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死霊魔術師
PHASE-613【回復魔法は優しい気持ちで使用しよう】
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「それよりもオムニガルは無事なの」
「どうでしょうね~。私の偉大なるポップフレアをその身に受けてしまいましたからね」
「いや、ただの中位魔法一撃程度ではオムニガルは倒せないけど」
「ほう、では我が威力を試してみますか? 術者が凄ければ中位でも大魔法クラスになることを――」
「お前は直ぐに調子に乗るのが悪いようで良くもあるよな」
とりあえず今回は、コクリコに色々と抱えている問題も発散させないといけないからな。調子に乗ることを説教することはしない。
俺って優しいよね。
「で、気を失ってるオムニガルは大丈夫なんだろ? コクリコ」
「まあ、大丈夫でしょう。まだまだ私も実力不足ですから」
なんだかんだでちゃんと理解しているところが成長だよな。
「自分を顧みて今後に活かせる者は強くなる」
ここでゲッコーさんがそう発せば、コクリコの口角も嬉しさで上がるというもの。
俺が同じことを言ったところで響きはしないだろうけど、強者が言えば別ですよ。
「トール」
コクリコが近づいてくると、
「ありがとうございました。常に私に気をつかってくださって」
「お、おお」
なんだよ。可愛いじゃねえか。
いあやまあ、可愛いけども。美少女ですけども。
素直にありがとうを言うのが恥ずかしいからって頬を赤くしちゃってさ。
こっちまで気恥ずかしくなってくるじゃねえか。
それに――、なんか良い雰囲気じゃないか。
「今回の事はちゃんと私の自伝にも書かせてもらいますから」
「……は?」
「ですから、私の力を発揮させるために勇者が導いたと。この私を導くという立ち位置になれるのですから最高でしょう」
良い雰囲気になったと思った俺の気持ちを返してほしい……。
なんて言いつつ、実は照れ隠しなんだろ? と、思ったけども、さっそくメモにつらつらと書き始める辺り本音だったんだと理解する。
ぶれないところがコクリコだよ。
「メチャクチャ格好良く書いとけよ」
「分かってますよ」
素直でよろしい。暴露本にもここだけは真実であるように俺も書くから。
さてと――、
シャルナがしっかりとオムニガルに魔法によるバインドを使用しているから暴れる事はないだろう。
現状、気を失っているから暴れる事はそもそもないけど。
「じゃあ、降参してくれるかな」
「それより先に落下ダメージの回復でもしてくれるかしら」
「自分ですりゃいいじゃん。というかアンデッドなのに何だよ回復って」
「私はアンデッドだけど回復魔法とかは受け付けているようにしてるの」
「なんじゃそりゃ。アンデッドってそんなのか?」
「私だけが特別なのよ。痛みを感じる事で、私も元々は業の深い人間だというのを忘れないためにね」
亜人を蔑んだ時代。今もその風潮は残っているけども、それによって無駄な戦いをした人間達に愛想を尽かした大英雄。
その大英雄も元は人間だった。
人間嫌いになったけど、自分も人間。痛みを感じる体を維持し、人間が今までに行ってきた業を忘れず、それにより人間を嫌いになるという独自の倫理観を持っているようだ。
「話を戻すけど、自分でやればいいだろ。ネクロマンサーのアルトラリッチ様なんだから」
「したいんだけどね……」
チラリと視線が向けられる方向にはベルとゲッコーさん。
至近では、真顔でレイピアを向けられているから動きたくても動けないと言ったところか。
回復と見せかけて攻撃って可能性もあるからな。
「シャルナ」
「え~」
すっごく嫌そう。
まあ、おばあさまとか言ってくる相手の回復なんてしたくないよな。
BBAと心の中では思っても、口にはしてはいけないのさ。
渋々だったが――、
「ヒール!」
って、強い語気で唱えれば、淡い光に包まれるリンの体から傷が消える。
と、同時に、
「チッ!」
強めの舌打ちをシャルナが行う。
うん……。ファーストエイドでもいいレベルだったからな。
