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驕った創造主
PHASE-1711【だみ声……】
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「殺しちゃ駄目だからな。コイツには色々と聞きたいことが山ほどあるから」
「リンがいるだろう。あいつの魔法でどうとでもなる」
あ、これマジで命を奪うつもりだ……。
声のトーンに一切の慈悲もなければ抑揚もない……。
「ジュ、ジュニア!」
「ええい! 子グマの背中に隠れるとは情けないヤツ!」
「お姉ちゃん!」
「ゴロ太。すまないがこれもゴロ太の為だ!」
怒り心頭のゴロ太に渋面となって返しつつ、切っ先をバルバダイへと定める。
「ジュニア! 私を助けておくれ! ジュニアの力で助けておくれ」
「もちろんだよ! 皆、悪い人達からおじさんを一緒に助けよう!」
――皆?
嫌な予感しかしない……。
ドドドドドッ――! 洋館内が震える。
揺れによる衝撃が足裏から伝わってくる。この感覚は覚えのある揺れ。
ゴロ太の声を聞き入れて馳せ参じたのは……、
「おぅ……マジかよ……」
「ニ゛ャァァァァァァァァァア!」
濁りのある猫のような鳴き声を俺の目の前で上げる……。
馬甲ならぬ獣甲に守られたのを先頭に三頭が続いていた。
「チコ、タカシ、キム、キョエ……」
ソドンバアムの話だと、ゴロ太をリレントレス・アウルに乗せて空を移動する中、懸命に後を追ってきていたという話だったが……。
合流していたのか……。
馬以上の長距離移動を可能としているスタミナをお持ちのようで……。
「やめるんだゴロ太!」
ワックさんとは思えない大音声。
思いの丈を出し切る声だったけども、
「いくらワックさんでもおじさんをいじめるのは許せないよ!」
「ゴロ太……」
ワックさんを選ばずにバルバダイを選ぶという信じられない展開。
「流石はジュニア。私の救世主」
「エヘヘ」
今の俺たちには決して見せない柔らかな笑みをバルバダイに見せれば、向けられた方はその愛くるしさにたまらず抱擁。
強く抱っこされれば更に喜ぶゴロ太という光景。
――……隣に目を向けたくはないけども、瞥見すれば、
「うわぁぁ……」
思わず声を漏らしてしまう。
ベルの表情よ……。
この世の終わりを目撃しているかのようだった。
普段の美しいエメラルドグリーンの瞳からは虹彩が失われていた……。
自分がいつも抱っこしている存在が自分たちを拒絶し、更に敵視してくる。
そして非人道的な行いをする男に微笑み、抱っこされて喜ぶという状況。
「……ゆ、許せん」
なんとか絞り出してのかすれ声は、バルバダイに対する怒り――というよりは嫉妬。
ゴロ太を抱っこするという役目は自分だけのもの! とばかりに嫉妬の視線を送れば、
「その様な目で見ないでもらいたい。ジュニアが怖がってしまうだろう美姫よ」
「貴様っ!」
「おお怖い。心胆が凍えてしまう。ジュニア。私を守っておくれ」
「もちろん♪ 皆、頑張ろう♪」
明るい語調で言えば、
「「「「ニ゛ャァァァァァァァァァァァァァァァア゛!!!!」」」」
鳴き声を合わせたところで、
「やめろチコ!」
一番槍を務めるのはリーダー的存在であるチコ。
前脚を大きく振るだけで洋館の壁と床に大きな爪痕を残す。
獣甲に守られたチコの強さは初めて戦った時とは別格。
装備だけでなくチコ自体が成長しているし、それはタカシ、キム、キョエにも言えること。
なにより……、
「戦いにくい……」
普段は俺に懐いている可愛い連中だから攻撃することに躊躇してしまう。
対してチコ達はお構いなしに俺たちへと仕掛けてくる。
百獣の王のような鬣を靡かせる象サイズが、全体重を乗せて攻撃してくる。
「建物が壊れるぞ」
「どのみち仮の拠点よ。もう必要はない」
どんだけ手の込んだ仮の拠点だよ……。
「みんな~気にせずに戦っていいらしいよ」
ゴロ太が言えばチコ達はならばお構いなしに! とばかりに大暴れ。
蠍のような尻尾を振り回し、強靱な爪や牙を遠慮の欠片も見せることなく俺たちへと突き立ててくる。
「まったく、ショックだぞチコ……」
ここまで容赦なく攻撃してくるなんて……。
もっとこう、俺たちとの思い出が脳裏によぎれば、ここまで苛烈に攻撃をすることなんて無いと思うんだけど……。
ゴロ太がお願いをすれば、俺たちの関係性なんか余裕で失われてしまうってことなんだな……。
「まったく、ショックだぞチコ……」
「ニ゛ャァアア」
聞く耳なし。
洋館のエントランスが広いことをいいことに大暴れ。
とはいえ、象サイズのが四頭も暴れればせせこましくてかなわん。
反撃せずに回避に専念する俺の事なんて気にもしないで攻撃を続けてくるチコ達。
「まったく、ショックだぞチコ……」
「なに同じ台詞を何度も吐いてんだ――よっ!」
「あっ!?」
俺やベルとは違い、ガリオンが無慈悲に自慢の拳で殴る。
ターゲットとなったのはタカシ。
タカシの鼻面に強烈な拳が直撃すれば、
「ニ゛ャ!?」
涙を流しながら短いだみ声をタカシが上げる。
一撃で床を転げ回る。
「デカいだけで大したことねえな」
これなら問題ないとガリオン。
リーダー的存在のチコはそこそこのレベルではあるけど、タカシ、キム、キョエは成長していると言ってもそこまでではない。
並の冒険者。外で待機してもらっているルーフェンスさんや私兵達なら難敵となる脅威対象だが、ここにいる面子なら問題なく対応できる程度の相手。
「リンがいるだろう。あいつの魔法でどうとでもなる」
あ、これマジで命を奪うつもりだ……。
声のトーンに一切の慈悲もなければ抑揚もない……。
「ジュ、ジュニア!」
「ええい! 子グマの背中に隠れるとは情けないヤツ!」
「お姉ちゃん!」
「ゴロ太。すまないがこれもゴロ太の為だ!」
怒り心頭のゴロ太に渋面となって返しつつ、切っ先をバルバダイへと定める。
「ジュニア! 私を助けておくれ! ジュニアの力で助けておくれ」
「もちろんだよ! 皆、悪い人達からおじさんを一緒に助けよう!」
――皆?
