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死霊魔術師
PHASE-587【ポルターガイストの主なだけある】
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「あれか」
どういう原理なのかは分からんが、クリスタルの床からせり上がってくる柱。
様々な色の燐光を周囲に纏わせた柱の先端よりやや下部分には窪みがあり、そこには燐光が邪魔ではっきりとは見えないが人が座っていた。
まるでボールチェアに座っているかのような姿勢。
足を組んでいるのまでは分かる。
「無許可だけども、力の間へよこうそ」
周囲を飛び交う燐光が一気に離れることで、せり上がってきた柱の窪みに座っている人物の面貌をしっかりと目にすることが出来た。
あれがアルトラリッチと呼ばれる存在であり、生前は戦史にも載っているだけの英雄であるリン・クライツレンか。
「初めまして。遠坂――」
「――トールっていうんでしょ」
やはり俺たちの事を常に見ていたようだな。
ま、ポルターガイストのオムニガルから報告も受けてただろうし。
「話が早くていいですね。リン・クライツレン氏」
「話? 私は別段、話す事なんてないのだけれど」
にんまりと悪戯じみた笑みを湛えてくる。
そんな彼女の風貌は、ネクロマンサーとして死を側に侍らせているだけあって、それに見合った黒衣で身を包んでいる。
長い艶やかな黒髪にはかんざしに似た髪留めが二本。
リッチという話だが、上の方で出会ったアンデッド達と違って、ベルやシャルナのように雪肌の美しい肌。
整った顔立ちは、通り過ぎ様に目にすれば、誰もが振り返ってしまうほどの美貌を兼ね備えている。
足を組んで座る姿はそれだけで絵になるし、足の長さからしてそこそこの長身でもあるようだ。
黒衣同様の色からなる足にフィットしたスキニーパンツに、金細工が施されたハイヒールと、俺の世界にいても違和感のない風貌。
「こちらにはあるんですよね」
「そう。で、それを聞いてやる必要ってあるの?」
中々に高飛車だ。悪役令嬢とかが似合いそうだな。
でも俺も我慢が出来る人間ですから。初めてピリアを習得した時、コクリコにボコボコにされた事に比べれば、高飛車な正確なんて美人としての特権として我慢することが出来る。そんな感じで許せる男ですよ。
「聞いてもらわないと困るんですよね」
「姫の呪いでしょ。頑張って解けばいいじゃない。エリクシールならちゃちゃっと治せるわよ」
「我々は持っていませんので、お持ちならお貸しいただきたいですね」
「残念。以前は持っていたけど今は無いわね」
「では、我々とご同行してもらっていいですか。呪解のために」
「だからエリクシールの素材を探しなさいよ。そして作ればいいじゃない」
「素材の場所を知らないです。場所と製造法を教えてくれるんですか?」
「何事も人にばかり聞いてないで、自分で考えなさいと親には習わなかったの?」
中々に長い言葉の応酬。
だがしかし、ひらひらと躱してばかりで非協力なのはよく分かる。
艱難辛苦を乗り越えてここまで来たという事で、ここは色々と協力してくれると喜ばしいんだけどな。
非協力を貫くというのならば――、
「力ずくという選択肢になりそうだな」
と、ベルが俺の気持ちを代弁してくれる。
「あら随分とおっかない事を言うのね。イライラしてるの? 生理かしら」
「な!?」
おお……。ベルに対してすげえ言い様だな。
こんな時、童貞の俺はリアクションをどう取ればいいのか困りものだよ……。
堂々としとけばいいんだろうけど、生理というパワーワードで、
「お前が目を泳がせてどうする」
と、ゲッコーさんから呆れ口調で言葉をいただく。
しかたないでしょうよ。そんな免疫は俺には無いのだから。
「不遜な発言をする人物だ。長く時を過ごしているだけで知性は無いと思われる」
中々に見る事の出来ない紅潮したベル。
怒りで顔真っ赤というより、恥ずかしさからってやつだろう。
「スケベな体をしているわりに、うぶなのね~」
うわ~……。あのリッチすげえよ。ずけずけと言える胆力はある意味、尊敬する。
「分かった。どうやら強制的に従わせないといけないようだ」
「ちょっと待て!」
いくら乙女の部分を刺激されたからって、ここで感情のままに戦いの火蓋を切ってどうする。
