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レティアラ大陸
PHASE-490【隊伍と統率が取れた者達】
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「にしても、頑張れば勝てる相手だな」
副官相手にも十分に戦えるだけの実力がある事がわかった。
もちろん変則的な動きのレッドキャップスに、忠誠心の高い護衛軍の士気の高さを油断してはいけないけど。
「それだけトール様たちがお強いのです」
恭しく頭を下げてランシェルが答える。
他の亡骸にもプレイギアを向けたが、レッドキャップスの平均レベルは40オーバー。
一般護衛軍が20~30の間だった。
現状、不利になることなく倒すことは出来ているけども、単純に20~40レベルが集団で攻めてきているわけだから、攻略難易度は必ずしも低くはない。
RPG序盤のフィールドに、出現するレベル1のモンスターなんかとはわけが違う。
序盤~中盤のボスクラスが、雑魚として出て来るような場所と同じ環境が、今の俺たちがいるラッテンバウル要塞。
「そう考えると、ベルやランシェルが言うように、俺って強くなったよね」
「調子に乗るのは良くないが、謙虚すぎるのも良くない。自信を持って述べても問題ないが、過信にはなるなよ」
「おうよ」
こんな場所で油断して足をすくわれたら、その時点で異世界生活はエンドだからな。
そうならないように、過信だけはしないように己を律せねば。
とりあえず、両手で頬を叩いて気を引き締める俺。
「トールも勇者として、歩み始めたわけですよ」
なぜ上からなのだろうか。このまな板は。
「まあ、そうだよな。ノービスからコクリコが脱却できたわけだから、俺だって成長してないとおかしいもんな」
フフンと、鼻で笑いつつ返してやれば、コクリコは悔しかったのか舌打ち。
「よし、その自信は次ぎに取っておけ。連戦だ。更にきつくなるだろうからな」
場を引き締めるゲッコーさん。
指導者でもある人物の声には、自然と背筋を伸ばす効果があるようだ。
――――言うように、しばらく進めば通路には護衛軍が待機している。先ほどの連中も合流しているようだ。
護衛軍の奥には巨大な門も見える。
重厚ながら、傷もなく風化も見られない真新しい門は、脅威が今まで無かったことを窺わせる。
だが、綺麗ではあっても、威厳は伝わってこない門だ。
俺たちが傷でもつけて、威厳のある門にしてやろう。
立派な門に。護衛軍の不退転の決意がにじみ出る陣形――――。
いよいよ大詰めのステージに突入といったところだろう。
「魔法隊!」
俺が抜刀したのを合図としたみたいに、一斉に魔法が俺たちに向かって飛んでくる。
赤に青、黄色に白光などカラフルなものだ。
様々な属性攻撃魔法が迫る中で、
「イグニース」
「プロテクション」
と、俺とシャルナによる二重障壁。
激しい爆発音や電撃音に砕ける音など、色もさることながら、着弾時の音も多種多様だった。
矢継ぎ早といった感じで、間断のない魔法攻撃が立て続けに仕掛けられる。
「備えろ」
これは突撃を支援するための援護射撃だとゲッコーさん。
道中では、遠距離攻撃の代わりにレッドキャップスによる瞬間移動が、護衛軍の進撃を補助していたが、今回は正攻法でしかけてくる。
俺とシャルナの側面にはベルとゲッコーさん。
炎の盾を展開しつつ肩越しに後ろを見れば、俺の一歩後方でランシェルがナックルダスターを握って迎撃態勢。
コクリコは調子に乗っているけども、素直にランシェルの後方で待機。
いつでも魔法発動ができるように、貴石が先端に付いたワンドを敵へと向けている。
「シャァァァア」
前進する部隊の先駆けとなったのはレッドキャップス。
大鎌を持ったレッサーデーモンによる一振り。
ベルがそれを捌けば、レッサーデーモンは後方にさがり、欲を出した攻め方はしてこない。