上位のヒールを使うあたり、相手がアンデッドだから大きなダメージが入らないかな。と、期待したのかも知れない……。
「どうでしょうね~。私の偉大なるポップフレアをその身に受けてしまいましたからね」
「いや、ただの中位魔法一撃程度ではオムニガルは倒せないけど」
「ほう、では我が威力を試してみますか? 術者が凄ければ中位でも大魔法クラスになることを――」
「お前は直ぐに調子に乗るのが悪いようで良くもあるよな」
とりあえず今回は、コクリコに色々と抱えている問題も発散させないといけないからな。調子に乗ることを説教することはしない。
俺って優しいよね。
「で、気を失ってるオムニガルは大丈夫なんだろ? コクリコ」
「まあ、大丈夫でしょう。まだまだ私も実力不足ですから」
なんだかんだでちゃんと理解しているところが成長だよな。
「自分を顧みて今後に活かせる者は強くなる」
ここでゲッコーさんがそう発せば、コクリコの口角も嬉しさで上がるというもの。
俺が同じことを言ったところで響きはしないだろうけど、強者が言えば別ですよ。
「トール」
コクリコが近づいてくると、
「ありがとうございました。常に私に気をつかってくださって」
「お、おお」
なんだよ。可愛いじゃねえか。
いあやまあ、可愛いけども。美少女ですけども。
素直にありがとうを言うのが恥ずかしいからって頬を赤くしちゃってさ。
こっちまで気恥ずかしくなってくるじゃねえか。
それに――、なんか良い雰囲気じゃないか。
「今回の事はちゃんと私の自伝にも書かせてもらいますから」
「……は?」
「ですから、私の力を発揮させるために勇者が導いたと。この私を導くという立ち位置になれるのですから最高でしょう」
良い雰囲気になったと思った俺の気持ちを返してほしい……。
なんて言いつつ、実は照れ隠しなんだろ? と、思ったけども、さっそくメモにつらつらと書き始める辺り本音だったんだと理解する。
ぶれないところがコクリコだよ。
「メチャクチャ格好良く書いとけよ」
「分かってますよ」
素直でよろしい。暴露本にもここだけは真実であるように俺も書くから。
さてと――、
シャルナがしっかりとオムニガルに魔法によるバインドを使用しているから暴れる事はないだろう。
現状、気を失っているから暴れる事はそもそもないけど。
「じゃあ、降参してくれるかな」
「それより先に落下ダメージの回復でもしてくれるかしら」
「自分ですりゃいいじゃん。というかアンデッドなのに何だよ回復って」
「私はアンデッドだけど回復魔法とかは受け付けているようにしてるの」
「なんじゃそりゃ。アンデッドってそんなのか?」
「私だけが特別なのよ。痛みを感じる事で、私も元々は業の深い人間だというのを忘れないためにね」
亜人を蔑んだ時代。今もその風潮は残っているけども、それによって無駄な戦いをした人間達に愛想を尽かした大英雄。
その大英雄も元は人間だった。
人間嫌いになったけど、自分も人間。痛みを感じる体を維持し、人間が今までに行ってきた業を忘れず、それにより人間を嫌いになるという独自の倫理観を持っているようだ。
「話を戻すけど、自分でやればいいだろ。ネクロマンサーのアルトラリッチ様なんだから」
「したいんだけどね……」
チラリと視線が向けられる方向にはベルとゲッコーさん。
至近では、真顔でレイピアを向けられているから動きたくても動けないと言ったところか。
回復と見せかけて攻撃って可能性もあるからな。
「シャルナ」
「え~」
すっごく嫌そう。
まあ、おばあさまとか言ってくる相手の回復なんてしたくないよな。
BBAと心の中では思っても、口にはしてはいけないのさ。
渋々だったが――、
「ヒール!」
って、強い語気で唱えれば、淡い光に包まれるリンの体から傷が消える。
と、同時に、
「チッ!」
強めの舌打ちをシャルナが行う。
うん……。ファーストエイドでもいいレベルだったからな。
上位のヒールを使うあたり、相手がアンデッドだから大きなダメージが入らないかな。と、期待したのかも知れない……。
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