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極東
PHASE-378【入室前は規則として預けるようです】
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「では、準備は整っておりますのでお入りください」
髪型もちゃんと整ったよ。と、笑顔で言ってやれば、先ほどは頬だけだったが、俺の一言で顔全体が赤くなってしまった。
ランシェルちゃんマジ天使。
可愛い子の照れた姿を目にしたおかげで、緊張した体も少しはほぐれたってもんだ。
赤面のままドアを開いてくれるランシェルちゃんに一礼してから、
「失礼します」
職員室に入る時みたいに一言いってから入室すれば、目の前にはドアが現れる。
流石は金持ちの部屋だ。ドアを開けば大広間ってわけじゃない。
別邸は開けば直ぐに広間だったが、本邸で、しかも姫がいる場となると、特別な広間のようだ。
ランシェルちゃんが再度ドアを開けば、次に現れるのは空間。広さにして十畳くらいの何もない空間。
そこにいるのは四人の衛兵。
装備は俺たちが出会った騎兵の物より数段上の物。
四人中二名の装備は、室内戦闘を想定してのショートソードに、取り回しのよいバックラーを腕に固定したフルプレート。
バックラーの中心部分は三角錐の突起が備わっている。
あのスパイク部分で殴られたら、ただでは済まないな。
攻防一体のバックラーだ。
残りの二人も鎧は同じフルプレートだが、腕部分はラージシールド。
鞘に収めているのは、グラディウスを思わせ肉厚で幅広な剣身だ。
ラージシールド組が有事の際は姫を守る存在で、前衛がショートソード持ちってところだろう。
四人とも顔全体を兜で覆っているので、表情は見えない。
グレートヘルムみたいなバケツ型ではなく、独特な形状。
俺が気になっていると感じたゲッコーさんが、小声で教えてくれる。
――バシネットと呼ばれる兜だそうだ。
顔正面は円錐状に突き出していて、無数の空気穴があり、鳥の嘴のようだ。
頂部は烏帽子のように伸びている。
円錐は攻撃をそらす効果があるそうだ。
グレートヘルムがバケツ型なら、このバシネットってのは砲弾型と呼ばれるとの事。
「装備は預かります」
籠もっているが重厚な声だ。
バシネットのスリット部分の奥から見える目がこちらに向けられれば、妙な威圧感を覚えてしまう。
流石は要人を守護する人達だ。相当な使い手だというのは、佇まいで理解できる。
姫の御前という事もあって、装備は預けないといけないようだ。
王様や侯爵の時は、こんなにセキュリティーは厳しくなかったのにな。
まあ仕方はないけど。
侯爵が王様から預かった大事な人物だからな。厳しくなるのも分かる。
分かるんだが、やだな~。と、貧乏性が発動。
この世界において最高の刀を他人に預けるなんて出来る勇気が無い勇者です。
もし盗まれたらって考えると、クリア一歩手前のゲームデータが消えるのより怖い。
「これは勇者として肌身離さず佩刀していたいんですが」
とりあえず言ってみる。
「いや、その……。規則なので」
困ったような声音に変わり、公務員の真言みたいな台詞で返してくる。
規則は破るためにあるんだよ。と、心で呟く。
「どうしてもダメ?」
「駄目です。規則ですので」
ここで引いてはいけないと思ったようで、衛兵の方が声音を強いものにする。
俺が可愛い女の子で、猫なで声でお願いした場合、はたして同じような事が言えただろうか。
などと、意味のない反論を思ってみても意味はない。
――――仕方ない。
「ベル」
「なんだ?」
広い空間で助かる。
衛兵達から離れて小声でやりとり。
流石に火龍の装備をおいそれと渡すわけにはいかない。でも渡さないといけない。
となれば――――、
「ここで待機して見張っててくれる」
「いいだろう」
「助かるよ」
俺たちの中で最強の存在。つまりはこの世界で最強と謳っても過言では無い存在。
もし衛兵達が邪な心に囚われてしまったら、ベルの蹴りを見舞ってほしい。
ついでだ――、
「コクリコもここで待機しといてくれ」
「任せてください」
無い胸を突き出してくる。
どうせ姫のとこに行っても何もできないしな。屋敷の豪華さに呑まれているから、これ以上は先に進みたくないようだ。
大事にしているワンドを他人に触らせたくないのも残る理由のようだ。
俺もベルに預ければいいだろうが、衛兵に預けないで味方に全てを預けるとなると、相手からすると、我々を信頼していないのか! と、侮辱された気分になるだろう。
こちらに抱く心証を悪いものにしたくない。
侯爵との今後の付き合いも考えるとそれは良くないので、妥協するところでは妥協しないとな。
俺が所持する銃、FN-57とチーフスペシャルはゲッコーさんに預けて宙空に閉まってもらい、残火とゴロ太のナイフは――、
「よろしくお願いします」
頭を下げて衛兵に預けた。
ゲッコーさんは形式的にボウイナイフと、一回り小さいシースナイフを預ける。
シャルナは自慢の弓と、黒石英のタリスマンで出来たショートソードを預けた。
