重責から解き放たれたからな。
気分も体も軽くなったからか、軽い調子で継がれたのは、
「折角ですので銘を」
とのこと。
銘か。確かに大事な事だ。後の世で【勇者が使用していた伝説の刀】って事で伝えられていくであろうからな。
数多の魔王軍。幹部、そして魔王を倒した。という予定の刀だからな。変な名前だけは絶対につけられない。
「さっさと決めてください。覗き魔でいいでしょう」
「ゴメンだねそんな名前。しつこくて悪いが、お前のは見てない」
そもそも覗き魔じゃなくて、覗き魔だし。格好良く言ってくれなと困るよ。
コクリコの馬鹿した言い様に対してカウンターを見舞ってやれば、
「くぅぅぅぅぅぅぅ――――。こちらには非が無いはずなのに、その発言には悔しさだけがこみ上がってきますよ」
非が無いとか。俺の挑発に乗って、仕切りに穴をあけたのはお前だけどな。
だがこの話はここで強制的に終わらせたいね。
じゃないと、あの時をお思い出したベルとシャルナが、冷たい目線を俺に向けてくるからな。
俺はこれ以上、殴る蹴るの暴行を受けるのはごめんだ。
なんか格好いい名前ってないもんかな~。俺の中二病が炸裂するような名前。
真紅の鞘だからブラッディなんちゃら――――。
火龍は神のような存在のでもあるから、古くからいるとして、エンシェントなんちゃら――――。
あえての横文字だが、しっくりこない。
柄の作りから日本刀をモチーフにしてくれたんだろうけど、そもそも玉鋼じゃないから日本刀とは似て非なるもの。
横文字でもいいとおもったが、デザイン的にやはり漢字がいいような。
「ふむ~ん」
「何をそんなに考える必要がある。適当につければいいだろう」
「ベルさん。これは大事なことなんだ。後世の歴史家たちに、ダサい単語を口にさせたくないという、俺の優しさを分かってほしいね」
「別に勇者の刀で良いだろう。あえて無銘にするのもいいと思うぞ」
なるほど無銘ね。確かに格好いいかもしれない。
無銘なのに名刀。うん。俺の中二心がくすぐられるな。
「いえ、名前は大事ですよ」
と、ここで覗き魔とかいうセンスの無い発言をしたコクリコが、またもズイッと俺たちに一歩足を進めてから述べる。
「魔眼刀ってどうです?」
「なんだよ魔眼って? なんにもかかってねえよ」
「覗き魔の眼ですよ」
「しつこいぞ。妖怪ツルツルペタペタ」
その話は止めろ。スタイル抜群たちが怖いんだからな。
こき下ろすように新しい呼称をプレゼントしてやれば、
「よし、表出ろ」
さっきのと含めて、妖怪ツルツルペタペタ発言でとうとうエンレージが溢れだしたのか、ヤンキーみたいなことを言い出したよ。
徒手空拳だとしても、今の俺に勝てるかな? 火龍装備を着用したこの俺に。
ピリアに火龍装備。最早、お前のシャイニング・ケンカキックは完全に通用しなくなった。悔しかったら本物つれてこいやエー!
「じゃあさ、シルフィードってどう?」
シャルナのアイディア。
流石はエルフだ。風の精霊の名前を出してくる。まったくもって火龍とは関わりがないよ。
風龍ならよかったんだろうけどさ。俺に鱗をくれたのは火龍だから。なので却下。
「ゲッコーさんは」
「そんなもんは振って斬れればなんでもいいだろ」
おっと合理的な回答。
おかしいな。以前のゲッコーさんなら何かしら言うと思ったんだが。
いや――――、ベルもだ。無銘とか言ってたが、もしかしてこの二人、以前のギルド名のアイディアを俺が却下したことで、言いにくくなっているのだろうか?
あの時は、自分のゲームの組織名だったり、帝国軍の遊撃だったりとあり得なかったからな。
俺にツッコまれるのが嫌だからこその回避と見ていいだろう。
意外とこの二人、ギヤマンハートだな。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる