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驕った創造主
PHASE-1732【RPGだと最後まで使わない事がほどんど】
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「どうすればいいか……」
イケると思ったところで変化がないと、膝から崩れそうになる……。
「ガァァァァァァ!」
依然として威嚇を止めることはない。
「トール顔を伏せるな。シュネーの鳴き声がまた変化した」
と、ベルが言う。
傾聴すれば――「ガァァ!」と威嚇。
「おお! 変わってる!」
殺意あるバァァァだったり、アンデッドまる出しだったグブォアァァ――だったのが、ガァァ――という鳴き声に変わっている。
ワックさんを噛まなくなったし、鳴き声も変わった。
これはワックさんがもっと語りかければ更なる変化があるかもしれない。
アンデッドだからといって知性がないわけじゃない。
リンのアンデッド達が特別とはいえ、知性を持っている者達も存在する。
何よりシュネー自体も特別な存在。
ただただ生者を襲うだけのアンデッドに成り下がっているなら、噛みつく行為を止めるということはしない。
「ワックさん! もう一押しですよ!」
激励を送れば、
「う、うん……」
「ワックさん!?」
力なくうずくまる。
「馬鹿め! アンデッドに噛まれて深い傷を負ったのだ。彷徨う死者というのは生者への怨念を宿して動くもの。生前に強い力を持っている者なら特にな! つまりは呪いの類いを有した攻撃を脆弱な人間が受けたわけだ。傑作だなワック。貴様もそのまま死ねばアンデッドの仲間入りだろう」
うずくまるワックさんに愉悦からの哄笑を上げるバルバダイ。
「アンチドーテは! オイラが全部使っちゃたかな……」
「いや、ラスト一本あるぞ。でも……」
「意味はないぞ」
と、ガリオン。
毒とは違って呪いは別物。
アンチドーテでは呪いの類いは対処できない。
傷口をポーションなんかで回復しても呪い自体は祓われない。
そのままアンデッドへとなるだけ。
「この場にリンがいないことが悔やまれる……」
プリシュカをヴァンピレスへと変えたり戻したりってのにも関与していたリンなら間違いなく治療も可能なんだけどな……。
「どうやら解決策はないようだな。残念だったな。私としてはこの上なく楽しい状況を見させてもらっている」
「喧しいマッドだよ!」
「勇者でありながら呪詛や穢れに対処できないのだ。滑稽のあまり声が大きくなるのも仕方ないだろう」
「くぅぅ……」
「おっと、先に言っておくが私でも治せないからな。呪いの分野は高位の魔法でもある。如何に天才であっても、高位魔法は門外漢なのでね」
くつくつと笑いやがって!
ワックさんがこれからアンデッドへと変化するのが嬉しくて仕方ないようだ。
「大陸随一の職人がアンデッドとは大いなる損失だ~」
「なにあの言い方! 本当にムカつくヤツだよ! やっぱりもっとザクザクと刺しとけばよかった!」
「聞こえているぞ小人! 貴様は捕獲して必ず解剖してくれる!」
「この状況でなに言ってんだか。オイラ達が依然として有利なのに」
「有利ならばさっさとワックを救ってやればどうだ」
「ぐぬぬ……」
「残念残念。リジェネポーションなら持っているが使用しても意味はない。この場にエリクシールでもあれば、他愛なく治せるだろうがな~。並の呪詛ならわずかな量でも治るそうだぞ。まあ、エリクシールという伝説上の代物を手に入れる事など不可能だがな」
――お、そうか。
「その手があったか!」
「ん?」
「ありがとうよバルバダイ。良い助言だったよ。愚者も一得とはよく言ったもんだ」
ワックさんの現状を目にして頭が回ってなかったようだ。
敵に言われてから気づくんだからな。
普段、使う事がないから余計に存在を忘れていたってのもあるけど。
「こんな時に使ってこその最高アイテム。大事にしすぎて結局は使わないという意味の無さはゲームクリアで経験しているからな」
「何を言っているのだ――勇者?」
「お前が助言した物を使わせてもらう」
「……は?」
「エリクシール――あるよ」
