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トール師になる
PHASE-1118【いて当然】
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「リン。数で圧倒されそうになったら数で圧倒していいからな」
「その必要はないけど、提案はありがたく貰っておくわよ」
さっき同様、返事には余裕しかない。
如何に長い時を過ごしているダークエルフさん達であっても、魔法勝負でリンに敵わないのは現状を目にすれば分かるというもの。
ダークエルフさん達の遠距離からの攻撃を悉く障壁で防いでくれているからな。
「ルーシャンナルさんは俺と一緒に集落に」
「心得ました」
「師匠!」
「もちろんサルタナも俺について来るんだ」
「はい!」
快活の良い返事と笑顔。
悪いなサルタナ。
お前は俺の役に立てると思っているんだろうが、ここに留まれば多勢を相手にしているコクリコ達の邪魔になるってのが本音なんだよ。
「エルダーさん達は引き続きサルタナを守ってください」
「心得た」
リンの命令がなくても、お願いすれば了承してくれる上位スケルトン達の存在はありがたいね。
「じゃあ――イグニース!」
前面に半球状からなる炎の盾を顕現させ、ラッセル、ラッセル! アイスブレーカー!
と、頭の中で障害物をかき分けていく乗り物をイメージしながらひたすらにダークエルフさん達の中を突っ込んでいく。
行かせるな! や、止めろ! などと必死の声が俺達に向けられるけども、熱を放つ炎の障壁であるイグニースを前に接近は難しいのか躊躇している。
意を決して飛び込んで来る方には――、
「側面がら空き!」
と、コクリコがド派手に飛び蹴りを見舞い、すかさずお得意のファイヤーボールを密集している箇所に放つ。
二つの装身具も発動させの巨大な火球による一撃は、散開させるには十分の威力。
まるでコクリコの魔法ではないような威力。
装身具の使用ってのもあるけど、純粋にコクリコが成長しているって事だな。
「さあ、ここは私に任せて行くのです!」
俺達の後方に立ち、追っ手を防ぐ殿のような立場となるコクリコの声は、何とも格好いいものだった。
三回も聞かされたけど……。
一応、
「あんまり調子に乗るなよ」
と、悪酔いしているところに俺が言っても無駄だろうが釘は刺す。
「分かっていますとも」
肩越しにこちらを見つつ、サムズアップでの返事。
恍惚とした笑みからして、全くもって分かっていないというのが分かった。
「リン、ギムロン。フォロー頼むな!」
二人に再度のお願いをしてから俺達は集落まで驀地。
――――。
「追っ手を撒くことは出来たようですね」
「――みたいですね」
深呼吸を一度おこなってルーシャンナルさんに返しつつ、集落へと入り込むことに成功した俺達は、追っ手の数人を反転しながら倒しつつ、相手の動きが鈍くなった隙を突いて撒くことに成功。
撒くことに成功するほど――、
「くっそ広いな」
集落っていうからもっとこじんまりしているのかと想像したけども……。
ゲッコーさんの報告通り――広い。サルタナ達の村より広い。
「この国のダークエルフ達が全て住まう場所ですから」
「そう言われると広くて当然ですよね。集落の外からとはいえ、これだけの広い場所を監視するのも大変ですね」
「この国での主な治安維持の仕事となるのは集落の監視――ですからね」
「が、その監視も怠慢となれば、こういった状況を見逃すことにもなるわけだな」
「…………耳が痛いです……」
俺とルーシャンナルさんの会話にエルダースケルトンの一体が割って入れば、リンに負けない辛辣なお言葉。
これにはルーシャンナルさんも苦笑い。
まさかアンデッドに指摘されるとは、長い年月を過ごすエルフ人生の中でも初めての経験だったかもね。
カゲストやフル・ギルの支配下にあったポルパロングが裏で動いていたから見逃したってのもあるんだろうけど。
サルタナとハウルーシ君の遭難時、ポルパロングつきの正規兵は怠慢な仕事しかしてなかったからな。
「ルーシャンナルさん。エリスがいそうな場所は分かりますか?」
「いえ、検討がつきません」
――……きっぱりと即答で返してくるね……。
外からの監視ってだけで、集落には入る機会が無かったりするのかな?