帝国軍中佐としての冷静さはないのかな。
冷静になるように促すのに頑張る俺。
どういう原理なのかは分からんが、クリスタルの床からせり上がってくる柱。
様々な色の燐光を周囲に纏わせた柱の先端よりやや下部分には窪みがあり、そこには燐光が邪魔ではっきりとは見えないが人が座っていた。
まるでボールチェアに座っているかのような姿勢。
足を組んでいるのまでは分かる。
「無許可だけども、力の間へよこうそ」
周囲を飛び交う燐光が一気に離れることで、せり上がってきた柱の窪みに座っている人物の面貌をしっかりと目にすることが出来た。
あれがアルトラリッチと呼ばれる存在であり、生前は戦史にも載っているだけの英雄であるリン・クライツレンか。
「初めまして。遠坂――」
「――トールっていうんでしょ」
やはり俺たちの事を常に見ていたようだな。
ま、ポルターガイストのオムニガルから報告も受けてただろうし。
「話が早くていいですね。リン・クライツレン氏」
「話? 私は別段、話す事なんてないのだけれど」
にんまりと悪戯じみた笑みを湛えてくる。
そんな彼女の風貌は、ネクロマンサーとして死を側に侍らせているだけあって、それに見合った黒衣で身を包んでいる。
長い艶やかな黒髪にはかんざしに似た髪留めが二本。
リッチという話だが、上の方で出会ったアンデッド達と違って、ベルやシャルナのように雪肌の美しい肌。
整った顔立ちは、通り過ぎ様に目にすれば、誰もが振り返ってしまうほどの美貌を兼ね備えている。
足を組んで座る姿はそれだけで絵になるし、足の長さからしてそこそこの長身でもあるようだ。
黒衣同様の色からなる足にフィットしたスキニーパンツに、金細工が施されたハイヒールと、俺の世界にいても違和感のない風貌。
「こちらにはあるんですよね」
「そう。で、それを聞いてやる必要ってあるの?」
中々に高飛車だ。悪役令嬢とかが似合いそうだな。
でも俺も我慢が出来る人間ですから。初めてピリアを習得した時、コクリコにボコボコにされた事に比べれば、高飛車な正確なんて美人としての特権として我慢することが出来る。そんな感じで許せる男ですよ。
「聞いてもらわないと困るんですよね」
「姫の呪いでしょ。頑張って解けばいいじゃない。エリクシールならちゃちゃっと治せるわよ」
「我々は持っていませんので、お持ちならお貸しいただきたいですね」
「残念。以前は持っていたけど今は無いわね」
「では、我々とご同行してもらっていいですか。呪解のために」
「だからエリクシールの素材を探しなさいよ。そして作ればいいじゃない」
「素材の場所を知らないです。場所と製造法を教えてくれるんですか?」
「何事も人にばかり聞いてないで、自分で考えなさいと親には習わなかったの?」
中々に長い言葉の応酬。
だがしかし、ひらひらと躱してばかりで非協力なのはよく分かる。
艱難辛苦を乗り越えてここまで来たという事で、ここは色々と協力してくれると喜ばしいんだけどな。
非協力を貫くというのならば――、
「力ずくという選択肢になりそうだな」
と、ベルが俺の気持ちを代弁してくれる。
「あら随分とおっかない事を言うのね。イライラしてるの? 生理かしら」
「な!?」
おお……。ベルに対してすげえ言い様だな。
こんな時、童貞の俺はリアクションをどう取ればいいのか困りものだよ……。
堂々としとけばいいんだろうけど、生理というパワーワードで、
「お前が目を泳がせてどうする」
と、ゲッコーさんから呆れ口調で言葉をいただく。
しかたないでしょうよ。そんな免疫は俺には無いのだから。
「不遜な発言をする人物だ。長く時を過ごしているだけで知性は無いと思われる」
中々に見る事の出来ない紅潮したベル。
怒りで顔真っ赤というより、恥ずかしさからってやつだろう。
「スケベな体をしているわりに、うぶなのね~」
うわ~……。あのリッチすげえよ。ずけずけと言える胆力はある意味、尊敬する。
「分かった。どうやら強制的に従わせないといけないようだ」
「ちょっと待て!」
いくら乙女の部分を刺激されたからって、ここで感情のままに戦いの火蓋を切ってどうする。
帝国軍中佐としての冷静さはないのかな。
冷静になるように促すのに頑張る俺。
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