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驕った創造主
PHASE-1722【ミルモン突入】
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「あの鳥たちを突破してきたか」
「鳥の群れにいつまでも手こずるとは思わないことだな。歪みし碩学の者よ」
「自分たちの考えと齟齬があるだけで歪んでいると評価するとは随分と上からな物言いだ」
「実際に上から言っているからね」
「では私より低い位置にいる小僧はさっさと退場するがいい」
「無理な話だ。我がいる限りな!」
言って、次の矢を放ってくれるジージー。
矢が水面に突き当たることで発生する水柱による衝撃で、巨大クラゲの傘部分が激しく揺れる。
「ええい! 鬱陶しい亜人め!」
直撃させなければ問題ないとばかりに、ジージーは次々と矢を放ってくれる。
「言っただろ。ゆとり持って戦える相手じゃないぞ」
下方から嘲ってやれば、
「他者の武威で調子づくなよ小僧! 勇者のくせに! 自身の威光で語れぬヤツは口を挟むな!」
言い得て妙だよ。
これが人徳ある人物に言われれば響くんだろうけども、コイツに言われてもね。
ジージーによる妨害で出来た時間。
有り難いことに水龍の加護がある俺は、揺れる波に見舞われてもお構いなしに動ける。
上空でそれが分かったからか、ジージーの矢の威力が更に上がり、今までよりも高い水柱を生み出し、その分、波紋も激しいものとなる。
対空迎撃の為の水圧カッターを一斉射するも、照準が定まらない状態ではジージーも躱す必要はないと、上空で次の矢を番え――即、放つ。
さて、自由に動けるけども、どうやってゴロ太を救い出す。
無理矢理には連れ出すことは出来ない。
となれば、バルバダイを引きずり出して脅してってのも考えるがそれは難しいだろうな。
自分に何かあれば暴走するだろうとも言っていたし。
「ふむん……」
接近は出来たが、どう対処すべきか……。
「兄ちゃんアレ!」
「――アレとは?」
「クラゲの中だよ」
――……中?
ミルモンの食指が向けられる方向に何があるのか?
ゴロ太とバルバダイは見えるけども――。
何かがミルモンには見えているご様子。
ビジョンを使用するが――、
「見えないぞ……」
攻撃を回避しつつ、ミルモンが俺にずっと指示してくる位置を見るが、ぼやけているだけで見えない。
「あっ! これアレだ」
エルフの国の防御壁周辺を覆っていた霧と同じ効果ってことだな。
ビジョンが阻害されている理由は、同様の効果がモーモーチャーチャーにもあるって事なんだろう。
「ミルモンには見えているのか?」
「はっきりって訳じゃないけど、うっすらとだけど丸っこい塊が見えるよ」
「丸っこい塊か」
俺には見えないけども、ミルモンには間違いなく見えているご様子。
見通す小悪魔が有する目は俺たちとは違うみたいだな。
――確かにミルモンが食指を伸ばして、それを追ってから異変に気づくという場面が多い気がする。
俺たちとは違うものを見通せる力がミルモンにあるとするなら、
「ビジョンの効果を阻害しないといけないくらいにご大層なモノがモーモーチャーチャーにはあるようだな。触れられたくない秘密の部分か」
ここは――突っ込んでみるか。
俺は完全毒耐性だからな。ゼリー状の体に無理矢理に突入しても問題はない。
問題があるとするなら、侵入時どういったリアクションがあるかだな。
ゼリー状の内部でバルバダイは口を開くが、それはクラゲが異物と判断していないからだろう。
俺が侵入すれば、異物と判断して何かしらの攻撃を仕掛けてくる可能性もある。
――……ううん……。
「ええい! ままよ!」
このまま考えていても好転はしない。
決めた! 突っ込む!
となれば毒耐性のないミルモンには俺から離れてもらわないとな。
「ミルモン」
――ん?
「て、ミルモンはどこ!?」
攻撃を回避ながら思案している最中にミルモンが左肩からいなくなっていた。
どこかで振り落とされたのかと心配したけども、
「よいしょ!」
出てきたのは俺の雑嚢から。
小さなお手々で持っているのは、白磁の小瓶。
俺には小瓶だけども、ミルモンにとっては水甕を持っているようなもの。
「何してんの?」
「まあ見ててよ」
言えば小瓶の栓を抜き、体の半分はあるその小瓶を豪快に煽る。
中身はアンチドーテ。
「え、まさか!?」
「ちょっと見てくる」
「おい、それは俺がやるから!」
「兄ちゃんは相手の気を引いていてよ」
小さい体なら侵入しても気づかれないかもしれない。
自分の体のメリットを活かして気になる部分を見てくる。とのこと。
心配無用とばかりに愛らしくも強気な笑みを見せてくれる。
「無理だけはしないでくれよ」
「多少の無理はしないとこの状況は変えられないさ!」
格好いいことを言ってくれるじゃないか。
なら!
