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驕った創造主
PHASE-1700【禁忌に踏み込んだ者達】
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ぶっ飛んだゴロ太の能力……。
「あの、ワックさん……」
「ごめん。僕もそこまでは理解していないんだ……」
「それはそうだろうさ! この実験に携わっていたのはこの私とノップだ! だがノップは我々の行為が危険と判断したからな。だから王に密告などしたんだろう!」
「密告ではなく暴走を止めるための正しい行動だったと僕は考えていますよ。バルバダイ」
「だからさんをつけろ気弱な三流技術者が!」
ワックさんには当たりが強いね。
「当たりが強いってのは、それだけワックさんに対しての妬みや嫉みってのがあるからってことなんだろうね~」
「なんだと!」
おう、図星だったのか俺に対しても怒りに染まった表情を向けてくる。
「まったく! 粗末な頭しかもっていないような顔の分際で言ってくれますね!」
「なんだと!」
「お前が挑発に乗ってどうする」
ベルからの蹴りによるツッコミが俺の臀部に直撃……。
「ゴロ太を返してもらおう」
「だからゴロ太などという名ではないと言っているでしょう美姫」
「ゴロ太は――ゴロ太だ」
「ぅうぅぅ……」
怒りに染まっていたバルバダイだったけども、こっちサイドの最強さんはゴロ太を奪われて相対するヤツよりも怒り心頭だからな。
迫力が違った。
「返してもらおう」
「お断りする! ジュニアは我々の救世主なのだ! そもそもが我々が生み出した存在でもある。親権があるとすればそれは私だ! 美姫がどう言おうと渡すことなど出来ない!」
ベルの放つ凍てつく怒気を受け続けながらも未だに立ち向かってくる胆力は称賛してあげるけども、
「以前、ワックさんに話を聞いたことがあります。ゴロ太の母親のことを――」
「シュネーは素晴らしい実験体でした。シュネーとジュニアがいれば最高最大の結果をあの時点で生み出せていたでしょう。だというのに王は! 見る目も何もない!」
ワックさんと師であるノップ氏がブラムスの町にて危険な実験が行われていると王様に伝えたんだったな。
で、当時はまだ聡明だった王様が危険と判断してブラムスに派兵。
ゴロ太の母親である白熊のシュネーを討伐したってことだった。
ゴロ太のように知能が高く人語も理解する母熊。
だからこそ狂った実験を行っている連中の指示に従うことなどないはずなんだけど、従わざるをえない状況だった……。
生まれたばかりのゴロ太を質にされたことで無理矢理に戦わされたという話だったな。
この話を聞いた時のベルの怒りときたら……。
粛清してくれる! なんて息巻いていたからな。
そして――胸くそ悪い手段を行使したのが目の前の男になるのかな?
「もしそうなら、対象が正に目の前にいるってことになる」
「なんの対象です? 勇者様」
「それを知るためにも質問、良いですか?」
「いいですよ。矮小な頭にちゃんと収まるように簡潔に答えましょう」
コイツむかつくな。
まあいい。予想通りならコイツは地獄を見ることになる。
「王様がシュネー討伐の命を下した訳ですが、その時ジュニアを質にしてシュネーを戦わせたのは貴男ですか?」
「失礼な! 質にするなど!」
「違うと?」
「私にとってシュネーとジュニアは救世主となる存在。それを質になどする訳がない。ただこのままだと子に危機が迫ると伝えただけ。私はただジュニアを大事に守っていただけだ」
「言い様だな」
「なにが言い様か! 言い様というのならば、偉大な功績を危険な実験と言い換えた無能な王にこそ使うべきでしょう!」
実験が上手く行っていれば魔王軍との戦いを有利に進められていた。それこそこの大陸から追い払うことも可能だった。
だというのに、それを危険な実験と称し、シュネー討伐を実行するという愚行。
先を見通せないガラス玉で出来た目の持ち主。
だから息子を失い、戦う気力を失ってしまった。
滔々と話す中で徐々に熱を帯びていくバルバダイ。
「結果、急遽取り付けた堅牢な城門を閉ざした城に籠もり、尻で玉座を磨くだけになった訳だ。フハハハハハハハハッ! 無能な王に相応しい!」
あのままシュネーの実験を継続させていれば、間違いなく魔王軍と戦えるだけの力を手にする事が出来た。
そうすれば我々は後世に大いに名を残せていた。
ノップとワックが王に佞言を吐いた事で全てが狂ってしまった!
