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ミルド領
PHASE-942【ちょっと未来チック】
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「以前にこれと同じことを魔大陸でもやりましてね。その時の知識をひけらかしているだけなんですよ。この男は」
横からコクリコが得意げに言ってくる。俺に対する罵倒も織り交ぜて。
門前での続をやりたいのだろうか?
しかもまるで自分が魔大陸でそれを実行したかのように、無い胸を反らせて言うもんだから余計にムカつく。
――あの時は確か地龍がゼログラビティって魔法を使用してから、リズベッドがフロートを使用したような記憶がある。
ここでは単純にフロートだけを使用してるんだろうけど、
「術者は――アビゲイルさん?」
「いえ違います」
となると御者ってことか?
なのでそう答えれば肯定。
にしても大したもんだ。馬車を浮かべるだけの集中力があるんだからな。しかも四頭立ての大型の馬車。
馬を操りつつ馬車も浮かす。御者の実力から分かるのは、この都市の術者はやはりコクリコより上だな。
「随分と凝っているのね」
ここでリンが訳知り顔で都市の中を見渡す。
大通りには都市の入り口ということもあって、商人達が通りの主役とばかりに活気のある声で客寄せをしている。
後は酒場に宿屋。この辺りに住んでいる方々の民家があるといったところか。
大通りのつくりとしてはよく見るものだ。凝っているとは何なのか?
「見る場所が違うのではないか」
ベルはリンの訳知り顔に気付いている様子。
なのでベルの視線を追えば――、
「おお、あれか」
円柱が壁上に等間隔で立っている。
長さと太さは電柱サイズ。
柱の上部分には穴が空いていて、そこから光が漏れていた。
多彩な色が柱の上部を彩っている。
「これって――」
リンが真っ先に反応した事から察するに、
「あれか、リンのとこのオベリスクみたいなもんか?」
継いでから問えば、
「それの粗悪版ね」
たしかにオベリスクのピラミディオンが放っていた輝きと比べれば圧倒的に弱々しいし、壁上に等間隔で置かれている柱の本数も相当なもの。つまりは多くないと力を発揮できないという事だろう。
地下施設に比べれば、リンの言うように粗悪と評価しても間違いではないだろうが、日々この都市で魔法の研鑽に励んでいる代表の前で言う事ではない……。
ほら見てよ……空笑いだよ……。
もし反論したくても、公爵である俺のパーティーメンバーの発言だからな。強く言えないんだろうな。
「すみません。うちの者の無礼な発言を許してください」
なので公爵ではなく、勇者としてメンバーの非礼を詫びる。
「いえ。実際まだまだ検討の余地がありますから」
「余地どころかガバガバよ」
「よ~しリン。黙ろうか」
お前と比べると殆どの魔術師が自信を無くすからな。
「ど、どうやって長時間、浮かせているんです?」
話題を反らすために馬車のフロートを質問。
俺達がここを訪れた時からスタンバってたとなると、御者は結構な時間フロートを唱え続けているんだろうからな。
維持する集中力はかなりのものだし、加えて馬を操る。何かしらタネがあるのだろうと推理。
「馬車の底部四隅に大型のタリスマンをはめ込んでいるんです」
屈んで眺めれば、車輪の代わりにサッカーボールサイズのタリスマンが確かにはめ込まれていた。
御者である魔導師がフロートを唱える事で、馬車底部のタリスマンがそれに反応して力を補助するといったところ。
「でもこんな大きなものを浮かせる力を維持するってのが凄いですよね」
「それを可能としているのが――」
アビゲイルさんの視線が壁上の円柱に向けられる。
「――なるほど」
この都市全体にマナの増幅と供給を可能とした柱を設置することで、魔法を使用する者たちに魔力を付与する事が可能となっているという。
この馬車を操る御者の場合、フロートを発動すれば後はあの柱が術者の魔法とリンクして、代わりに魔法を維持し続けてくれるそうだ。
「凄いな。マナであるネイコスの補助を都市規模で可能にするなんて」
「いえ、そちらの方が仰るようにまだまだです。都市から出てしまえばその恩恵はないのですから」
だとしてもこの都市では色々と便利な事が出来そうだよな。
「レビテーションでこの馬車を馬ごと飛行させる事も可能なんですか?」
「流石に厳しいですね。馬車ごととなると、かなりの術者でなければ難しいかと」
円柱からの魔力増幅と供給があったとしても、大型の物を使用して大人数を運ぶとなると、術者の実力がもろに出てしまうという。
馬車を浮かせる事は出来ても、移動の為には馬の脚に頼らないといけないそうだ。
現状これが魔導討究会の限界だという。
俺としては他の都市や町と違って、魔導技術が発展しているから凄いと思うけどね。
壁上で光を輝かせて並んでいる柱なんて未来チックだもの。
中世のデザインにそれらが組み込まれているから、スチームパンク的な都市にも見える。
横からコクリコが得意げに言ってくる。俺に対する罵倒も織り交ぜて。
門前での続をやりたいのだろうか?
