1,518 / 1,861
天空要塞
PHASE-1518【紳士】
しおりを挟む
――……しかし、困った……。
まさかコクリコと同行していたスケルトン達まで人質になるなんてな……。
こっちの人質はラズヴァートただ一人。
対して向こうはコクリコを含めて十六人も人質を取っている。
単純な交渉となれば、一人につき一人の交換ってことになるだろう。
となれば、こちらは人質以外で交渉しないといけない状況に追い込まれるだろう……。
圧倒的に相手が有利な交渉だ。どんな無理難題を言ってくることやら……。
――……ふむん。
ゲッコーさんの合流が間に合えば万事解決なんだけどな。
合流にはまだ時間を要するだろう……。
プレイギアで無理矢理にここに喚ぶか?
それとも――、
「どうしたんだい? お腹の痛さを我慢しているように見えるよ」
真剣に考えている俺の表情は、便意を催しているように見えるんですかね……。
失礼な愛玩だと思いながらも、対策の時間をゲット!
「そうなんだよね。ここにきてずっとそういった事が出来ていないからね」
「勇者が便意とか格好悪いね。顔もそこまでだし」
――……言ってくれるね……。
「ああ、痛いな~。このままだとポームス君の主人が鎮座するこの地に、とんでもないモノを生み出してしまいそうだな~」
「「「「ええっ!?」」」」
いや、違うでしょ……。
ラズヴァートとポームスが驚くのは分かるよ。
なんでスケルトン達まで驚くんだよ。
嘘くさい喋り方で全てを察してくださいよ……。
連携は神がかってるんですから、そこも神がかってください……。
「流石に勇者が粗相をするのは良くないと思うぞ……」
仲間サイドで、且つスケルトン達のリーダー格が一番に信じ切ってどうすんですか……。
まあ、いい。
「漏らしそうだぜ! 背筋がピンッと伸びて、体を硬直させてしまうほどに――な!」
「もうそれって限界が近いって事じゃないか……」
「厠を所望したい」
冷静な口調って、真実味が増すと思うの。
「いまボク達がいるところから左の通路を真っ直ぐ進めばあるから……」
「では、待ってていただきたい」
「今までと違う喋り方。本当に限界らしいな……」
と、ラズヴァートは俺の口ぶりにまんまと騙されております。
――。
「戻ったぞ!」
「なんでそんな偉そうなのさ……。手は洗ったのかい?」
「ん? あ、ああっ! もちろんばっちりだ。便利な魔法、ウォーターカーテン様々だぜ!」
「本当に洗ったのかい? リアクションからして洗ったとは思えないけど。まあいいや、先に進むよ。人質交換なんだから、もっと緊張してもらいたいものだよ。それと、トイレに行かせてあげたボクの広い心にも感謝してよね」
「感謝、圧倒的感謝っ! 綺麗に清掃してくれていたトイレの清掃係にも感謝!」
「トイレに行く前と違って軽い口調になったものだよ」
「そりゃそうだろう。出たぶん体は軽くなるんだからな」
「勇者って、下品な人でもなれるんだね……」
やれやれと両肩を竦めるポームスは先へと進むため、ちびっ子ワイバーンの手綱を引っ張る。
そんな愛玩の背中を見る俺の表情は、他者から見ればほくそ笑んでいるものだっただろうよ。
でもって、それに気付いているのは――一人だけってところだな。
「ククク……」
「なんとも悪そうに笑うものだな勇者。これから先の交渉で有利に繋がる一計でもあるのかな?」
「それは――ロマンドさんにも秘密ということで」
「そうか」
俺の表情から思惑があるのは気付いても、それ以外には強者であるロマンドさんでも気付いていないようだ。
これなら問題なしだ。
交渉は無しの方向で進めていきたいね。
――おう……。
「なんてこったい」
「ええっと……ですね。まずは私ほどの存在を拘束した相手を称賛することから始めるべきかと思います。大したものだとそこの者に言ってあげてください」
「そんな状態でも上からな言い様が出来る事に安心するよ」
ポームスの案内で通路を進み、重々しい扉が開かれた先では、バインド系で柱に縛られたコクリコの姿。
――で、そんなコクリコの提案に乗る前に室内全体を見渡し、安堵する。
コクリコだけでなく――、
「皆さんもご無事で」
「なんの弁解も出来ない……」
申し訳なさそうな声なのは、ロマンドさんと同じ姿であるルイン。
残った面々も視線下方四十五度凝視という姿勢で俺達と視線を合わせる事を避けていた。
スケルトン達は縛られてはいないけど、当然ながら無手の状態。
コクリコが捕まった時点で抵抗しなかったのは、拘束した存在が危険だと判断したからかな?