熱を帯びた声音に怒りも帯びさせるバルバダイ。
「恨むぞワック! 我々の偉業を大いに狂わせたことを!」
「あのまま実験が苛烈になれば、間違いなく君たちは禁忌に触れていた。いや既に触れたのか。人にまで手を出したんだからね!」
ワックさんらしからぬ荒い語調。
「使って何が悪い!」
おう……。
コイツ堂々と言い切りやがった。
実際、ネポリスの事を考えればね……。
スケイルマンとウェアベアモドキには人を使用していたからな……。
コイツ等は既に躊躇するって思考が欠如しているようだ。
人を被検体として使用することにも一切の迷いがないからな。
歯止めの利かない実験にのめり込んでいる。
コイツ等をこれから先も野放しにしていたら、被害が拡大するのは明白。
スティミュラントだってそうだからな。
あれもエスカレートすれば麻薬まがいなものにまで発展するだろう。
そしてそれが流行すれば一大事だ。
「確実にここで仕留めないといけない」
「当然だ」
いつも以上にやる気に漲っているベル。
氷の怒気を勢いよく放出させれば、ここでようやくバルバダイが尻餅をついてみせる。
そんな中でベルが俺の前から消える。
目にも映らない高速移動。
「!? で、出てこいぉぉぉぉぉい!」
間違いなく自分が標的と判断したバルバダイの咆哮。
同時にバルバダイへの進撃を妨げるかのようにベルとバルバダイの間に暗黒の楕円が多数顕現。
相手方の本丸ともなれば、ジャンパーを隠しているのは当然だよな。
「あの、ワックさん……」
「ごめん。僕もそこまでは理解していないんだ……」
「それはそうだろうさ! この実験に携わっていたのはこの私とノップだ! だがノップは我々の行為が危険と判断したからな。だから王に密告などしたんだろう!」
「密告ではなく暴走を止めるための正しい行動だったと僕は考えていますよ。バルバダイ」
「だからさんをつけろ気弱な三流技術者が!」
ワックさんには当たりが強いね。
「当たりが強いってのは、それだけワックさんに対しての妬みや嫉みってのがあるからってことなんだろうね~」
「なんだと!」
おう、図星だったのか俺に対しても怒りに染まった表情を向けてくる。
「まったく! 粗末な頭しかもっていないような顔の分際で言ってくれますね!」
「なんだと!」
「お前が挑発に乗ってどうする」
ベルからの蹴りによるツッコミが俺の臀部に直撃……。
「ゴロ太を返してもらおう」
「だからゴロ太などという名ではないと言っているでしょう美姫」
「ゴロ太は――ゴロ太だ」
「ぅうぅぅ……」
怒りに染まっていたバルバダイだったけども、こっちサイドの最強さんはゴロ太を奪われて相対するヤツよりも怒り心頭だからな。
迫力が違った。
「返してもらおう」
「お断りする! ジュニアは我々の救世主なのだ! そもそもが我々が生み出した存在でもある。親権があるとすればそれは私だ! 美姫がどう言おうと渡すことなど出来ない!」
ベルの放つ凍てつく怒気を受け続けながらも未だに立ち向かってくる胆力は称賛してあげるけども、
「以前、ワックさんに話を聞いたことがあります。ゴロ太の母親のことを――」
「シュネーは素晴らしい実験体でした。シュネーとジュニアがいれば最高最大の結果をあの時点で生み出せていたでしょう。だというのに王は! 見る目も何もない!」
ワックさんと師であるノップ氏がブラムスの町にて危険な実験が行われていると王様に伝えたんだったな。
で、当時はまだ聡明だった王様が危険と判断してブラムスに派兵。
ゴロ太の母親である白熊のシュネーを討伐したってことだった。
ゴロ太のように知能が高く人語も理解する母熊。
だからこそ狂った実験を行っている連中の指示に従うことなどないはずなんだけど、従わざるをえない状況だった……。
生まれたばかりのゴロ太を質にされたことで無理矢理に戦わされたという話だったな。
この話を聞いた時のベルの怒りときたら……。
粛清してくれる! なんて息巻いていたからな。
そして――胸くそ悪い手段を行使したのが目の前の男になるのかな?
