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ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-676【完全に呑まれたね】
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キッズはこっちが手を出せない位置からなら強気でいられるが、目の前で起こる圧倒的な驚異には畏怖するもんだ。
だからこそ、このミストドラゴンには圧倒的な力と圧を叩き付ければ良い。
喉の調子を整えてから――、
「お前、あんまり俺をなめるなよ」
ドスを利かせてみる。
「な、なんだよ」
おっと俺のような迫力もない存在の声にビビるって事は、こいつヘタレだな。俺以上のヘタレだ。
やはり、ここは精神世界を攻撃するのが効果的だな。
「ちょっと遊んでやれば勘違いしてくれて」
一応、周辺を確認。
地底湖ということもあって存分に広い。
コキコキと首の骨をならしつつ、肩をそびやかせながら顎を若干上げるようにして、見下すような視線を送る。
「ティンダー程度の勇者が生意気に我を」
「我をって無理して使ってないか? 似合ってないぞ」
「黙れ! アイス――」
ブリックと続けたいんだろうけど、見せてやろうじゃないか。
地底湖の方向へ、オーバーリアクションで左腕を伸ばしてからの、
「スプリームフォール!」
久しぶりに使用。
宙空に顕現する瀑布が、音を轟かせながら地底湖に降り注ぐ。
滝壺となった部分の水しぶきは激しいもので、白煙となって濛々と舞い上がる。
「……へ?」
「スプリームフォール」
得意げに二度目の発動。
まだ一度目のも降り注いでいる途中で、二つ目の瀑布が隣に現れる光景。
「いや~絶景だよな。観光名所にしたいくらいだ」
と、強者の如く威風堂々の仁王立ちで発する。
「そんな……。だってさっき使用していたのは初期のティンダーじゃないか。なのに詠唱破棄の大魔法とか……」
「お前は勘違いしすぎなんだよ。俺がいつ本気を出したと錯覚したんだ? 幻術が使えるわりに駄目駄目だな」
地底湖に向けていた左手をミストドラゴンに向ければ、ビクリと馬サイズの体が大きく震える。
明らかに恐怖している。
「普段はこの魔法は使い勝手が悪いんだけども、ここだと使えるからな。一帯の霧を俺の瀑布で流してやろうかな」
ザッと、ワザと足音を立てて一歩前へと出れば、ザザッとミストドラゴンが二歩下がる。
完全に呑み込んだ。
背後ではコクリコが戦っているという音もない。
エクトプラズマーは術者の精神に左右されているようで、肩越しに見れば動かなくなっている。
「さてどうする? まだ続けるか? スプリームフォールは俺にとってまだ本気ってわけじゃないぞ」
本気を出せばこの地底湖に戦艦だって出してやるぞ。
ミズーリだけだと思うなよ。大和だって長門だってしっかりとアンロックしているからな。ドリーム艦隊を召喚してやろうか。
といっても、地底湖が如何に広いとはいえ、流石に一隻でも窮屈になるだろうから、艦隊はやはり無理だろうな。
「ふ、ふざけるな! 悪魔め!」
なぜにそうなる。
馬サイズの体で羽を羽ばたかせて、俺へと猛進。
完全に俺の行動に呑まれてしまっての捨て鉢な体当たりだというのは、見ただけで理解できる。
「よっと」
直線の体当たりなんてアクセルどころか、ラピッドを使用しなくても容易く躱せる。
コイツ、幻術は大したものだけど、それ以外はてんで素人だな。
魔法が使用出来るからその点では大したものだけど、自負できるくらいにはしっかりと戦闘経験を積んできた俺から見れば、動きは全くもって駄目駄目。
「そらディザスターナイトが護衛をしているわけだ」
「動くな! アイスブリック」
「ウォーターカーテン」
先ほど目にした靡く水のカーテンを想像し、顕現させてみれば――目の前に水の幕が現れた。
ダメ元だったがすんなりといけた。
本当は右手のメイスで迎撃するつもりだったんだけどな。
ウォーターカーテンは試し程度に唱えただけなんだけど、すんなり成功させてしまった。
バシャンと氷塊の衝突音。円錐の氷塊が幕を貫くことはなく、相殺。
「まさかここで成功とは。やりますねトール」
「まあな!」
実際は俺が一番驚いているんだけどな。
水系大魔法のスプリームフォールが使える状態だし、ティンダーでネイコスのマナコントロールの基礎が出来上がっていると考えると、存外、水系は簡単に習得出来たりして。
「その程度の障壁魔法で!」
「いや、お前も使っているじゃないか。自分の使用する魔法を過小評価するのは駄目だぞ」
「うるさい! こうなったら奥の手だ。動きを封じてやる」
「そんなことを一々と口に出すなよ。警戒されるぞ」
「いけバインドミスト」
ミストドラゴンの周囲に漂う霧が、巨人の腕を彷彿させる形へとなる。
「なるほど」
あれが俺をこの地底湖まで引きずり込んだ魔法か。
この霧に掴まれて拘束された事で、俺は幻術であるイリュージョンダンサーに囚われてしまったわけだ。
エクトプラズマーにバインドミスト。