「俺は出来る事をするよ。ヘイト集めは得意なんでね」
ミルモンがこっそりと俺から離れる。
「いい加減にしろよマッド! どんだけ俺やジージーを狙っても絶望的なクソエイムのテメーじゃ当てられねえよ。それともドリフトしてるコントローラーでも使ってんのか? 買い換えろ馬鹿!」
ジージーによる掩護。
水面がうねり照準も定まらない。
挑発すれば青筋立てて俺とジージーに注力するバルバダイ。
ミルモンの動きなど目にも入っていない。
ここが攻め時とばかりにミルモンが俺へとサムズアップを向け、勢いよくゼリー状の内部へと突入していく。
「鳥の群れにいつまでも手こずるとは思わないことだな。歪みし碩学の者よ」
「自分たちの考えと齟齬があるだけで歪んでいると評価するとは随分と上からな物言いだ」
「実際に上から言っているからね」
「では私より低い位置にいる小僧はさっさと退場するがいい」
「無理な話だ。我がいる限りな!」
言って、次の矢を放ってくれるジージー。
矢が水面に突き当たることで発生する水柱による衝撃で、巨大クラゲの傘部分が激しく揺れる。
「ええい! 鬱陶しい亜人め!」
直撃させなければ問題ないとばかりに、ジージーは次々と矢を放ってくれる。
「言っただろ。ゆとり持って戦える相手じゃないぞ」
下方から嘲ってやれば、
「他者の武威で調子づくなよ小僧! 勇者のくせに! 自身の威光で語れぬヤツは口を挟むな!」
言い得て妙だよ。
これが人徳ある人物に言われれば響くんだろうけども、コイツに言われてもね。
ジージーによる妨害で出来た時間。
有り難いことに水龍の加護がある俺は、揺れる波に見舞われてもお構いなしに動ける。
上空でそれが分かったからか、ジージーの矢の威力が更に上がり、今までよりも高い水柱を生み出し、その分、波紋も激しいものとなる。
対空迎撃の為の水圧カッターを一斉射するも、照準が定まらない状態ではジージーも躱す必要はないと、上空で次の矢を番え――即、放つ。
さて、自由に動けるけども、どうやってゴロ太を救い出す。
無理矢理には連れ出すことは出来ない。
となれば、バルバダイを引きずり出して脅してってのも考えるがそれは難しいだろうな。
自分に何かあれば暴走するだろうとも言っていたし。
「ふむん……」
接近は出来たが、どう対処すべきか……。
「兄ちゃんアレ!」
「――アレとは?」
「クラゲの中だよ」
――……中?
ミルモンの食指が向けられる方向に何があるのか?
ゴロ太とバルバダイは見えるけども――。
何かがミルモンには見えているご様子。
ビジョンを使用するが――、
「見えないぞ……」
攻撃を回避しつつ、ミルモンが俺にずっと指示してくる位置を見るが、ぼやけているだけで見えない。
「あっ! これアレだ」
エルフの国の防御壁周辺を覆っていた霧と同じ効果ってことだな。
ビジョンが阻害されている理由は、同様の効果がモーモーチャーチャーにもあるって事なんだろう。
「ミルモンには見えているのか?」
「はっきりって訳じゃないけど、うっすらとだけど丸っこい塊が見えるよ」
「丸っこい塊か」
俺には見えないけども、ミルモンには間違いなく見えているご様子。
見通す小悪魔が有する目は俺たちとは違うみたいだな。
――確かにミルモンが食指を伸ばして、それを追ってから異変に気づくという場面が多い気がする。
俺たちとは違うものを見通せる力がミルモンにあるとするなら、
「ビジョンの効果を阻害しないといけないくらいにご大層なモノがモーモーチャーチャーにはあるようだな。触れられたくない秘密の部分か」
ここは――突っ込んでみるか。
俺は完全毒耐性だからな。ゼリー状の体に無理矢理に突入しても問題はない。
問題があるとするなら、侵入時どういったリアクションがあるかだな。
ゼリー状の内部でバルバダイは口を開くが、それはクラゲが異物と判断していないからだろう。
俺が侵入すれば、異物と判断して何かしらの攻撃を仕掛けてくる可能性もある。
――……ううん……。
「ええい! ままよ!」
このまま考えていても好転はしない。
決めた! 突っ込む!
となれば毒耐性のないミルモンには俺から離れてもらわないとな。
「ミルモン」
――ん?
「て、ミルモンはどこ!?」
攻撃を回避ながら思案している最中にミルモンが左肩からいなくなっていた。
どこかで振り落とされたのかと心配したけども、
「よいしょ!」
出てきたのは俺の雑嚢から。
小さなお手々で持っているのは、白磁の小瓶。
俺には小瓶だけども、ミルモンにとっては水甕を持っているようなもの。
「何してんの?」
「まあ見ててよ」
言えば小瓶の栓を抜き、体の半分はあるその小瓶を豪快に煽る。
中身はアンチドーテ。
「え、まさか!?」
「ちょっと見てくる」
「おい、それは俺がやるから!」
「兄ちゃんは相手の気を引いていてよ」
小さい体なら侵入しても気づかれないかもしれない。
自分の体のメリットを活かして気になる部分を見てくる。とのこと。
心配無用とばかりに愛らしくも強気な笑みを見せてくれる。
「無理だけはしないでくれよ」
「多少の無理はしないとこの状況は変えられないさ!」
格好いいことを言ってくれるじゃないか。
なら!
「俺は出来る事をするよ。ヘイト集めは得意なんでね」
ミルモンがこっそりと俺から離れる。
「いい加減にしろよマッド! どんだけ俺やジージーを狙っても絶望的なクソエイムのテメーじゃ当てられねえよ。それともドリフトしてるコントローラーでも使ってんのか? 買い換えろ馬鹿!」
ジージーによる掩護。
水面がうねり照準も定まらない。
挑発すれば青筋立てて俺とジージーに注力するバルバダイ。
ミルモンの動きなど目にも入っていない。
ここが攻め時とばかりにミルモンが俺へとサムズアップを向け、勢いよくゼリー状の内部へと突入していく。
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