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ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-656【地下十二階】
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「なんか急に簡単な道のりになったな」
「ですね」
地下十二階は迷うような道はない。
分かれ道もあったけど、一階のように直ぐに突き当たりに出来わして終わる。
この間にちょっとしたお宝も発見。
宝箱の中身はミスリル製の装備。
今回はガントレットやダガー。フライパンと違って、ちゃんとしたミスリルの使い方からなる装備品だった。
トラップも有るわけではない。ここまで簡単にマッピングを可能とするとなると、セオリーでは隠し通路があるか、もしくは――、
「難敵がいるかって事なんだよな」
――――今回は後者のようだ。
この階層で手に入れたミスリル装備で挑めって事なのかな? 残念。俺はオリハルコン装備なので、ここで入手したのは即マット君という車両型のアイテムボックス行き。
細い通路から扉のような境もないままに、広い空間へと足を踏み入れる。
玄室を模しているのか、はたまた本当に玄室なのか。
等間隔に設置された数多の台座には、同数の石棺。
「あの棺からアンデッドが出て来るとか」
「その可能性も考慮しないとけいないけども――まずは」
「ええ」
コクリコも場の雰囲気で感じ取ったのか、バスケットコート規模のこの部屋には、俺たちが踏み入った位置から正反対の位置に鎮座する存在がいる。
その左右の壁にはハルバートを手にした甲冑が二領。
左右の壁のヤツはリビングアーマーという可能性があるだろう。
だが、
「見えるかど真ん中の」
「色までは分かりませんが、薄暗い中でも肩が動いているのは見えます」
「十分」
そう、しっかりと動いている。
律動する動きは呼吸をしているかのようだ。
俺はビジョンでしっかりと風貌は捉えている。
赤紫色の毒々しいフルプレートを装備した存在。
面頬のない兜だが、うつむいており表情は窺い知れない。
兜の形状は烏帽子のようなデザイン。
左手には鎧と同色で、その鎧全体を覆い隠せるほどの大きな長方形からなるタワーシールド。
タワーシールドの上下と中央に各三本ずつ、ナイフくらいの長さがある円錐状のスパイクが備わっている。
シールドバッシュでもされたなら、盾の質量による衝撃とスパイクで命はないだろうな。
右手には刃幅が広い片刃の刀剣が、抜き身の状態で握られている。
一見して鉈のようにも見えるが、俺の知識が正しいならファルシオンだろう。
体躯からしたら短い得物だけども、石棺が多く存在する室内での戦闘を考えるなら、左右の鎧が持つハルバートよりは理にかなっていると思う。
「屈んでいますが大柄ですね」
「立てば二メートルくらいかな。烏帽子部分も入れるともっと大きく見えるけど」
「さて、どうするのかしらお二人さん」
不敵な笑みを湛えたリンからの質問。
相手が動かないとなると、やることは一つ。
流石にやばいと分かった相手となれば、コクリコもいきなりの攻撃は仕掛けない。
仕掛けても問題ない相手。ベルやゲッコーさんがいるから仕掛けても大丈夫。って状況じゃないからな。
慎重なのはいい事だ。
「まずは調べよう」
プレイギアでデータを集める事こそが弱体化している俺には重要だ。
「乗り物でも召喚するのかしら?」
「この機能はオムニガルには使用した事があるんだけどな」
奥で鎮座している赤紫色のフルプレートをディスプレイで捉える。
「どうです?」
付き合いの長いコクリコは、俺が何をしているかを直ぐに理解する。
【分類・アンデッド】
【種族・ディザスターナイト】
【レベル・64】
【得手・膂力・感染】
【不得手・炎熱・氷結】
【属性・繁栄】
「相手はアンデッドだ。やったなコクリコ。炎が弱点だぞ。でも繁栄って何だよ。アンデッドとは真逆じゃないのか?」
「確かに繁栄は違和感がありますね。アンデッドだと衰退のほうがしっくりきます」
「でもそう書いてあるからな。目の前のディザスターナイトってアンデッドの特徴かもな」
