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天空要塞
PHASE-1505【フライング・ロッドとも】
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壁に反響してどの位置からのものかが把握しづらいワシャワシャ音。
そんな時はベルの視線を追えば問題なし。
視線を追えば壁――の頭像。
等間隔に設置された同じ造りからなるデザインは、神聖さのある乳白色の広間には似つかわしくないオーガのようなもの。
口を大きく開き、長い犬歯が目立つ禍々しい頭像を見続けていれば、
「ひゃ!?」
小型の生物が開かれた口からわさわさと多数出現。
口から飛び出すと、小回りの利く飛行を見せてくる薄ピンクの皮膚からなる生物。
30㎝ほどの細長い体。
体の左右には、頭部から尾っぽにかけて一枚羽らしきものが生えており、それを波状に動かすことで小回りの利く変則的な飛行を可能としているようだった。
なんとも既視感がある飛行と形状だ。
――これあれだ、
「スカイフィッシュだ」
「なんで知ってんだよ!?」
当たってたのかよ。
ラズヴァートが言うには、目の前の群れはまだこの天空要塞から外には出していないらしく、それを俺が知っている事に驚きながらも追求してくる。
が――、
「んなこたどうでもいいんだよ」
今は目の前の脅威を優先。
まったく……。モスマンにスカイフィッシュとか。
俺が元々住んでいた世界のUMAの出所とでもいうのだろうか。この世界は。
「来ます!」
先手はもちろん自分とばかりに、コクリコが手にするワンドの貴石が黄色に輝く。
迫ってくる薄ピンク色の小型生物の群れへとソレを向け、
「アークディフュージョン!」
を放つ。
群れている状態。しかも飛行能力持ちということもあるから――、
「間違いなく効果は抜群だ!」
バシィィィィィィィン! という激しい音が広間に響けば、
「「「「キィィィィィィィィィィィィィィィッ!?」」」」
電撃音すらもかき消す金切り声が見舞われた方から上がる。
「……う、うるせえ……」
耳朶に直接入り込んでくるような鳴き声は、フッケバインの圧のある鳴き声とはまた違ったもの。
ただただ不快なだけ。
「鳴き声は痛打を感じさせるようなものだったが、効果は比例していないようだ」
バインドボイスを意にも介さないスケルトン達が俺達の前で隊列を組んで迎え撃ってくれる。
ルインの言うように、伝播する電撃を受けながらも、その電撃を纏わせながら接近してくる。
「単純に火力不足ってところね。ファイヤーボールで蹴散らした方かよかったみたいね~」
「だったらリンも私に続けば良かったでしょう!」
「少しは様子を見たかったのよ。初めて目にする生物だったから」
なんて返す中で、ピルグリム達がプロテクションを展開。
城壁を思わせる障壁が迫ってくるスカイフィッシュの群れの進行を妨げるが……、
「おいおい……」
障壁にぶつかった先頭のスカイフィッシュが勢いで弾かれる――ということはなく、口の内側に沿って生えているノコギリ状の歯を忙しなく動かし、ガジガジと音を立てて壁に食らいついてきた。
「貪欲だな」
それを冷静に見るベルの余裕さよ。
見た目が魚ということもあって、嫌悪感はないようだ。
これが虫の群れなら駄目だったんだろうけど。
余裕あるベルと違って俺は怖い。
――障壁を貪る眼前の生物。
アマゾンでピラニアよりも怖いとされているカン――なんちゃらっていう獰猛な魚に似てんだよな。
穴があればどこからでも入り込んでくるってのを幼少期にテレビ番組で目にして心底、怖かったのを記憶している。
あの貪欲な魚に似た姿に羽が生えているのが、この世界ではスカイフィッシュと呼称されているようだ。
「ちょっとトール。なにをぼぉぉぉっと立ってるんですか! まずいですよ!」
「分かってますよコクリコさん」
群れを成し、障壁へと張り付いて欲のままに食らいついている姿はホラーでもある。
「マナが大好きなようで」
ラズヴァートを瞥見。
「中々に厄介だからな。頑張ってくれ」
