異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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発展と鍛錬

PHASE-1240【アニメ知識で対応】

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 扱って日は浅いのに、高速で操作する事が可能とはね。
 コクリコのポテンシャルがそれだけ高いってことなんだろう。

 飛翔してくるアドンとサムソンの奥側では、そんなコクリコがドヤ顔で俺を見てくる。
 よっしゃ! 全力で叩き落としてあの表情を焦燥へと変えてやろう。

「踏み込みが足りん!」
 迎撃しようと切り払いと言えばの台詞を発しながら木刀を振るうも、気概とは裏腹に、上下左右の複雑な軌道のサーバントストーンをピリアなしの俺の技量では切り払うということはかなわず、虚しく空を切るだけだった。

 ――で、

「あぶん!?」
 一つが俺の背中に直撃。
 衝撃で咳き込みそうになるのを耐えつつ、俺の周囲から追い払うように二本の木刀を振り回すが、綺麗に斬撃を躱しながら二つのタリスマンは俺の体へとダメージを与えてくる。
 ドカドカと打撃系の鈍い痛みが体を襲ってくる……。

「ハハハハ――ッ! なんと素晴らしい力なのでしょう! 私は更に上へと進むことが出来たようですね!」
 安全圏からのガイナ立ちで、こちらが苦戦している姿を哄笑しながら見物。
 コクリコの余裕の笑みたるや……。

 ――まあ有頂天にもなるようなアイテムではある。
 本来ならこのアドンとサムソンからは、術者が使用可能な魔法を発動することも可能なんだからな。
 これが実戦なら、コクリコの得意なファイヤーボールを術者だけでなく、二つのサーバントストーンも同様の魔法を発動し、多方向からの同時攻撃も可能なわけだ。
 
 流石はハイエルフで氏族筆頭であるカトゼンカ氏が有した家宝だ。強力無比な魔道具である。
 だが――その不動の姿ってのはどうなんすかね。

「そいや!」

「ぬ!?」
 二つの球体を避けつつコクリコへと接近を試みれば、眉間に皺を寄せつつ俺から距離を取ろうとする。

「高速で動かす事は出来てもそれ以外は難しいようだな」

「だからこそ試しているんでしょうが。トールの無様な二刀流のようにね」
 だよな。
 エルフの国から王都に戻る間は、特訓よりも大人数の移動に世話を焼かないといけなかったしな。
 コイツは基本、なにもしていなかったけども……。
 あの間にちゃんと練習していれば、今よりも卓抜した操作もできたんだろうに。
 
 今回の俺の立ち位置からすれば助かったけども。

「ヘイヘイ! どうしたよコクリコさん。得意の敏捷さがないですよ」

「ええい! この私に近づくことは許しませんよ!」
 接近戦を好むコクリコの発言とは思えないね~。
 ドヤってたわりには自分が動くとそれに意識を持っていかれるからか、アドンとサムソンの動きは使用者とは反対に鈍くなっている。

 熟達すればこういった弱点は当然なくなるんだろうが――、

「まだまだその域に達するには道半ばどころか第一歩。哄笑しながら更に上へと進んだって発言は片腹痛し」

「そういった発言は、手にした木刀で叩き落とすなりしてから言ってもらいたいものです!」

「確かに――な!」

「ぬぅ……。今のを躱すとは」
 背後と側面から交差させるように球体を見舞ってくるけども難なく回避。
 切り払ってやればコクリコにプレッシャーを与える事も出来たんだろうが、今は回避で手一杯。

「これならば!」
 と、今度は左右から狙ってくるもそれも回避することに成功。

「マジョリカのシージダンサ―に比べれば!」

「それを言われると言い返せませんね!」
 オールレンジ攻撃はもっと苛烈なのを北の地で経験しているからな。
 あの時はマナ有りきの命がけの戦いだったけど。
 修練不足の二つの球体程度ならば、切り払いは難しくても回避は容易い。

「ほらほらどうしたコクリコ」

「ええい!」
 焦らせるように挑発気味に発せば、アドンとサムソンの軌道は更に鈍くなる。
 で、嫌がらせとばかりに――、

「ほらよ」

「なんと卑怯な!」

「卑怯ではない。使える物は何でも使う。昨日、大地を耕している時、王様も言ってたしな」
 回避しつつ右手の木刀をベルトに差し、無手となった右手にて地面に転がっている小石を数個、拾い集める。
 そしてソレをコクリコへと向かって一気に投げる。
 散弾を思わせる面制圧を仕掛ければ、コクリコは回避に集中。
 回避に意識を奪われれば、アドンとサムソンの動きに脅威を感じることはなくなる。

「しかもここまで接近されれば使用もできまい。ここで動かせば自分にぶつけてしまうかもしれないからな」

「おのれぇぇぇぇぇぇ! なめないでいただきたい!」
 悔しさに染まった大音声にて俺へと拳打を見舞ってくる。

「ハッハッハ――他愛なし」
 接近戦においてそこいらの連中では太刀打ち出来ないほどの実力を有するコクリコ。
 だが今の拳打には速さも鋭さもなく、哄笑しながらでも容易く見切れた。
 コクリコよ。この期に及んでアドンとサムソンに頼ろうとしたな。
 操作から接近戦へと切り替える判断が鈍いのも練習不足が原因だな。
 これじゃあ長物持ちの新人さんには上からの物言いは出来ないね。
 彼は長棒の間合いじゃないと判断すれば、直ぐさま拳打による戦いを選択したからな。
 
 てことで――、

「はい、終わり」

「キュゥ!?」
 木刀で殴るのもあんまりなので、チョップを頭に見舞ってやる。
 見舞えばゴロ丸みたいな声を出していた。
 ふさぎ込むコクリコを見つつ、今回は残心を忘れることなく注意は払う。

 ――抵抗はない模様。

「まさか……この私が……新たなる力を得た超絶、最高、圧倒、不倒のこの私が……。馬鹿な……」
 どんだけ自分の事を盛ってんだよ……。

「まだまだ使いこなすには尚早だっての。集中を欠くとダメダメだったぞ」
 得意げに出された時はこっちも警戒はしたが、一対一になった途端での使用だったからな。
 単純に追い詰められた事による使用だったようだな。
 
 他の面子がいる状況で使用しなかったのは、味方の動きを阻害してしまうという事を考慮したからだろうな。
 一人の時の方が都合がいいと言ったのもそういった判断からだろう。
 現状の実力を把握しての使用は評価しましょう。

「くぅぅぅ……それにしても飛礫などに! あんなもので操作力が鈍るとは!」

「あれでこっちは勝ちを確信したよ。アドンとサムソンに頼ろうとせず、接近を許した時点で踏ん切りをつけて接近戦に移行するべきだった。袖付きめっ! って発言をしなくていい世界線だった」

「――は?」

「いや、気にしなくていい」
 散弾がわりの飛礫による攻めで、操作のための集中力と動きを制するってのはアニメの知識から拝借させてもらった。

 ――有り難うノーネームのパイロット。
 できればネームドに昇進しないでね。
 様々な思いを馳せることでファンは楽しんだりするから。
 
 トリントン基地で無双していた機体のパイロットに設定が出来たことを残念に思っていることは内緒だ。
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