「何ですって! ディザスターナイトですって!」
コソコソと交わす会話の中で、小声だが力の入った驚きのコクリコ。
どうやらよろしくない相手のようだ。
「ですね」
地下十二階は迷うような道はない。
分かれ道もあったけど、一階のように直ぐに突き当たりに出来わして終わる。
この間にちょっとしたお宝も発見。
宝箱の中身はミスリル製の装備。
今回はガントレットやダガー。フライパンと違って、ちゃんとしたミスリルの使い方からなる装備品だった。
トラップも有るわけではない。ここまで簡単にマッピングを可能とするとなると、セオリーでは隠し通路があるか、もしくは――、
「難敵がいるかって事なんだよな」
――――今回は後者のようだ。
この階層で手に入れたミスリル装備で挑めって事なのかな? 残念。俺はオリハルコン装備なので、ここで入手したのは即マット君という車両型のアイテムボックス行き。
細い通路から扉のような境もないままに、広い空間へと足を踏み入れる。
玄室を模しているのか、はたまた本当に玄室なのか。
等間隔に設置された数多の台座には、同数の石棺。
「あの棺からアンデッドが出て来るとか」
「その可能性も考慮しないとけいないけども――まずは」
「ええ」
コクリコも場の雰囲気で感じ取ったのか、バスケットコート規模のこの部屋には、俺たちが踏み入った位置から正反対の位置に鎮座する存在がいる。
その左右の壁にはハルバートを手にした甲冑が二領。
左右の壁のヤツはリビングアーマーという可能性があるだろう。
だが、
「見えるかど真ん中の」
「色までは分かりませんが、薄暗い中でも肩が動いているのは見えます」
「十分」
そう、しっかりと動いている。
律動する動きは呼吸をしているかのようだ。
俺はビジョンでしっかりと風貌は捉えている。
赤紫色の毒々しいフルプレートを装備した存在。
面頬のない兜だが、うつむいており表情は窺い知れない。
兜の形状は烏帽子のようなデザイン。
左手には鎧と同色で、その鎧全体を覆い隠せるほどの大きな長方形からなるタワーシールド。
タワーシールドの上下と中央に各三本ずつ、ナイフくらいの長さがある円錐状のスパイクが備わっている。
シールドバッシュでもされたなら、盾の質量による衝撃とスパイクで命はないだろうな。
右手には刃幅が広い片刃の刀剣が、抜き身の状態で握られている。
一見して鉈のようにも見えるが、俺の知識が正しいならファルシオンだろう。
体躯からしたら短い得物だけども、石棺が多く存在する室内での戦闘を考えるなら、左右の鎧が持つハルバートよりは理にかなっていると思う。
「屈んでいますが大柄ですね」
「立てば二メートルくらいかな。烏帽子部分も入れるともっと大きく見えるけど」
「さて、どうするのかしらお二人さん」
不敵な笑みを湛えたリンからの質問。
相手が動かないとなると、やることは一つ。
流石にやばいと分かった相手となれば、コクリコもいきなりの攻撃は仕掛けない。
仕掛けても問題ない相手。ベルやゲッコーさんがいるから仕掛けても大丈夫。って状況じゃないからな。
慎重なのはいい事だ。
「まずは調べよう」
プレイギアでデータを集める事こそが弱体化している俺には重要だ。
「乗り物でも召喚するのかしら?」
「この機能はオムニガルには使用した事があるんだけどな」
奥で鎮座している赤紫色のフルプレートをディスプレイで捉える。
「どうです?」
付き合いの長いコクリコは、俺が何をしているかを直ぐに理解する。
【分類・アンデッド】
【種族・ディザスターナイト】
【レベル・64】
【得手・膂力・感染】
【不得手・炎熱・氷結】
【属性・繁栄】
「相手はアンデッドだ。やったなコクリコ。炎が弱点だぞ。でも繁栄って何だよ。アンデッドとは真逆じゃないのか?」
「確かに繁栄は違和感がありますね。アンデッドだと衰退のほうがしっくりきます」
「でもそう書いてあるからな。目の前のディザスターナイトってアンデッドの特徴かもな」
「何ですって! ディザスターナイトですって!」
コソコソと交わす会話の中で、小声だが力の入った驚きのコクリコ。
どうやらよろしくない相手のようだ。
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