この行為を終えることで、広間へと続くドアが開かれ、俺とゲッコーさんとシャルナの三人で入室。
髪型もちゃんと整ったよ。と、笑顔で言ってやれば、先ほどは頬だけだったが、俺の一言で顔全体が赤くなってしまった。
ランシェルちゃんマジ天使。
可愛い子の照れた姿を目にしたおかげで、緊張した体も少しはほぐれたってもんだ。
赤面のままドアを開いてくれるランシェルちゃんに一礼してから、
「失礼します」
職員室に入る時みたいに一言いってから入室すれば、目の前にはドアが現れる。
流石は金持ちの部屋だ。ドアを開けば大広間ってわけじゃない。
別邸は開けば直ぐに広間だったが、本邸で、しかも姫がいる場となると、特別な広間のようだ。
ランシェルちゃんが再度ドアを開けば、次に現れるのは空間。広さにして十畳くらいの何もない空間。
そこにいるのは四人の衛兵。
装備は俺たちが出会った騎兵の物より数段上の物。
四人中二名の装備は、室内戦闘を想定してのショートソードに、取り回しのよいバックラーを腕に固定したフルプレート。
バックラーの中心部分は三角錐の突起が備わっている。
あのスパイク部分で殴られたら、ただでは済まないな。
攻防一体のバックラーだ。
残りの二人も鎧は同じフルプレートだが、腕部分はラージシールド。
鞘に収めているのは、グラディウスを思わせ肉厚で幅広な剣身だ。
ラージシールド組が有事の際は姫を守る存在で、前衛がショートソード持ちってところだろう。
四人とも顔全体を兜で覆っているので、表情は見えない。
グレートヘルムみたいなバケツ型ではなく、独特な形状。
俺が気になっていると感じたゲッコーさんが、小声で教えてくれる。
――バシネットと呼ばれる兜だそうだ。
顔正面は円錐状に突き出していて、無数の空気穴があり、鳥の嘴のようだ。
頂部は烏帽子のように伸びている。
円錐は攻撃をそらす効果があるそうだ。
グレートヘルムがバケツ型なら、このバシネットってのは砲弾型と呼ばれるとの事。
「装備は預かります」
籠もっているが重厚な声だ。
バシネットのスリット部分の奥から見える目がこちらに向けられれば、妙な威圧感を覚えてしまう。
流石は要人を守護する人達だ。相当な使い手だというのは、佇まいで理解できる。
姫の御前という事もあって、装備は預けないといけないようだ。
王様や侯爵の時は、こんなにセキュリティーは厳しくなかったのにな。
まあ仕方はないけど。
侯爵が王様から預かった大事な人物だからな。厳しくなるのも分かる。
分かるんだが、やだな~。と、貧乏性が発動。
この世界において最高の刀を他人に預けるなんて出来る勇気が無い勇者です。
もし盗まれたらって考えると、クリア一歩手前のゲームデータが消えるのより怖い。
「これは勇者として肌身離さず佩刀していたいんですが」
とりあえず言ってみる。
「いや、その……。規則なので」
困ったような声音に変わり、公務員の真言みたいな台詞で返してくる。
規則は破るためにあるんだよ。と、心で呟く。
「どうしてもダメ?」
「駄目です。規則ですので」
ここで引いてはいけないと思ったようで、衛兵の方が声音を強いものにする。
俺が可愛い女の子で、猫なで声でお願いした場合、はたして同じような事が言えただろうか。
などと、意味のない反論を思ってみても意味はない。
――――仕方ない。
「ベル」
「なんだ?」
広い空間で助かる。
衛兵達から離れて小声でやりとり。
流石に火龍の装備をおいそれと渡すわけにはいかない。でも渡さないといけない。
となれば――――、
「ここで待機して見張っててくれる」
「いいだろう」
「助かるよ」
俺たちの中で最強の存在。つまりはこの世界で最強と謳っても過言では無い存在。
もし衛兵達が邪な心に囚われてしまったら、ベルの蹴りを見舞ってほしい。
ついでだ――、
「コクリコもここで待機しといてくれ」
「任せてください」
無い胸を突き出してくる。
どうせ姫のとこに行っても何もできないしな。屋敷の豪華さに呑まれているから、これ以上は先に進みたくないようだ。
大事にしているワンドを他人に触らせたくないのも残る理由のようだ。
俺もベルに預ければいいだろうが、衛兵に預けないで味方に全てを預けるとなると、相手からすると、我々を信頼していないのか! と、侮辱された気分になるだろう。
こちらに抱く心証を悪いものにしたくない。
侯爵との今後の付き合いも考えるとそれは良くないので、妥協するところでは妥協しないとな。
俺が所持する銃、FN-57とチーフスペシャルはゲッコーさんに預けて宙空に閉まってもらい、残火とゴロ太のナイフは――、
「よろしくお願いします」
頭を下げて衛兵に預けた。
ゲッコーさんは形式的にボウイナイフと、一回り小さいシースナイフを預ける。
シャルナは自慢の弓と、黒石英のタリスマンで出来たショートソードを預けた。
この行為を終えることで、広間へと続くドアが開かれ、俺とゲッコーさんとシャルナの三人で入室。
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