しかもまるで自分が魔大陸でそれを実行したかのように、無い胸を反らせて言うもんだから余計にムカつく。
――あの時は確か地龍がゼログラビティって魔法を使用してから、リズベッドがフロートを使用したような記憶がある。
ここでは単純にフロートだけを使用してるんだろうけど、
「術者は――アビゲイルさん?」
「いえ違います」
となると御者ってことか?
なのでそう答えれば肯定。
にしても大したもんだ。馬車を浮かべるだけの集中力があるんだからな。しかも四頭立ての大型の馬車。
馬を操りつつ馬車も浮かす。御者の実力から分かるのは、この都市の術者はやはりコクリコより上だな。
「随分と凝っているのね」
ここでリンが訳知り顔で都市の中を見渡す。
大通りには都市の入り口ということもあって、商人達が通りの主役とばかりに活気のある声で客寄せをしている。
後は酒場に宿屋。この辺りに住んでいる方々の民家があるといったところか。
大通りのつくりとしてはよく見るものだ。凝っているとは何なのか?
「見る場所が違うのではないか」
ベルはリンの訳知り顔に気付いている様子。
なのでベルの視線を追えば――、
「おお、あれか」
円柱が壁上に等間隔で立っている。
長さと太さは電柱サイズ。
柱の上部分には穴が空いていて、そこから光が漏れていた。
多彩な色が柱の上部を彩っている。
「これって――」
リンが真っ先に反応した事から察するに、
「あれか、リンのとこのオベリスクみたいなもんか?」
継いでから問えば、
「それの粗悪版ね」
たしかにオベリスクのピラミディオンが放っていた輝きと比べれば圧倒的に弱々しいし、壁上に等間隔で置かれている柱の本数も相当なもの。つまりは多くないと力を発揮できないという事だろう。
地下施設に比べれば、リンの言うように粗悪と評価しても間違いではないだろうが、日々この都市で魔法の研鑽に励んでいる代表の前で言う事ではない……。
ほら見てよ……空笑いだよ……。
もし反論したくても、公爵である俺のパーティーメンバーの発言だからな。強く言えないんだろうな。
「すみません。うちの者の無礼な発言を許してください」
なので公爵ではなく、勇者としてメンバーの非礼を詫びる。
「いえ。実際まだまだ検討の余地がありますから」
「余地どころかガバガバよ」
「よ~しリン。黙ろうか」
お前と比べると殆どの魔術師が自信を無くすからな。
「ど、どうやって長時間、浮かせているんです?」
話題を反らすために馬車のフロートを質問。
俺達がここを訪れた時からスタンバってたとなると、御者は結構な時間フロートを唱え続けているんだろうからな。
維持する集中力はかなりのものだし、加えて馬を操る。何かしらタネがあるのだろうと推理。
「馬車の底部四隅に大型のタリスマンをはめ込んでいるんです」
屈んで眺めれば、車輪の代わりにサッカーボールサイズのタリスマンが確かにはめ込まれていた。
御者である魔導師がフロートを唱える事で、馬車底部のタリスマンがそれに反応して力を補助するといったところ。
「でもこんな大きなものを浮かせる力を維持するってのが凄いですよね」
「それを可能としているのが――」
アビゲイルさんの視線が壁上の円柱に向けられる。
「――なるほど」
この都市全体にマナの増幅と供給を可能とした柱を設置することで、魔法を使用する者たちに魔力を付与する事が可能となっているという。
この馬車を操る御者の場合、フロートを発動すれば後はあの柱が術者の魔法とリンクして、代わりに魔法を維持し続けてくれるそうだ。
「凄いな。マナであるネイコスの補助を都市規模で可能にするなんて」
「いえ、そちらの方が仰るようにまだまだです。都市から出てしまえばその恩恵はないのですから」
だとしてもこの都市では色々と便利な事が出来そうだよな。
「レビテーションでこの馬車を馬ごと飛行させる事も可能なんですか?」
「流石に厳しいですね。馬車ごととなると、かなりの術者でなければ難しいかと」
円柱からの魔力増幅と供給があったとしても、大型の物を使用して大人数を運ぶとなると、術者の実力がもろに出てしまうという。
馬車を浮かせる事は出来ても、移動の為には馬の脚に頼らないといけないそうだ。
現状これが魔導討究会の限界だという。
俺としては他の都市や町と違って、魔導技術が発展しているから凄いと思うけどね。
壁上で光を輝かせて並んでいる柱なんて未来チックだもの。
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