幻術のトリガーになる霧に関係する魔法を複数習得しているのはお見事。
戦術の幅が広がれば、それだけ有利になれる手数が増えるって事だからな。
「でも、奥の手って発言はどうよ。それ初手で見せてるよね」
だからこそ、このミストドラゴンには圧倒的な力と圧を叩き付ければ良い。
喉の調子を整えてから――、
「お前、あんまり俺をなめるなよ」
ドスを利かせてみる。
「な、なんだよ」
おっと俺のような迫力もない存在の声にビビるって事は、こいつヘタレだな。俺以上のヘタレだ。
やはり、ここは精神世界を攻撃するのが効果的だな。
「ちょっと遊んでやれば勘違いしてくれて」
一応、周辺を確認。
地底湖ということもあって存分に広い。
コキコキと首の骨をならしつつ、肩をそびやかせながら顎を若干上げるようにして、見下すような視線を送る。
「ティンダー程度の勇者が生意気に我を」
「我をって無理して使ってないか? 似合ってないぞ」
「黙れ! アイス――」
ブリックと続けたいんだろうけど、見せてやろうじゃないか。
地底湖の方向へ、オーバーリアクションで左腕を伸ばしてからの、
「スプリームフォール!」
久しぶりに使用。
宙空に顕現する瀑布が、音を轟かせながら地底湖に降り注ぐ。
滝壺となった部分の水しぶきは激しいもので、白煙となって濛々と舞い上がる。
「……へ?」
「スプリームフォール」
得意げに二度目の発動。
まだ一度目のも降り注いでいる途中で、二つ目の瀑布が隣に現れる光景。
「いや~絶景だよな。観光名所にしたいくらいだ」
と、強者の如く威風堂々の仁王立ちで発する。
「そんな……。だってさっき使用していたのは初期のティンダーじゃないか。なのに詠唱破棄の大魔法とか……」
「お前は勘違いしすぎなんだよ。俺がいつ本気を出したと錯覚したんだ? 幻術が使えるわりに駄目駄目だな」
地底湖に向けていた左手をミストドラゴンに向ければ、ビクリと馬サイズの体が大きく震える。
明らかに恐怖している。
「普段はこの魔法は使い勝手が悪いんだけども、ここだと使えるからな。一帯の霧を俺の瀑布で流してやろうかな」
ザッと、ワザと足音を立てて一歩前へと出れば、ザザッとミストドラゴンが二歩下がる。
完全に呑み込んだ。
背後ではコクリコが戦っているという音もない。
エクトプラズマーは術者の精神に左右されているようで、肩越しに見れば動かなくなっている。
「さてどうする? まだ続けるか? スプリームフォールは俺にとってまだ本気ってわけじゃないぞ」
本気を出せばこの地底湖に戦艦だって出してやるぞ。
ミズーリだけだと思うなよ。大和だって長門だってしっかりとアンロックしているからな。ドリーム艦隊を召喚してやろうか。
といっても、地底湖が如何に広いとはいえ、流石に一隻でも窮屈になるだろうから、艦隊はやはり無理だろうな。
「ふ、ふざけるな! 悪魔め!」
なぜにそうなる。
馬サイズの体で羽を羽ばたかせて、俺へと猛進。
完全に俺の行動に呑まれてしまっての捨て鉢な体当たりだというのは、見ただけで理解できる。
「よっと」
直線の体当たりなんてアクセルどころか、ラピッドを使用しなくても容易く躱せる。
コイツ、幻術は大したものだけど、それ以外はてんで素人だな。
魔法が使用出来るからその点では大したものだけど、自負できるくらいにはしっかりと戦闘経験を積んできた俺から見れば、動きは全くもって駄目駄目。
「そらディザスターナイトが護衛をしているわけだ」
「動くな! アイスブリック」
「ウォーターカーテン」
先ほど目にした靡く水のカーテンを想像し、顕現させてみれば――目の前に水の幕が現れた。
ダメ元だったがすんなりといけた。
本当は右手のメイスで迎撃するつもりだったんだけどな。
ウォーターカーテンは試し程度に唱えただけなんだけど、すんなり成功させてしまった。
バシャンと氷塊の衝突音。円錐の氷塊が幕を貫くことはなく、相殺。
「まさかここで成功とは。やりますねトール」
「まあな!」
実際は俺が一番驚いているんだけどな。
水系大魔法のスプリームフォールが使える状態だし、ティンダーでネイコスのマナコントロールの基礎が出来上がっていると考えると、存外、水系は簡単に習得出来たりして。
「その程度の障壁魔法で!」
「いや、お前も使っているじゃないか。自分の使用する魔法を過小評価するのは駄目だぞ」
「うるさい! こうなったら奥の手だ。動きを封じてやる」
「そんなことを一々と口に出すなよ。警戒されるぞ」
「いけバインドミスト」
ミストドラゴンの周囲に漂う霧が、巨人の腕を彷彿させる形へとなる。
「なるほど」
あれが俺をこの地底湖まで引きずり込んだ魔法か。
この霧に掴まれて拘束された事で、俺は幻術であるイリュージョンダンサーに囚われてしまったわけだ。
エクトプラズマーにバインドミスト。
幻術のトリガーになる霧に関係する魔法を複数習得しているのはお見事。
戦術の幅が広がれば、それだけ有利になれる手数が増えるって事だからな。
「でも、奥の手って発言はどうよ。それ初手で見せてるよね」
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