「他人事な言い様は当然か。お前には襲ってこないだけの知能はあるんだろうしな。だったらお前を盾にするか」
「それが勇者の発言かよ。知能があるなら俺も嬉しいんだけどな。目の前のに限れば、食欲のみで行動している」
「マジかよ」
「だから頑張ってくれって言ってんだよ!」
――……つまりは俺達が頑張らないと自分も狙われるって事か……。
なるほど――ね。
「だからここには兵達による守りが展開されていないって事だな」
「そういうこった」
厄介な事だな。食欲のみで動くってなると、ベルの圧を受けて逃げるって事もないってことだろう。
そして、あの群れを対処しないと、先に進むのも難しいって感じだな。
それにしても……、
「無限と見紛うばかりに次々と出てくるな……」
「言ってる場合ですか! 障壁を食い破ってきますよ」
マナをエサとして活動する生物か。
電撃を栄養源とするツッカーヴァッテと似た感じだな。
「トール!」
「そんな大きな声でどうしたんですかコクリコさん。強者として振る舞ってくださいよ」
「余裕ありますね」
「俺自身は余裕はないけどな。だが今回は違うからな。いくら無限と思わせるような数で迫ってこようとも――」
ミルモンに目配せ。
小さく頷きが返ってくれば、
「倒しちゃってよ。お姉ちゃん」
「無論だ」
ミルモンによる応援があれば、普段以上に戦闘に率先して参加してくれるベルが俺達の側にいる以上、不安の文字はない。
暴食を繰り返す無数の歯に耐えきれなくなった障壁の一部分に穴が空けば、その部分の壁が霧散。
そこから一気に流れ込んでくる――ところへと体を向けて構えれば、
「一箇所からの侵入は有り難いな」
言いつつベルがレイピアを一振り。
浄化の炎が放たれれば、こちらへと向かっていた群れは、そこには最初から何も存在しなかったと言わんばかりに消え去ってしまう。
「お、おお……」
これには俺と言葉を交わすルインも驚きの声を漏らし、他のルインやエルダー、ピリグリム達も同じリアクションにて唱和する。
精神耐性を有しているアンデッドであるが、リン同様、人間らしいリアクションを取ってくれる。
で、主とリアクションも似ているだけあって、浄化の炎を放ったベルを皆して恐る恐る見ていた。
ちょっと距離を取りながら――。
そんな時はベルの視線を追えば問題なし。
視線を追えば壁――の頭像。
等間隔に設置された同じ造りからなるデザインは、神聖さのある乳白色の広間には似つかわしくないオーガのようなもの。
口を大きく開き、長い犬歯が目立つ禍々しい頭像を見続けていれば、
「ひゃ!?」
小型の生物が開かれた口からわさわさと多数出現。
口から飛び出すと、小回りの利く飛行を見せてくる薄ピンクの皮膚からなる生物。
30㎝ほどの細長い体。
体の左右には、頭部から尾っぽにかけて一枚羽らしきものが生えており、それを波状に動かすことで小回りの利く変則的な飛行を可能としているようだった。
なんとも既視感がある飛行と形状だ。
――これあれだ、
「スカイフィッシュだ」
「なんで知ってんだよ!?」
当たってたのかよ。
ラズヴァートが言うには、目の前の群れはまだこの天空要塞から外には出していないらしく、それを俺が知っている事に驚きながらも追求してくる。
が――、
「んなこたどうでもいいんだよ」
今は目の前の脅威を優先。
まったく……。モスマンにスカイフィッシュとか。
俺が元々住んでいた世界のUMAの出所とでもいうのだろうか。この世界は。
「来ます!」
先手はもちろん自分とばかりに、コクリコが手にするワンドの貴石が黄色に輝く。
迫ってくる薄ピンク色の小型生物の群れへとソレを向け、
「アークディフュージョン!」
を放つ。
群れている状態。しかも飛行能力持ちということもあるから――、
「間違いなく効果は抜群だ!」
バシィィィィィィィン! という激しい音が広間に響けば、
「「「「キィィィィィィィィィィィィィィィッ!?」」」」
電撃音すらもかき消す金切り声が見舞われた方から上がる。
「……う、うるせえ……」
耳朶に直接入り込んでくるような鳴き声は、フッケバインの圧のある鳴き声とはまた違ったもの。
ただただ不快なだけ。
「鳴き声は痛打を感じさせるようなものだったが、効果は比例していないようだ」