「……はぁぁぁぁぁ!? あるのぅ!?」
雑嚢から取り出す小瓶。
「いま助けますからねワックさん」
「よせ! 本当に本物なのか!」
「本当に本物だっての。勇者なめんな!」
「馬鹿な事を! 今では手に入れる事が不可能な素材だってあるんだぞ!」
「でも持ってるからね。ワックさんいま救いますからね」
「よせ! それが本物なら私に渡せ! それを解析して擬似的なエリクシールを生産してやる。そんな男に使う必要はない!」
――……本当にコイツは……。
「救いようのないヤツだよ」
心底ほしいのか、使おうとしたところで触手を利用して妨害してくるけども、こっちの腕っこきを突破することは不可能。
ワックさんの傷口に塗布すれば――、
「こんな感じか」
傷口に塗布すればワックさんの全身が薄緑の光に包まれ、直ぐに、
「んん!?」
うずくまっていた体が起き上がる。
「おお、元気になった。流石はエリクシール」
即効果が現れた。
塗布から光に包まれて直ぐだったからね。
噛まれた傷口も完全に塞がり、アンデッドによる呪詛も祓われたようだ。
「なんと愚かな……」
「お前に愚かと言われるのはむしろ誉れだよ」
「トール君。申し訳ない」
「気にしなくていいですよ。エリクシール一本で救える命は一人だけです。でもワックさんが中心になって装備を製作してくれれば、万人の命を救えます」
ふふん。今の俺は凄く格好いいことを言ったと思う。
「素晴らしいぞ」
「ですよね~」
ベルからも褒めてもらえる。
と、いかんいかん。
こんな状況で浮かれている場合ではない。
「ワックさん」
「任せてほしい!」
復活からの生気に漲る目力。
いつもは優しく、一見すると気が弱そうでもあるけど、実際は芯が強い最高の人物だ。
イケると思ったところで変化がないと、膝から崩れそうになる……。
「ガァァァァァァ!」
依然として威嚇を止めることはない。
「トール顔を伏せるな。シュネーの鳴き声がまた変化した」
と、ベルが言う。
傾聴すれば――「ガァァ!」と威嚇。
「おお! 変わってる!」
殺意あるバァァァだったり、アンデッドまる出しだったグブォアァァ――だったのが、ガァァ――という鳴き声に変わっている。
ワックさんを噛まなくなったし、鳴き声も変わった。
これはワックさんがもっと語りかければ更なる変化があるかもしれない。
アンデッドだからといって知性がないわけじゃない。
リンのアンデッド達が特別とはいえ、知性を持っている者達も存在する。
何よりシュネー自体も特別な存在。
ただただ生者を襲うだけのアンデッドに成り下がっているなら、噛みつく行為を止めるということはしない。
「ワックさん! もう一押しですよ!」
激励を送れば、
「う、うん……」
「ワックさん!?」
力なくうずくまる。
「馬鹿め! アンデッドに噛まれて深い傷を負ったのだ。彷徨う死者というのは生者への怨念を宿して動くもの。生前に強い力を持っている者なら特にな! つまりは呪いの類いを有した攻撃を脆弱な人間が受けたわけだ。傑作だなワック。貴様もそのまま死ねばアンデッドの仲間入りだろう」
うずくまるワックさんに愉悦からの哄笑を上げるバルバダイ。
「アンチドーテは! オイラが全部使っちゃたかな……」
「いや、ラスト一本あるぞ。でも……」
「意味はないぞ」
と、ガリオン。
毒とは違って呪いは別物。
アンチドーテでは呪いの類いは対処できない。
傷口をポーションなんかで回復しても呪い自体は祓われない。
そのままアンデッドへとなるだけ。
「この場にリンがいないことが悔やまれる……」
プリシュカをヴァンピレスへと変えたり戻したりってのにも関与していたリンなら間違いなく治療も可能なんだけどな……。
「どうやら解決策はないようだな。残念だったな。私としてはこの上なく楽しい状況を見させてもらっている」
「喧しいマッドだよ!」
「勇者でありながら呪詛や穢れに対処できないのだ。滑稽のあまり声が大きくなるのも仕方ないだろう」
「くぅぅ……」
「おっと、先に言っておくが私でも治せないからな。呪いの分野は高位の魔法でもある。如何に天才であっても、高位魔法は門外漢なのでね」
くつくつと笑いやがって!