「もしそうなら、対象が正に目の前にいるってことになる」
「なんの対象です? 勇者様」
「それを知るためにも質問、良いですか?」
「いいですよ。矮小な頭にちゃんと収まるように簡潔に答えましょう」
コイツむかつくな。
まあいい。予想通りならコイツは地獄を見ることになる。
「王様がシュネー討伐の命を下した訳ですが、その時ジュニアを質にしてシュネーを戦わせたのは貴男ですか?」
「失礼な! 質にするなど!」
「違うと?」
「私にとってシュネーとジュニアは救世主となる存在。それを質になどする訳がない。ただこのままだと子に危機が迫ると伝えただけ。私はただジュニアを大事に守っていただけだ」
「言い様だな」
「なにが言い様か! 言い様というのならば、偉大な功績を危険な実験と言い換えた無能な王にこそ使うべきでしょう!」
実験が上手く行っていれば魔王軍との戦いを有利に進められていた。それこそこの大陸から追い払うことも可能だった。
だというのに、それを危険な実験と称し、シュネー討伐を実行するという愚行。
先を見通せないガラス玉で出来た目の持ち主。
だから息子を失い、戦う気力を失ってしまった。
滔々と話す中で徐々に熱を帯びていくバルバダイ。
「結果、急遽取り付けた堅牢な城門を閉ざした城に籠もり、尻で玉座を磨くだけになった訳だ。フハハハハハハハハッ! 無能な王に相応しい!」
あのままシュネーの実験を継続させていれば、間違いなく魔王軍と戦えるだけの力を手にする事が出来た。
そうすれば我々は後世に大いに名を残せていた。
ノップとワックが王に佞言を吐いた事で全てが狂ってしまった!
熱を帯びた声音に怒りも帯びさせるバルバダイ。
「恨むぞワック! 我々の偉業を大いに狂わせたことを!」
「あのまま実験が苛烈になれば、間違いなく君たちは禁忌に触れていた。いや既に触れたのか。人にまで手を出したんだからね!」
ワックさんらしからぬ荒い語調。
「使って何が悪い!」
おう……。
コイツ堂々と言い切りやがった。
実際、ネポリスの事を考えればね……。
スケイルマンとウェアベアモドキには人を使用していたからな……。
コイツ等は既に躊躇するって思考が欠如しているようだ。
人を被検体として使用することにも一切の迷いがないからな。
歯止めの利かない実験にのめり込んでいる。
コイツ等をこれから先も野放しにしていたら、被害が拡大するのは明白。
スティミュラントだってそうだからな。
あれもエスカレートすれば麻薬まがいなものにまで発展するだろう。
そしてそれが流行すれば一大事だ。
「確実にここで仕留めないといけない」
「当然だ」
いつも以上にやる気に漲っているベル。
氷の怒気を勢いよく放出させれば、ここでようやくバルバダイが尻餅をついてみせる。
そんな中でベルが俺の前から消える。
目にも映らない高速移動。
「!? で、出てこいぉぉぉぉぉい!」
間違いなく自分が標的と判断したバルバダイの咆哮。
同時にバルバダイへの進撃を妨げるかのようにベルとバルバダイの間に暗黒の楕円が多数顕現。
相手方の本丸ともなれば、ジャンパーを隠しているのは当然だよな。
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