「ええい情けない」
と、俺が推理している中でロマンドさんが一言発せば、皆してビクリと肩を震わせる。
精神攻撃が通用しない通常のアンデッドとはやはり違ったリアクションだよね。
「そう強く言わないでください。誰しも失敗はするものですからね」
と、コクリコ……。
こっちはお前がどうやって捕まったのか聞き及んでいる。
原因はコクリコ自身なんだから、そこは自分だけが猛省してほしいところだよ。
――で、
「こちらのやり取りが一通り終えるまで待っていただき感謝します。そしてこちらの仲間を誰一人欠けることなく質としてくださったことにも感謝します。縛られてるのが提案したとおり、お見事な拘束――と言わせてもらいますね」
「称賛、素直に受け取ろう。人質は数が多いほど価値があるからね。抵抗しなかった時点で命は奪わないし、消滅もさせないさ。それに流石は勇者一行と言うべきだろう。ここまで剛胆な少女は見たことがない」
「そうでしょうとも!」
「ハハハハ……」
空笑いでも返してくれるあたり、相手は優しいタイプなんだろうな。
「そいつの場合は剛胆ではなく、お馬鹿なだけですよ」
「勇者がそう言うのならそうなのかな?」
「なにおう! 拘束を解きなさい。手ずから相手をし、我が力をその体に刻んでやりましょう! なので再戦を求む!」
と、コクリコ。
縛られた状態であっても強気な姿勢を崩すことはないので、拘束している存在は空笑いから一転して素直な笑い声に変わる。
まるで幼子を相手にしているような笑いだ。
俺達がここへと到着する間、必要以上に危害を加えていないのは、そのやり取りからも分かるというもの。
相手が紳士で助かる。
まさかコクリコと同行していたスケルトン達まで人質になるなんてな……。
こっちの人質はラズヴァートただ一人。
対して向こうはコクリコを含めて十六人も人質を取っている。
単純な交渉となれば、一人につき一人の交換ってことになるだろう。
となれば、こちらは人質以外で交渉しないといけない状況に追い込まれるだろう……。
圧倒的に相手が有利な交渉だ。どんな無理難題を言ってくることやら……。
――……ふむん。
ゲッコーさんの合流が間に合えば万事解決なんだけどな。
合流にはまだ時間を要するだろう……。
プレイギアで無理矢理にここに喚ぶか?
それとも――、
「どうしたんだい? お腹の痛さを我慢しているように見えるよ」
真剣に考えている俺の表情は、便意を催しているように見えるんですかね……。
失礼な愛玩だと思いながらも、対策の時間をゲット!