代わりに側面から同じ悪魔系統のインプが手斧を持って仕掛ける。
「もうその移動方法は興味ない」
インプは攻撃を行う事も、後退をすることも出来ずに、ベルによって灰燼となる。
魔法の衝撃が散発的になったところで、
「突撃、近いぞ」
魔法部隊に代わって、今度は遠距離掩護を受けていた、接近戦担当の護衛軍が迫る。
ゲッコーさんが使用したAA-12対策としてなのか、重厚な盾を持ったトロールが三体。
その後ろには、様々な武器を持った護衛軍が続く。
「装甲車両の後方に隠れながら前進する歩兵みたいだな。良い統制だ」
トロールは自慢の怪力を攻撃ではなく防御に徹底し、五メートルほどの力士体系が、分厚い鉄の盾――というより壁をもってこちらに進んでくる。
中腰の状態とはいえ、トロールの全体が隠れるほどの面積からなる盾。
壁が迫ってくる圧というのは驚異だ。
「よしトール。頼むぞ」
「分かりました。ゲッコーさんも援護、頼みますよ」
炎の盾を解除。
「任せろ」
力強い返答をもらってから、
「ベルは俺と攻めるぞ」
「分かっている」
壁が迫ってくるなら、壁を断てる物を手にした者が挑むしかない。
俺の残火と、ベルの技量で対応する。
ベルの技量にスキル名を付けるとするなら、【斬鉄】だろうな。
盾と盾の間から、護衛軍が魔法攻撃と遠距離武器による攻撃で俺たちを攻撃。
その中をベルと二人して駆ける。
接近は許さないとばかりに、レッドキャップスが瞬間移動にて俺たちの側面から妨害を仕掛けてくるけども、ベルは一閃で屠れば、速度を落とさずトロールを目指す。
俺はレッサーデーモンの大鎌を残火の鎬部分で受けて動きを封じ、そこをゲッコーさんが、MASADAで援護射撃。
絶命には至らなかったが、被弾して動きが鈍くなったレッサーデーモンは、痛みから体勢を整えようとするが、俺の方が一手早く、距離を詰めて胴打ち。
掩護からの一太刀。
最強であるベルと違って、俺はクレバーに戦う。
残火は刀身が触れれば決殺とばかりに、レッサーデーモンの体を胴から両断。
背中に変えたコウモリような羽の一部も断ちつつ、命を斬獲。
副官相手にも十分に戦えるだけの実力がある事がわかった。
もちろん変則的な動きのレッドキャップスに、忠誠心の高い護衛軍の士気の高さを油断してはいけないけど。
「それだけトール様たちがお強いのです」
恭しく頭を下げてランシェルが答える。
他の亡骸にもプレイギアを向けたが、レッドキャップスの平均レベルは40オーバー。
一般護衛軍が20~30の間だった。
現状、不利になることなく倒すことは出来ているけども、単純に20~40レベルが集団で攻めてきているわけだから、攻略難易度は必ずしも低くはない。
RPG序盤のフィールドに、出現するレベル1のモンスターなんかとはわけが違う。
序盤~中盤のボスクラスが、雑魚として出て来るような場所と同じ環境が、今の俺たちがいるラッテンバウル要塞。
「そう考えると、ベルやランシェルが言うように、俺って強くなったよね」
「調子に乗るのは良くないが、謙虚すぎるのも良くない。自信を持って述べても問題ないが、過信にはなるなよ」
「おうよ」
こんな場所で油断して足をすくわれたら、その時点で異世界生活はエンドだからな。
そうならないように、過信だけはしないように己を律せねば。
とりあえず、両手で頬を叩いて気を引き締める俺。
「トールも勇者として、歩み始めたわけですよ」
なぜ上からなのだろうか。このまな板は。
「まあ、そうだよな。ノービスからコクリコが脱却できたわけだから、俺だって成長してないとおかしいもんな」
フフンと、鼻で笑いつつ返してやれば、コクリコは悔しかったのか舌打ち。
「よし、その自信は次ぎに取っておけ。連戦だ。更にきつくなるだろうからな」
場を引き締めるゲッコーさん。
指導者でもある人物の声には、自然と背筋を伸ばす効果があるようだ。
――――言うように、しばらく進めば通路には護衛軍が待機している。先ほどの連中も合流しているようだ。
