異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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トール師になる

PHASE-1181【次の世代の力次第】

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「しかし何とも賑やかですね」

「おうコクリコ。今回の活躍はお見事だったぞ」

「だったら活躍に見合う位階にしっかりと上げてもらいませんとね」
 白色の認識票をチラチラと見せつつ言ってくるので、

「しっかりと昇格させよう」

「おお! やっと私もリンと同じになれるのですね!」

「……なれねえよ」
 なんでいきなり最高位階である紫色級コルクラになれると思えるんだよ。
 未だに大魔法も使えないのに。
 まったく。ちょっと褒めれば直ぐに調子に乗る。

「とにかく昇格は確定して上げよう」

「赤以上でお願いしますよ」
 ――――まあ、それはない。

「返事!」

「――――」

「返事をしてください!」

「コクリコが加わることで余計に騒がしくなっとるの」
 ここで酒気を帯びたギムロンも広間に登場。
 
 ――二人は集落においてマッドマンの軍勢と戦闘後、ゲッコーさんに代わってダークエルフさん達の監視を行っていたそうだが、エリス達が城へと無事に到着すれば、城側からも部隊が派遣されたとの事で、ここに戻ってきたそうだ。
 
 集落に入ったルミナングスさんを中心とした部隊の仕事は連行――ではなく、一応の監視。
 抵抗しないなら手枷をすることもないという寛容さだったそうだ。
 で、ルミナングスさんは問題ないと判断し、集落を部下たちに任せて別行動。

「シャルナは――」

「ルミナングス殿に随伴している」

「だよな」
 ベルの返しに当然だよね。といった感じで返す。
 デミタスが残した案内役であるミストウルフの後をついていったゲッコーさんは、途中でエルフ兵を数人随伴させたそうだ。
 その後、リンファさんの保護と無事の確認。
 城と集落に向け、ゲッコーさんは随伴していたエルフ兵さん達に伝令役を務めてもらう。
 朗報を耳にしたシャルナの次の動きはとても速かったそうだ。
 姉の無事を知ればそうもなるよな。

「どうぞ」
 飲み干したところで次を注いでくれる使用人さん。
 若干だけども引きつった表情になっていた。

「なんかすみません」

「いえ、滅相もありません」
 俺が謝罪すれば、引きつった顔も戻るというもの。

「……やっぱりゴブリンの集団がお邪魔するのは駄目でしたかね」

「勇者様の協力者は大事なお客様でございます」

「そう言ってもらえると助かります」

「ただあまりにも騒がしいので……呆気にとられておりました」
 俺を助けてくれたゴブリン達は、俺と共にルミナングスさんの屋敷にお邪魔している。
 それが大人数となれば、使用人さんが驚くほどの騒がしさになるのも当然だよね。
 まあ――、最もうるさいのは途中から参加してきたコクリコだけども。
 自分の活躍をゴブリン達に聞かせ、自分の弁に熱を帯びさせていき、騒がしさに拍車をかけていく。
 しかも話の内容は誇張しているし。
 
 ゴブリン達は何を言っているのか理解は出来ていないようだが、コクリコのオーバーな動きに合わせてくれているあたり、空気はしっかりと読めるようだ。
 他にはギムロンに酒を注がれてソレを呷り、一発でダウンしていたのもいた。
 ギムロンはそれを見て胴間声による大笑い。

「なんとも凄い光景だな」

「だよな。でもいい光景だと思う」

「そうだな」
 ベルもこれに賛同してくれる。
 人間。ドワーフ。エルフ。
 ここにゴブリンが加わる。
 それがエルフの国の中で楽しく騒いでいるわけだ。

「この国もいい感じになるんじゃないのかな」

「可能だろう。今現在、他種族が同じ空間で楽しく騒げているのだからな。同じ種でありながら階級によって高みに居座る者。虐げられる者。という関係性は少なからず解消されていくだろう」
 即座に階級制がなくなるという発言をしないのは軍人としての立場からなのかな。
 エリスは階級制を撤廃したいと言ってはいたが、完全に取りやめる事は難しいだろうな。
 でも、今後はこれまでと違い、励むことで正当な役職や報酬を得ることが可能になる国になるだろう。
 実力のある者が日の目を見る事が出来る国作りをこれからしていくのだから。
 
 ――――その為にも――――、

「次期王、エリスヴェン・ファラサール・エドラヒル殿下への戴冠式を執り行います」
 進行役は蛇さんこと、プロマミナス・カトゼンカ氏。
 やんややんやといった派手さはなく、戴冠式は厳かに始まる。
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