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北伐
PHASE-697【対向から認識票パーティー】
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――――テントを片付けて移動を再開。
寝ずの番であったグレータースケルトン達は野営の片付けまでしてくれる優秀さ。
外見は怖いけども、一家に一体は欲しいところ。
で、リンの指示に従い霧散するように消えていった。
「この辺りは若干ですが瘴気が漂っていますね」
後部座席から外を見るリズベッドの感想。
野営地から離れ先を進めば、リズベッドの言うように瘴気の世界。
「でも俺たちがドヌクトスに向かう時は、この辺りの瘴気は今よりも濃かったんだぞ」
瘴気が薄まっているのも地龍のおかげだな。
「侯爵様は大丈夫でしょうか」
必要ならパーソナルリフレクションを使用するって事だったけど、長距離の中をずっと魔法を維持するのは精神的な疲労が溜まるだろう。
マナの申し子みたいなリズベッドには容易いなのかもしれないけど、ガスマスクで対応できるから大丈夫とだけ伝える。
さらに先に進めば、瘴気が薄まったと思えば、濃い地帯もあり不安定さも否めない。
斥候をしてくれた竜騎兵が先に進めなくなったのもしかたがないな。
頑張って地上移動で瘴気を回避しながら進めば王都までは目指せそうではあるけど。
濃い地点を越えると、瘴気が晴れて澄んだ空気が支配する場所へと変わった。
不安定だが、全体的には瘴気が弱まっているのは確かだ。
ずっと外の景色を楽しむリズベッドの横では、イルマイユはまだおねむのようで、リンに体を預けて熟睡。
ベルは俺の方を見てくる。
本来なら嬉しくて緊張からハンドルを握る手も強くなるんだろうけど、緊張はしない。
だって俺を見ているわけではないから。
ベルが見るのは俺の左隣の外。
俺もそちらを瞥見。
「体力あるな」
「にゃあ゛ぁ~」
可愛くない鳴き声だが、可愛く思えてくる辺りチコを愛玩として見てしまう俺。
運転するJLTVと併走して長距離を走る体力は凄い。
マンティコアのスタミナがこんなにもあるとは驚きだ。
確かチコのレベルは17だったよな。
戦いでは俺が勝ったけども、長距離を走り抜く体力だけなら俺なんかだとまったく相手にならない。
体力のある馬でもここまで走る事は出来ないだろう。
お偉方を乗せているから移動速度は30キロと安全運転だけども。それでも俺の愛猫は大したものだ。
「乗る度に思うのだけれど、速いし揺れも少なくて最高ね。この車という乗り物は」
移動方法が馬車がメインのこの世界だと、30キロを維持して走り続けることが出来るのはやはり速いと思うようだ。
俺やゲッコーさんのように車を知る存在だと遅いと思ってしまうが、知らないなら捉え方は違うようだ。
「こっちを走ればいいのに」
リンの感想よりも、併走するチコが助手席サイドを走って欲しいと思っているベルは現在、乙女モードになっている。
更に進み――、
「今回もマール街はスルー」
結局、今回も遠くから見るだけ。
いつかは訪れることになるだろうな。魔法の勉強もしてみたいし。
まあ、後部座席にいるリンやリズベッド師事を受けるのが一番なんだろうけど。
「お?」
先頭のストライカーが停車。
それに従って俺たちも停車する。
何事かと思えば対向より馬車の一団。
キャラバンだ。
旅商人たちが冒険者に守られながら停止している。
最低でも二頭立てからなる幌馬車の数は十二と、結構な大所帯だ。
ビジョンで眺めれば商人たちは顔面蒼白。
見たこともない巨大な動く鋼鉄の怪物の一団は、間違いなく自分たちにとって害を為す存在と思えたようだ。
対して冒険者たちは肝が据わっている。
こちらを刺激しないために、槍持ちは穂先を空に向いているし、剣持は抜剣までにはいたらない。
ただいつでも抜けるように手は柄に添えている。
「おろ?」
ビジョンのイメージを強めてズームモードみたいにして冒険者たちを見れば、胸元にキラリと光る楕円形。
認識票だった。
色は黄色級が一人。白色級が――七人。
八人からなるパーティー構成は、前衛5の後衛3。
槍が二人。ロングソード一人にショートソードとカイトシールド持ちが一人。バトルアックスを背負ったドワーフもいる。
タチアナみたいな服装の女の子が一人に弓が二人。
バランスの取れた編制だと思う。
黄色級の槍持ちがリーダーだろう。
申し訳ないけど見たことはない。
俺の知らない間に増えた面子か、それとも俺が知らないだけで結成時より活躍してくれている人物かもしれない。
「ちょっと出るからベルは車内で待機しといてくれ」
「分かった」
象のようにでかいライオンみたいなのが追従してきたら向こうを刺激するので、チコにも待機と言えば、だみ声で返事をして伏せの姿勢。素直ないい子である。
降車すればゲッコーさんも窓から対向を見やるが警戒は薄い。
そうなったのも、降車して俺が姿を見せた時の黄色級の人物の表情が和らいだものに変わったからだ。