護衛軍の奥には巨大な門も見える。
重厚ながら、傷もなく風化も見られない真新しい門は、脅威が今まで無かったことを窺わせる。
だが、綺麗ではあっても、威厳は伝わってこない門だ。
俺たちが傷でもつけて、威厳のある門にしてやろう。
立派な門に。護衛軍の不退転の決意がにじみ出る陣形――――。
いよいよ大詰めのステージに突入といったところだろう。
「魔法隊!」
俺が抜刀したのを合図としたみたいに、一斉に魔法が俺たちに向かって飛んでくる。
赤に青、黄色に白光などカラフルなものだ。
様々な属性攻撃魔法が迫る中で、
「イグニース」
「プロテクション」
と、俺とシャルナによる二重障壁。
激しい爆発音や電撃音に砕ける音など、色もさることながら、着弾時の音も多種多様だった。
矢継ぎ早といった感じで、間断のない魔法攻撃が立て続けに仕掛けられる。
「備えろ」
これは突撃を支援するための援護射撃だとゲッコーさん。
道中では、遠距離攻撃の代わりにレッドキャップスによる瞬間移動が、護衛軍の進撃を補助していたが、今回は正攻法でしかけてくる。
俺とシャルナの側面にはベルとゲッコーさん。
炎の盾を展開しつつ肩越しに後ろを見れば、俺の一歩後方でランシェルがナックルダスターを握って迎撃態勢。
コクリコは調子に乗っているけども、素直にランシェルの後方で待機。
いつでも魔法発動ができるように、貴石が先端に付いたワンドを敵へと向けている。
「シャァァァア」
前進する部隊の先駆けとなったのはレッドキャップス。
大鎌を持ったレッサーデーモンによる一振り。
ベルがそれを捌けば、レッサーデーモンは後方にさがり、欲を出した攻め方はしてこない。
代わりに側面から同じ悪魔系統のインプが手斧を持って仕掛ける。
「もうその移動方法は興味ない」
インプは攻撃を行う事も、後退をすることも出来ずに、ベルによって灰燼となる。
魔法の衝撃が散発的になったところで、
「突撃、近いぞ」
魔法部隊に代わって、今度は遠距離掩護を受けていた、接近戦担当の護衛軍が迫る。
ゲッコーさんが使用したAA-12対策としてなのか、重厚な盾を持ったトロールが三体。
その後ろには、様々な武器を持った護衛軍が続く。
「装甲車両の後方に隠れながら前進する歩兵みたいだな。良い統制だ」
トロールは自慢の怪力を攻撃ではなく防御に徹底し、五メートルほどの力士体系が、分厚い鉄の盾――というより壁をもってこちらに進んでくる。
中腰の状態とはいえ、トロールの全体が隠れるほどの面積からなる盾。
壁が迫ってくる圧というのは驚異だ。
「よしトール。頼むぞ」
「分かりました。ゲッコーさんも援護、頼みますよ」
炎の盾を解除。
「任せろ」
力強い返答をもらってから、
「ベルは俺と攻めるぞ」
「分かっている」
壁が迫ってくるなら、壁を断てる物を手にした者が挑むしかない。
俺の残火と、ベルの技量で対応する。
ベルの技量にスキル名を付けるとするなら、【斬鉄】だろうな。
盾と盾の間から、護衛軍が魔法攻撃と遠距離武器による攻撃で俺たちを攻撃。
その中をベルと二人して駆ける。
接近は許さないとばかりに、レッドキャップスが瞬間移動にて俺たちの側面から妨害を仕掛けてくるけども、ベルは一閃で屠れば、速度を落とさずトロールを目指す。
俺はレッサーデーモンの大鎌を残火の鎬部分で受けて動きを封じ、そこをゲッコーさんが、MASADAで援護射撃。
絶命には至らなかったが、被弾して動きが鈍くなったレッサーデーモンは、痛みから体勢を整えようとするが、俺の方が一手早く、距離を詰めて胴打ち。
掩護からの一太刀。
最強であるベルと違って、俺はクレバーに戦う。
残火は刀身が触れれば決殺とばかりに、レッサーデーモンの体を胴から両断。
背中に変えたコウモリような羽の一部も断ちつつ、命を斬獲。
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