「サルタナは?」
集落に遊びに来る経験もあるならと聞いてみれば、小さな手が頤に当てられる。
おっと、これは何か分かっていると期待できそうだね。
「もしかしなくてもですけど、この先には長が住まう建物があります」
「――長?」
「はい」
そうか――。長か。
いても不思議じゃないよな。
もっとも低い階級であるウーマンヤールであっても、それを束ねる者は当然、存在するよね。
「その必要はないけど、提案はありがたく貰っておくわよ」
さっき同様、返事には余裕しかない。
如何に長い時を過ごしているダークエルフさん達であっても、魔法勝負でリンに敵わないのは現状を目にすれば分かるというもの。
ダークエルフさん達の遠距離からの攻撃を悉く障壁で防いでくれているからな。
「ルーシャンナルさんは俺と一緒に集落に」
「心得ました」
「師匠!」
「もちろんサルタナも俺について来るんだ」
「はい!」
快活の良い返事と笑顔。
悪いなサルタナ。
お前は俺の役に立てると思っているんだろうが、ここに留まれば多勢を相手にしているコクリコ達の邪魔になるってのが本音なんだよ。
「エルダーさん達は引き続きサルタナを守ってください」
「心得た」
リンの命令がなくても、お願いすれば了承してくれる上位スケルトン達の存在はありがたいね。
「じゃあ――イグニース!」
前面に半球状からなる炎の盾を顕現させ、ラッセル、ラッセル! アイスブレーカー!
と、頭の中で障害物をかき分けていく乗り物をイメージしながらひたすらにダークエルフさん達の中を突っ込んでいく。
行かせるな! や、止めろ! などと必死の声が俺達に向けられるけども、熱を放つ炎の障壁であるイグニースを前に接近は難しいのか躊躇している。
意を決して飛び込んで来る方には――、
「側面がら空き!」
と、コクリコがド派手に飛び蹴りを見舞い、すかさずお得意のファイヤーボールを密集している箇所に放つ。
二つの装身具も発動させの巨大な火球による一撃は、散開させるには十分の威力。
まるでコクリコの魔法ではないような威力。
装身具の使用ってのもあるけど、純粋にコクリコが成長しているって事だな。
「さあ、ここは私に任せて行くのです!」
俺達の後方に立ち、追っ手を防ぐ殿のような立場となるコクリコの声は、何とも格好いいものだった。
三回も聞かされたけど……。
一応、
「あんまり調子に乗るなよ」
と、悪酔いしているところに俺が言っても無駄だろうが釘は刺す。
「分かっていますとも」
肩越しにこちらを見つつ、サムズアップでの返事。
恍惚とした笑みからして、全くもって分かっていないというのが分かった。
「リン、ギムロン。フォロー頼むな!」
二人に再度のお願いをしてから俺達は集落まで驀地。
――――。
「追っ手を撒くことは出来たようですね」
「――みたいですね」
深呼吸を一度おこなってルーシャンナルさんに返しつつ、集落へと入り込むことに成功した俺達は、追っ手の数人を反転しながら倒しつつ、相手の動きが鈍くなった隙を突いて撒くことに成功。
撒くことに成功するほど――、
「くっそ広いな」
集落っていうからもっとこじんまりしているのかと想像したけども……。
ゲッコーさんの報告通り――広い。サルタナ達の村より広い。
「この国のダークエルフ達が全て住まう場所ですから」
「そう言われると広くて当然ですよね。集落の外からとはいえ、これだけの広い場所を監視するのも大変ですね」
「この国での主な治安維持の仕事となるのは集落の監視――ですからね」
「が、その監視も怠慢となれば、こういった状況を見逃すことにもなるわけだな」
「…………耳が痛いです……」
俺とルーシャンナルさんの会話にエルダースケルトンの一体が割って入れば、リンに負けない辛辣なお言葉。
これにはルーシャンナルさんも苦笑い。
まさかアンデッドに指摘されるとは、長い年月を過ごすエルフ人生の中でも初めての経験だったかもね。
カゲストやフル・ギルの支配下にあったポルパロングが裏で動いていたから見逃したってのもあるんだろうけど。
サルタナとハウルーシ君の遭難時、ポルパロングつきの正規兵は怠慢な仕事しかしてなかったからな。
「ルーシャンナルさん。エリスがいそうな場所は分かりますか?」
「いえ、検討がつきません」
――……きっぱりと即答で返してくるね……。
外からの監視ってだけで、集落には入る機会が無かったりするのかな?
「サルタナは?」
集落に遊びに来る経験もあるならと聞いてみれば、小さな手が頤に当てられる。
おっと、これは何か分かっていると期待できそうだね。
「もしかしなくてもですけど、この先には長が住まう建物があります」
「――長?」
「はい」
そうか――。長か。
いても不思議じゃないよな。
もっとも低い階級であるウーマンヤールであっても、それを束ねる者は当然、存在するよね。
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