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北伐
PHASE-774【協力的で結構】
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「よしチコ。それ以上は力をいれないでくれよ」
「に゛ゃ」
あら可愛い。短く小気味のいい返事だ。
俺の危機に直ぐさま駆けつけ、跳躍からの押さえ込み。とても格好良かったぞ。
先生みたいに俺も動物には好かれているみたいだから、ビーストテイマーにでもなろうかな。
まあ先生は動物だけでなく女性にも好かれてるけどね……。
「コトネさん。ここの驚異は」
「今しがたの攻撃以外はほぼありません。ランシェルが上手くまとめてくれています」
「へ~」
見ればランシェルの前では列が出来ている。
人足さん達のようだ。
ランシェルの指示に従って、兵糧の入った倉を開けていく。
厳重に鍵もかけられているが、丸太を数人で持ち、そのまま倉の扉に向かって丸太ごとぶつかっていく。
まるで攻城戦の破城槌のようだった。
こういった行動を止める者達もいないし、逃げ遅れた兵達も完全に抵抗する気も失せたようで、少しでも心証をよくしようと思っているのか、人足さん達を手伝う。
流石に武器になるような丸太を手にすれば、こちらが警戒するというのもちゃんと理解してくれているようで、人足さん達を見習って丸太を数人で持って扉にぶつけるだけに専念している。
手頃な丸太があるのは、俺のマッチポンプ爆発で破壊されて折れたりしたのがその辺に転がっているからみたいだ。
倉に隠れて襲ってきた連中はこちらの隙を狙ったのではなく、こういった作業を目にして、籠もっていた扉を破壊されないかと焦った結果、強襲を仕掛けたんだろうな。
結果はメイドさんとチコに拘束されたわけだが。
「ありがとうございます皆様」
と、ここでランシェルがカーテシーにてお礼を口にすれば、
「任せてください!」
一人の人足さんが応じると、俺も俺もと快活の良い声が続く。
前回ここに来た時の、ランシェルとマイヤによる胃袋を掴む作戦が功を奏したようだ。
人足たちはランシェルが言えば喜んで動いてくれる。
あの時いた兵達も逃げ遅れ組にいたようで、ランシェルの要請に素直に応えてくれていた。
「結構、自由にさせているな」
ここで最強さんも登場。
先ほどのチコの活躍をしっかりと目にしていたようで、称賛と共に喉を優しく撫でている。
チコはご満悦。
「いいのか?」
「逃げる心配はないし、抵抗しようにもこっちが強いからね。ベルもお願いしてみれば? 喜んで動いてくれるぞ」
「――ふむ」
え!? 考えるの!
「我々は虜囚に対し矜持を奪う事はしない。こちらに協力するならば、事後、寛大な対応をさせてもらう」
「「「「分かりました!」」」」
おう流石はベルさんだよ。
口調は軍人のそれだけど、表情は柔和。
超絶美人様のそのギャップに野郎どもは完全にチャーム状態だ。
というか、以外とすんなり言った事が驚き。
今までなら――冗談ではない! とか、屈していながらメイドの言葉で容易く傾くなど弱き者だ! みたいな感じで侮蔑していただろうに。
随分と性格が柔らかくなってきたな――――おっぱいみたいに。
「視線!」
「はい、ごめんなさい」
しっかりと俺の視線に対しては炯眼を向けてくるけど……。
――うん。なんだろう。元々こちら側の手勢だと勘違いしてしまうほどに、皆さんしっかりと働いてくれる。
特にあつかいが酷かったであろう人足の皆さんはよく動いてくれる。
辛い役割から解放してくれたと感謝しているようで、次は? 次は? と、自分たちから協力を申し出てくれる。
もちろん完全には信じてもいけないので、現状、人足さん達と投降した兵士の方々には兵糧倉の開放と、俺が――というよりゲッコーさんが爆発させた残骸を掃除してもらっている。
よからぬ考えを持たれても困るので監視はしっかりとさせてもらうし、一定の区画でしか活動させない。
監視役はメイドさん達。その効果もあってか、美人が見ているとなれば良いところを見せようと、むしろ頑張ってくれる。
監視されているはずなのに、見てくれアピールが凄かった……。
サキュバスとインキュバス。そしてベルのチャーム効果――恐るべしだな。
その間に俺はというと――、
「素晴らしいですね」
「まったくです主」
指揮車から出てきて合流した先生と一緒に、開かれた倉へと足を踏み入れる。
で、喜びから二人でハイタッチ。
兵糧庫には堆く積まれた麻袋という光景。
三十キロ袋サイズのものが倉に整然と積まれている。
かなりの量だ。しかも一つの倉で。
先生、刃渡りが小指ほどのナイフで麻袋をプスリと刺す。
小さな切れ目からはザザッと小麦がこぼれ落ち、それを手で掬う。
「この全てに小麦が詰まっているんですね。他の倉もって考えていいですよね? 先生!」
「もちろんですとも!」
あまりにも容易く大量の兵糧をゲット出来たことで、俺と先生のテンションが更に上がり、二度目のハイタッチ。
二度目のは倉によく響く大きな音だった。
「に゛ゃ」
あら可愛い。短く小気味のいい返事だ。
俺の危機に直ぐさま駆けつけ、跳躍からの押さえ込み。とても格好良かったぞ。
先生みたいに俺も動物には好かれているみたいだから、ビーストテイマーにでもなろうかな。
まあ先生は動物だけでなく女性にも好かれてるけどね……。
「コトネさん。ここの驚異は」
「今しがたの攻撃以外はほぼありません。ランシェルが上手くまとめてくれています」
「へ~」
見ればランシェルの前では列が出来ている。
人足さん達のようだ。
ランシェルの指示に従って、兵糧の入った倉を開けていく。
厳重に鍵もかけられているが、丸太を数人で持ち、そのまま倉の扉に向かって丸太ごとぶつかっていく。
まるで攻城戦の破城槌のようだった。
こういった行動を止める者達もいないし、逃げ遅れた兵達も完全に抵抗する気も失せたようで、少しでも心証をよくしようと思っているのか、人足さん達を手伝う。
流石に武器になるような丸太を手にすれば、こちらが警戒するというのもちゃんと理解してくれているようで、人足さん達を見習って丸太を数人で持って扉にぶつけるだけに専念している。
手頃な丸太があるのは、俺のマッチポンプ爆発で破壊されて折れたりしたのがその辺に転がっているからみたいだ。
倉に隠れて襲ってきた連中はこちらの隙を狙ったのではなく、こういった作業を目にして、籠もっていた扉を破壊されないかと焦った結果、強襲を仕掛けたんだろうな。
結果はメイドさんとチコに拘束されたわけだが。
「ありがとうございます皆様」
と、ここでランシェルがカーテシーにてお礼を口にすれば、
「任せてください!」
一人の人足さんが応じると、俺も俺もと快活の良い声が続く。
前回ここに来た時の、ランシェルとマイヤによる胃袋を掴む作戦が功を奏したようだ。
人足たちはランシェルが言えば喜んで動いてくれる。
あの時いた兵達も逃げ遅れ組にいたようで、ランシェルの要請に素直に応えてくれていた。
「結構、自由にさせているな」
ここで最強さんも登場。
先ほどのチコの活躍をしっかりと目にしていたようで、称賛と共に喉を優しく撫でている。
チコはご満悦。
「いいのか?」
「逃げる心配はないし、抵抗しようにもこっちが強いからね。ベルもお願いしてみれば? 喜んで動いてくれるぞ」
「――ふむ」
え!? 考えるの!
「我々は虜囚に対し矜持を奪う事はしない。こちらに協力するならば、事後、寛大な対応をさせてもらう」
「「「「分かりました!」」」」
おう流石はベルさんだよ。
口調は軍人のそれだけど、表情は柔和。
超絶美人様のそのギャップに野郎どもは完全にチャーム状態だ。
というか、以外とすんなり言った事が驚き。
今までなら――冗談ではない! とか、屈していながらメイドの言葉で容易く傾くなど弱き者だ! みたいな感じで侮蔑していただろうに。
随分と性格が柔らかくなってきたな――――おっぱいみたいに。
「視線!」
「はい、ごめんなさい」
しっかりと俺の視線に対しては炯眼を向けてくるけど……。
――うん。なんだろう。元々こちら側の手勢だと勘違いしてしまうほどに、皆さんしっかりと働いてくれる。
特にあつかいが酷かったであろう人足の皆さんはよく動いてくれる。
辛い役割から解放してくれたと感謝しているようで、次は? 次は? と、自分たちから協力を申し出てくれる。
もちろん完全には信じてもいけないので、現状、人足さん達と投降した兵士の方々には兵糧倉の開放と、俺が――というよりゲッコーさんが爆発させた残骸を掃除してもらっている。
よからぬ考えを持たれても困るので監視はしっかりとさせてもらうし、一定の区画でしか活動させない。
監視役はメイドさん達。その効果もあってか、美人が見ているとなれば良いところを見せようと、むしろ頑張ってくれる。
監視されているはずなのに、見てくれアピールが凄かった……。
サキュバスとインキュバス。そしてベルのチャーム効果――恐るべしだな。
その間に俺はというと――、
「素晴らしいですね」
「まったくです主」
指揮車から出てきて合流した先生と一緒に、開かれた倉へと足を踏み入れる。
で、喜びから二人でハイタッチ。
兵糧庫には堆く積まれた麻袋という光景。
三十キロ袋サイズのものが倉に整然と積まれている。
かなりの量だ。しかも一つの倉で。
先生、刃渡りが小指ほどのナイフで麻袋をプスリと刺す。
小さな切れ目からはザザッと小麦がこぼれ落ち、それを手で掬う。
「この全てに小麦が詰まっているんですね。他の倉もって考えていいですよね? 先生!」
「もちろんですとも!」
あまりにも容易く大量の兵糧をゲット出来たことで、俺と先生のテンションが更に上がり、二度目のハイタッチ。
二度目のは倉によく響く大きな音だった。
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