嫌な予感しかしない……。
ドドドドドッ――! 洋館内が震える。
揺れによる衝撃が足裏から伝わってくる。この感覚は覚えのある揺れ。
ゴロ太の声を聞き入れて馳せ参じたのは……、
「おぅ……マジかよ……」
「ニ゛ャァァァァァァァァァア!」
濁りのある猫のような鳴き声を俺の目の前で上げる……。
馬甲ならぬ獣甲に守られたのを先頭に三頭が続いていた。
「チコ、タカシ、キム、キョエ……」
ソドンバアムの話だと、ゴロ太をリレントレス・アウルに乗せて空を移動する中、懸命に後を追ってきていたという話だったが……。
合流していたのか……。
馬以上の長距離移動を可能としているスタミナをお持ちのようで……。
「やめるんだゴロ太!」
ワックさんとは思えない大音声。
思いの丈を出し切る声だったけども、
「いくらワックさんでもおじさんをいじめるのは許せないよ!」
「ゴロ太……」
ワックさんを選ばずにバルバダイを選ぶという信じられない展開。
「流石はジュニア。私の救世主」
「エヘヘ」
今の俺たちには決して見せない柔らかな笑みをバルバダイに見せれば、向けられた方はその愛くるしさにたまらず抱擁。
強く抱っこされれば更に喜ぶゴロ太という光景。
――……隣に目を向けたくはないけども、瞥見すれば、
「うわぁぁ……」
思わず声を漏らしてしまう。
ベルの表情よ……。
この世の終わりを目撃しているかのようだった。
普段の美しいエメラルドグリーンの瞳からは虹彩が失われていた……。
自分がいつも抱っこしている存在が自分たちを拒絶し、更に敵視してくる。
そして非人道的な行いをする男に微笑み、抱っこされて喜ぶという状況。
「……ゆ、許せん」
なんとか絞り出してのかすれ声は、バルバダイに対する怒り――というよりは嫉妬。
ゴロ太を抱っこするという役目は自分だけのもの! とばかりに嫉妬の視線を送れば、
「その様な目で見ないでもらいたい。ジュニアが怖がってしまうだろう美姫よ」
「貴様っ!」
「おお怖い。心胆が凍えてしまう。ジュニア。私を守っておくれ」
「もちろん♪ 皆、頑張ろう♪」
明るい語調で言えば、
「「「「ニ゛ャァァァァァァァァァァァァァァァア゛!!!!」」」」
鳴き声を合わせたところで、
「やめろチコ!」
一番槍を務めるのはリーダー的存在であるチコ。
前脚を大きく振るだけで洋館の壁と床に大きな爪痕を残す。
獣甲に守られたチコの強さは初めて戦った時とは別格。
装備だけでなくチコ自体が成長しているし、それはタカシ、キム、キョエにも言えること。
なにより……、
「戦いにくい……」
普段は俺に懐いている可愛い連中だから攻撃することに躊躇してしまう。
対してチコ達はお構いなしに俺たちへと仕掛けてくる。
百獣の王のような鬣を靡かせる象サイズが、全体重を乗せて攻撃してくる。
「建物が壊れるぞ」
「どのみち仮の拠点よ。もう必要はない」
どんだけ手の込んだ仮の拠点だよ……。
「みんな~気にせずに戦っていいらしいよ」
ゴロ太が言えばチコ達はならばお構いなしに! とばかりに大暴れ。
蠍のような尻尾を振り回し、強靱な爪や牙を遠慮の欠片も見せることなく俺たちへと突き立ててくる。
「まったく、ショックだぞチコ……」
ここまで容赦なく攻撃してくるなんて……。
もっとこう、俺たちとの思い出が脳裏によぎれば、ここまで苛烈に攻撃をすることなんて無いと思うんだけど……。
ゴロ太がお願いをすれば、俺たちの関係性なんか余裕で失われてしまうってことなんだな……。
「まったく、ショックだぞチコ……」
「ニ゛ャァアア」
聞く耳なし。
洋館のエントランスが広いことをいいことに大暴れ。
とはいえ、象サイズのが四頭も暴れればせせこましくてかなわん。
反撃せずに回避に専念する俺の事なんて気にもしないで攻撃を続けてくるチコ達。
「まったく、ショックだぞチコ……」
「なに同じ台詞を何度も吐いてんだ――よっ!」
「あっ!?」
俺やベルとは違い、ガリオンが無慈悲に自慢の拳で殴る。
ターゲットとなったのはタカシ。
タカシの鼻面に強烈な拳が直撃すれば、
「ニ゛ャ!?」
涙を流しながら短いだみ声をタカシが上げる。
一撃で床を転げ回る。
「デカいだけで大したことねえな」
これなら問題ないとガリオン。
リーダー的存在のチコはそこそこのレベルではあるけど、タカシ、キム、キョエは成長していると言ってもそこまでではない。
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