バインドボイスを意にも介さないスケルトン達が俺達の前で隊列を組んで迎え撃ってくれる。
ルインの言うように、伝播する電撃を受けながらも、その電撃を纏わせながら接近してくる。
「単純に火力不足ってところね。ファイヤーボールで蹴散らした方かよかったみたいね~」
「だったらリンも私に続けば良かったでしょう!」
「少しは様子を見たかったのよ。初めて目にする生物だったから」
なんて返す中で、ピルグリム達がプロテクションを展開。
城壁を思わせる障壁が迫ってくるスカイフィッシュの群れの進行を妨げるが……、
「おいおい……」
障壁にぶつかった先頭のスカイフィッシュが勢いで弾かれる――ということはなく、口の内側に沿って生えているノコギリ状の歯を忙しなく動かし、ガジガジと音を立てて壁に食らいついてきた。
「貪欲だな」
それを冷静に見るベルの余裕さよ。
見た目が魚ということもあって、嫌悪感はないようだ。
これが虫の群れなら駄目だったんだろうけど。
余裕あるベルと違って俺は怖い。
――障壁を貪る眼前の生物。
アマゾンでピラニアよりも怖いとされているカン――なんちゃらっていう獰猛な魚に似てんだよな。
穴があればどこからでも入り込んでくるってのを幼少期にテレビ番組で目にして心底、怖かったのを記憶している。
あの貪欲な魚に似た姿に羽が生えているのが、この世界ではスカイフィッシュと呼称されているようだ。
「ちょっとトール。なにをぼぉぉぉっと立ってるんですか! まずいですよ!」
「分かってますよコクリコさん」
群れを成し、障壁へと張り付いて欲のままに食らいついている姿はホラーでもある。
「マナが大好きなようで」
ラズヴァートを瞥見。
「中々に厄介だからな。頑張ってくれ」
「他人事な言い様は当然か。お前には襲ってこないだけの知能はあるんだろうしな。だったらお前を盾にするか」
「それが勇者の発言かよ。知能があるなら俺も嬉しいんだけどな。目の前のに限れば、食欲のみで行動している」
「マジかよ」
「だから頑張ってくれって言ってんだよ!」
――……つまりは俺達が頑張らないと自分も狙われるって事か……。
なるほど――ね。
「だからここには兵達による守りが展開されていないって事だな」
「そういうこった」
厄介な事だな。食欲のみで動くってなると、ベルの圧を受けて逃げるって事もないってことだろう。
そして、あの群れを対処しないと、先に進むのも難しいって感じだな。
それにしても……、
「無限と見紛うばかりに次々と出てくるな……」
「言ってる場合ですか! 障壁を食い破ってきますよ」
マナをエサとして活動する生物か。
電撃を栄養源とするツッカーヴァッテと似た感じだな。
「トール!」
「そんな大きな声でどうしたんですかコクリコさん。強者として振る舞ってくださいよ」
「余裕ありますね」
「俺自身は余裕はないけどな。だが今回は違うからな。いくら無限と思わせるような数で迫ってこようとも――」
ミルモンに目配せ。
小さく頷きが返ってくれば、
「倒しちゃってよ。お姉ちゃん」
「無論だ」
ミルモンによる応援があれば、普段以上に戦闘に率先して参加してくれるベルが俺達の側にいる以上、不安の文字はない。
暴食を繰り返す無数の歯に耐えきれなくなった障壁の一部分に穴が空けば、その部分の壁が霧散。
そこから一気に流れ込んでくる――ところへと体を向けて構えれば、
「一箇所からの侵入は有り難いな」
言いつつベルがレイピアを一振り。
浄化の炎が放たれれば、こちらへと向かっていた群れは、そこには最初から何も存在しなかったと言わんばかりに消え去ってしまう。
「お、おお……」
これには俺と言葉を交わすルインも驚きの声を漏らし、他のルインやエルダー、ピリグリム達も同じリアクションにて唱和する。
精神耐性を有しているアンデッドであるが、リン同様、人間らしいリアクションを取ってくれる。
で、主とリアクションも似ているだけあって、浄化の炎を放ったベルを皆して恐る恐る見ていた。
ちょっと距離を取りながら――。
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