「そうなんだよね。ここにきてずっとそういった事が出来ていないからね」
「勇者が便意とか格好悪いね。顔もそこまでだし」
――……言ってくれるね……。
「ああ、痛いな~。このままだとポームス君の主人が鎮座するこの地に、とんでもないモノを生み出してしまいそうだな~」
「「「「ええっ!?」」」」
いや、違うでしょ……。
ラズヴァートとポームスが驚くのは分かるよ。
なんでスケルトン達まで驚くんだよ。
嘘くさい喋り方で全てを察してくださいよ……。
連携は神がかってるんですから、そこも神がかってください……。
「流石に勇者が粗相をするのは良くないと思うぞ……」
仲間サイドで、且つスケルトン達のリーダー格が一番に信じ切ってどうすんですか……。
まあ、いい。
「漏らしそうだぜ! 背筋がピンッと伸びて、体を硬直させてしまうほどに――な!」
「もうそれって限界が近いって事じゃないか……」
「厠を所望したい」
冷静な口調って、真実味が増すと思うの。
「いまボク達がいるところから左の通路を真っ直ぐ進めばあるから……」
「では、待ってていただきたい」
「今までと違う喋り方。本当に限界らしいな……」
と、ラズヴァートは俺の口ぶりにまんまと騙されております。
――。
「戻ったぞ!」
「なんでそんな偉そうなのさ……。手は洗ったのかい?」
「ん? あ、ああっ! もちろんばっちりだ。便利な魔法、ウォーターカーテン様々だぜ!」
「本当に洗ったのかい? リアクションからして洗ったとは思えないけど。まあいいや、先に進むよ。人質交換なんだから、もっと緊張してもらいたいものだよ。それと、トイレに行かせてあげたボクの広い心にも感謝してよね」
「感謝、圧倒的感謝っ! 綺麗に清掃してくれていたトイレの清掃係にも感謝!」
「トイレに行く前と違って軽い口調になったものだよ」
「そりゃそうだろう。出たぶん体は軽くなるんだからな」
「勇者って、下品な人でもなれるんだね……」
やれやれと両肩を竦めるポームスは先へと進むため、ちびっ子ワイバーンの手綱を引っ張る。
そんな愛玩の背中を見る俺の表情は、他者から見ればほくそ笑んでいるものだっただろうよ。
でもって、それに気付いているのは――一人だけってところだな。
「ククク……」
「なんとも悪そうに笑うものだな勇者。これから先の交渉で有利に繋がる一計でもあるのかな?」
「それは――ロマンドさんにも秘密ということで」
「そうか」
俺の表情から思惑があるのは気付いても、それ以外には強者であるロマンドさんでも気付いていないようだ。
これなら問題なしだ。
交渉は無しの方向で進めていきたいね。
――おう……。
「なんてこったい」
「ええっと……ですね。まずは私ほどの存在を拘束した相手を称賛することから始めるべきかと思います。大したものだとそこの者に言ってあげてください」
「そんな状態でも上からな言い様が出来る事に安心するよ」
ポームスの案内で通路を進み、重々しい扉が開かれた先では、バインド系で柱に縛られたコクリコの姿。
――で、そんなコクリコの提案に乗る前に室内全体を見渡し、安堵する。
コクリコだけでなく――、
「皆さんもご無事で」
「なんの弁解も出来ない……」
申し訳なさそうな声なのは、ロマンドさんと同じ姿であるルイン。
残った面々も視線下方四十五度凝視という姿勢で俺達と視線を合わせる事を避けていた。
スケルトン達は縛られてはいないけど、当然ながら無手の状態。
コクリコが捕まった時点で抵抗しなかったのは、拘束した存在が危険だと判断したからかな?
「ええい情けない」
と、俺が推理している中でロマンドさんが一言発せば、皆してビクリと肩を震わせる。
精神攻撃が通用しない通常のアンデッドとはやはり違ったリアクションだよね。
「そう強く言わないでください。誰しも失敗はするものですからね」
と、コクリコ……。
こっちはお前がどうやって捕まったのか聞き及んでいる。
原因はコクリコ自身なんだから、そこは自分だけが猛省してほしいところだよ。
――で、
「こちらのやり取りが一通り終えるまで待っていただき感謝します。そしてこちらの仲間を誰一人欠けることなく質としてくださったことにも感謝します。縛られてるのが提案したとおり、お見事な拘束――と言わせてもらいますね」
「称賛、素直に受け取ろう。人質は数が多いほど価値があるからね。抵抗しなかった時点で命は奪わないし、消滅もさせないさ。それに流石は勇者一行と言うべきだろう。ここまで剛胆な少女は見たことがない」
「そうでしょうとも!」
「ハハハハ……」
空笑いでも返してくれるあたり、相手は優しいタイプなんだろうな。
「そいつの場合は剛胆ではなく、お馬鹿なだけですよ」
「勇者がそう言うのならそうなのかな?」
「なにおう! 拘束を解きなさい。手ずから相手をし、我が力をその体に刻んでやりましょう! なので再戦を求む!」
と、コクリコ。
縛られた状態であっても強気な姿勢を崩すことはないので、拘束している存在は空笑いから一転して素直な笑い声に変わる。
まるで幼子を相手にしているような笑いだ。
俺達がここへと到着する間、必要以上に危害を加えていないのは、そのやり取りからも分かるというもの。
相手が紳士で助かる。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる