異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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北伐

PHASE-819【結果ほぼ一緒】

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「今回はお前の仲間も全ていたようだな。しかも羨ましい事にとんでもねえ美人たちを従えてやがる」

「いいだろう」

「へっ。お前は最後に殺す。お前の女たちをメチャクチャするのを特等席で見せてやるさ」

「なん――だと!」

「お怒りか? 流石に自分の女たちが手込めにされるのは嫌なようだな。まあ最終的には俺のテクニックで心の底から俺を欲しがるようになって、頼みもしないうちから股を開くようになるってもんだ」

「下卑た笑いはいいから…………もう一回――言ってみろ!」

「あ? 最終的に――」

「違う! 女たちのとこ!」

「ああ? 自分の女たちが手込めに――」

「もう一回」

「ん!? んん。自分の――女たちが……」
 ――おお! なんと甘美な響きなのだ! 自分の女たち。

「お前には俺の女たちって見えているようだな」
 自分の中でベストだと思える良い声で聞いてみる。

「そら勇者だろ。基本的に英雄はハーレムだったりするだろ?」

「その通り!」
 チーレムだ。俺が羨ましがるチーレムなんだが、なんということでしょう。
 コイツには俺のパーティーメンバーの女性陣が俺の女として見えているようだ。
 コイツがそう見えているって事は、もしかしたら俺たちの関係性をしっかりと知らない面々は、ベルもコクリコもシャルナもリンも俺の女として見えているのだろうか?
 だとすれば、さぞ羨ましがっているんだろうな。俺の女たちを目にして。
 そう! 俺の女たちを目にしてさ!

「フフ――フフフフ――――」

「なんだコイツ……」
 おっと、表情が緩んだようだな。
 こんな敵に囲まれている状況下で――、フフフ――――。

「その笑い。さぞ楽しんでんだろうな」
 楽しんではいないけどな。楽しみたくはあるけども。

「くそったれが!」
 と嫉妬丸出しで継げば、またもラピッド。
 躱してあげれば、

「また回避で精一杯か。必死だな。だがそれもいつまで続くかな?」
 楽しげに語る。
 自分が優勢と勘違いしているね~。

「次で決めてやる!」
 手にしたのは二本のスティレット。
 刃はついていない。円錐形を縦に細長く延ばしたような形状に鍔と柄がついたようなもの。
 鎧を着てない相手になら打撃としても使用出来るだろうけど、鎧装備が当たり前な戦場においては振る行為はあまり意味をなさない突き一辺倒の武器。

 得意げに二本のスティレットを俺に向けてラピッド。
 必死に回避していると思われているけども、正直、四男坊のヨハンが一足で間合いに入ってきた動きの方が素晴らしかった。
 真っ直ぐでいて重心も低く、翻弄するように体を左右に振る動き。
 これまでに培ってきた経験が、自然と体に染みついているからこそ出来る動作。
 ヨハンにとってはただの一足での移動だけども、戦いの経験がない者が目にしたらそれだけで技になる。
 対してコイツはただ自分の使用出来るピリアに陶酔しているお馬鹿。
 
 地面を滑るような素早い移動ではあるが力の無駄遣いだな。
 ラピッドを使用しようが、それを有効的に活用していない時点で、ただ一直線に素早く動いているだけのくだらない芸当。
 これを捕捉できないとなれば、今まで戦ってきた相手に失礼というもの。
 俺の女たちって勘違い発言は小気味よいものだったけども――。

「シュ!」

「げっは!?」

「気分をよくさせてもらったけど、それ以上に胸くそ悪くなる発言もあったので拳骨一発だ」
 なにが俺の目の前でメチャクチャにしてやるだ! なにがテクニックで自分から股を開くようになるだ!
 もしうちの女性陣にそんなことを実行しようとしたとしても、お前の体がメチャクチャになるっての。
 
 こんな馬鹿にいいようにされる事は絶対にありえないけど、うちの女性陣に対する下品な発言は許すことが出来ない。

 思いっきり後頭部を殴りつけて、女の代わりに地面と濃厚なキスをさせてやっただけでも感謝してもらわないとな。

 にしても、馬鹿息子と一緒にいた時と同じようなやられっぷりだな。
 動きもやられかたも経験を培ってないよ。成長がないよ。
 湿布のマイセル――マイネンだったかな?
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