ワックさんがこれからアンデッドへと変化するのが嬉しくて仕方ないようだ。
「大陸随一の職人がアンデッドとは大いなる損失だ~」
「なにあの言い方! 本当にムカつくヤツだよ! やっぱりもっとザクザクと刺しとけばよかった!」
「聞こえているぞ小人! 貴様は捕獲して必ず解剖してくれる!」
「この状況でなに言ってんだか。オイラ達が依然として有利なのに」
「有利ならばさっさとワックを救ってやればどうだ」
「ぐぬぬ……」
「残念残念。リジェネポーションなら持っているが使用しても意味はない。この場にエリクシールでもあれば、他愛なく治せるだろうがな~。並の呪詛ならわずかな量でも治るそうだぞ。まあ、エリクシールという伝説上の代物を手に入れる事など不可能だがな」
――お、そうか。
「その手があったか!」
「ん?」
「ありがとうよバルバダイ。良い助言だったよ。愚者も一得とはよく言ったもんだ」
ワックさんの現状を目にして頭が回ってなかったようだ。
敵に言われてから気づくんだからな。
普段、使う事がないから余計に存在を忘れていたってのもあるけど。
「こんな時に使ってこその最高アイテム。大事にしすぎて結局は使わないという意味の無さはゲームクリアで経験しているからな」
「何を言っているのだ――勇者?」
「お前が助言した物を使わせてもらう」
「……は?」
「エリクシール――あるよ」
「……はぁぁぁぁぁ!? あるのぅ!?」
雑嚢から取り出す小瓶。
「いま助けますからねワックさん」
「よせ! 本当に本物なのか!」
「本当に本物だっての。勇者なめんな!」
「馬鹿な事を! 今では手に入れる事が不可能な素材だってあるんだぞ!」
「でも持ってるからね。ワックさんいま救いますからね」
「よせ! それが本物なら私に渡せ! それを解析して擬似的なエリクシールを生産してやる。そんな男に使う必要はない!」
――……本当にコイツは……。
「救いようのないヤツだよ」
心底ほしいのか、使おうとしたところで触手を利用して妨害してくるけども、こっちの腕っこきを突破することは不可能。
ワックさんの傷口に塗布すれば――、
「こんな感じか」
傷口に塗布すればワックさんの全身が薄緑の光に包まれ、直ぐに、
「んん!?」
うずくまっていた体が起き上がる。
「おお、元気になった。流石はエリクシール」
即効果が現れた。
塗布から光に包まれて直ぐだったからね。
噛まれた傷口も完全に塞がり、アンデッドによる呪詛も祓われたようだ。
「なんと愚かな……」
「お前に愚かと言われるのはむしろ誉れだよ」
「トール君。申し訳ない」
「気にしなくていいですよ。エリクシール一本で救える命は一人だけです。でもワックさんが中心になって装備を製作してくれれば、万人の命を救えます」
ふふん。今の俺は凄く格好いいことを言ったと思う。
「素晴らしいぞ」
「ですよね~」
ベルからも褒めてもらえる。
と、いかんいかん。
こんな状況で浮かれている場合ではない。
「ワックさん」
「任せてほしい!」
復活からの生気に漲る目力。
いつもは優しく、一見すると気が弱そうでもあるけど、実際は芯が強い最高の人物だ。
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