でもって周囲に警戒を解くようにしてから、一人駆け寄ってくる。
寝ずの番であったグレータースケルトン達は野営の片付けまでしてくれる優秀さ。
外見は怖いけども、一家に一体は欲しいところ。
で、リンの指示に従い霧散するように消えていった。
「この辺りは若干ですが瘴気が漂っていますね」
後部座席から外を見るリズベッドの感想。
野営地から離れ先を進めば、リズベッドの言うように瘴気の世界。
「でも俺たちがドヌクトスに向かう時は、この辺りの瘴気は今よりも濃かったんだぞ」
瘴気が薄まっているのも地龍のおかげだな。
「侯爵様は大丈夫でしょうか」
必要ならパーソナルリフレクションを使用するって事だったけど、長距離の中をずっと魔法を維持するのは精神的な疲労が溜まるだろう。
マナの申し子みたいなリズベッドには容易いなのかもしれないけど、ガスマスクで対応できるから大丈夫とだけ伝える。
さらに先に進めば、瘴気が薄まったと思えば、濃い地帯もあり不安定さも否めない。
斥候をしてくれた竜騎兵が先に進めなくなったのもしかたがないな。
頑張って地上移動で瘴気を回避しながら進めば王都までは目指せそうではあるけど。
濃い地点を越えると、瘴気が晴れて澄んだ空気が支配する場所へと変わった。
不安定だが、全体的には瘴気が弱まっているのは確かだ。
ずっと外の景色を楽しむリズベッドの横では、イルマイユはまだおねむのようで、リンに体を預けて熟睡。
ベルは俺の方を見てくる。
本来なら嬉しくて緊張からハンドルを握る手も強くなるんだろうけど、緊張はしない。
だって俺を見ているわけではないから。
ベルが見るのは俺の左隣の外。
俺もそちらを瞥見。
「体力あるな」
「にゃあ゛ぁ~」
可愛くない鳴き声だが、可愛く思えてくる辺りチコを愛玩として見てしまう俺。
運転するJLTVと併走して長距離を走る体力は凄い。
マンティコアのスタミナがこんなにもあるとは驚きだ。
確かチコのレベルは17だったよな。
戦いでは俺が勝ったけども、長距離を走り抜く体力だけなら俺なんかだとまったく相手にならない。
体力のある馬でもここまで走る事は出来ないだろう。
お偉方を乗せているから移動速度は30キロと安全運転だけども。それでも俺の愛猫は大したものだ。
「乗る度に思うのだけれど、速いし揺れも少なくて最高ね。この車という乗り物は」
移動方法が馬車がメインのこの世界だと、30キロを維持して走り続けることが出来るのはやはり速いと思うようだ。
俺やゲッコーさんのように車を知る存在だと遅いと思ってしまうが、知らないなら捉え方は違うようだ。
「こっちを走ればいいのに」
リンの感想よりも、併走するチコが助手席サイドを走って欲しいと思っているベルは現在、乙女モードになっている。
更に進み――、
「今回もマール街はスルー」
結局、今回も遠くから見るだけ。
いつかは訪れることになるだろうな。魔法の勉強もしてみたいし。
まあ、後部座席にいるリンやリズベッド師事を受けるのが一番なんだろうけど。
「お?」
先頭のストライカーが停車。
それに従って俺たちも停車する。
何事かと思えば対向より馬車の一団。
キャラバンだ。
旅商人たちが冒険者に守られながら停止している。
最低でも二頭立てからなる幌馬車の数は十二と、結構な大所帯だ。
ビジョンで眺めれば商人たちは顔面蒼白。
見たこともない巨大な動く鋼鉄の怪物の一団は、間違いなく自分たちにとって害を為す存在と思えたようだ。
対して冒険者たちは肝が据わっている。
こちらを刺激しないために、槍持ちは穂先を空に向いているし、剣持は抜剣までにはいたらない。
ただいつでも抜けるように手は柄に添えている。
「おろ?」
ビジョンのイメージを強めてズームモードみたいにして冒険者たちを見れば、胸元にキラリと光る楕円形。
認識票だった。
色は黄色級が一人。白色級が――七人。
八人からなるパーティー構成は、前衛5の後衛3。
槍が二人。ロングソード一人にショートソードとカイトシールド持ちが一人。バトルアックスを背負ったドワーフもいる。
タチアナみたいな服装の女の子が一人に弓が二人。
バランスの取れた編制だと思う。
黄色級の槍持ちがリーダーだろう。
申し訳ないけど見たことはない。
俺の知らない間に増えた面子か、それとも俺が知らないだけで結成時より活躍してくれている人物かもしれない。
「ちょっと出るからベルは車内で待機しといてくれ」
「分かった」
象のようにでかいライオンみたいなのが追従してきたら向こうを刺激するので、チコにも待機と言えば、だみ声で返事をして伏せの姿勢。素直ないい子である。
降車すればゲッコーさんも窓から対向を見やるが警戒は薄い。
そうなったのも、降車して俺が姿を見せた時の黄色級の人物の表情が和らいだものに変わったからだ。
でもって周囲に警戒を解くようにしてから、一人駆け寄ってくる。
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