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驕った創造主
PHASE-1736【お呼びじゃねえよ……】
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「お……おう、見ろよ……。んぐ、動き出した、ぞ」
あ、ガリオンの奴、声が震えているじゃないか。
意外と人情味のある場面に弱いタイプのようだな。
「逃がすわけがない」
一足先にとジージーが湖畔へとむかって飛んでくれる。
ピクピクとしていたかと思えば、ズリズリと這いずって俺たちから離れようとしているのが湖からでもよく見える。
「本当にタフだね……。並の冒険者以上だと思うよ……」
呆れ口調のミルモン。
「性格は絶望的に救いようがないけど、リジェネポーションってのは本当に有用だな」
魔王軍との戦闘時、継戦力が増すってのは助かる。
本気で欲したい技術だし――、
「裁くためにも絶対に逃がさねえ」
「当然だ」
ワックさんとシュネーにゴロ太を任せればベルも動く。
「ゴロ丸。私を投げてくれ」
「キュウ!」
優しくベルを掴めば、掴む具合とは真反対の力強い投擲……。
普通の人間なら投げられただけで悲鳴でも上げるだろうが、そこは最強様。静かなものである。
しばらくして聞こえてくる悲鳴は情けない男のものだった。
遅れて俺とミルモンも湖畔に到着。
ベルの姿に後退りして、湖方向に来ているのが笑えるバルバダイ。
頭上からも監視の目。
正に逃げ場無しだな。
「やあ天才。しばきに来たぞ」
「ゆ、勇者!」
「誰を解剖するんだったかな~」
「小人!」
可愛い右手に黒い電撃をパチパチと漲らせて脅してみせるミルモン。
負の感情がダダ漏れだからとても気分がいいみたいで、プニプニほっぺの血色がすこぶるよい。
陸地側と直上。湖側は俺とミルモン。これに遅れてゴロ丸に乗った面子が接近。
これはまずいとばかりにバルバダイが陸地側へと体を向けたところで最も恐ろしい最強様が立ち塞がっている。
「モーモーチャーチャー!」
「仕留めたから。やっぱデカい生物兵器にはロケットランチャー一択よ」
「ロケットなんだって?」
「うるせえ! 一々と聞き返してんじゃねえ!」
「ひぃ!」
「コイツ脅えてるよ♪」
ミルモンってば心の底から嬉しそう。
さんざっぱら見下されたし、何より不快な戦い方だったからな。
「クソッ! クソクソクソ!」
「汚い言葉を連呼するな」
「どうしてこうなった! 私の計画が完全に破綻したじゃないか!」
「それはな。俺たちを怒らせたからだよ。俺たちと敵対した時点でテメーは詰んでんだよ」
語末を仄暗い声音に変えて凄んでやれば、俺から離れていく。
パシャパシャと浅瀬を四つん這いになっての移動。
天才の斜陽、落日ってやつか。
「終わりだ」
惨めに逃げてもその先をベルに回り込まれる。
RPGの特殊戦闘と一緒。絶対に逃げ果せる事はできないという状況ですわ。
「ハハハッ! 弱者をいたぶるのは気乗りしねえが、テメーだけは心の底から痛めつけてえな!」
「ひぃぃぃぃぃい!」
ゴロ丸から着地して豪快に水しぶきを上げての登場はガリオン。
その後方ではゴロ丸が仁王立ち。
完全に包囲してやった。
「どうするよ。逃げるか? 逃げるならどこまでも追いかけるけどな! この状況から逃げられる事は不可能だろうけどな! この状況で入れる保険があればいいな!」
凄んで顔を近づけてやれば、
「ふぃ! ひぃ! ふぃ…………」
過呼吸となってしまった。
その過呼吸、バルバダイ――完全に終了のお知らせの合図ってところか。
「さあ、連行させてもらうぞ」
「ま、まだ、まだだ!」
「あん? もういいって。お前の最高傑作はもういないの! こっちとしては最高傑作が湖を毒汚染しているかもしれないから、浄化作業の報告もしないといけないしな」
「私の創り出した最高傑作だぞ! 指示がない以上、毒自体は直接触れないと広がらないようになっている。雑な創造などするものか!」
「ああ、そう。それはいいことだ」
ワームや魚群が無事だったのもちゃんとその部分は調整してんだな。
そこだけは評価してやろう。
「クソが! クソが! チキショウ! なんで私がこんな物に手を出さねばならんのだ……」
こんな――物?
「なに言ってんの? 本当にまだ奥の手があるのか?」
「う、うるさい! うるさいぞ!」
なんか凄く興奮してんな。
過呼吸だったり興奮したり忙しい奴だ。
唇が青くなっているから、血色の悪い表情がさらに悪いものになってるし。
どのみち包囲しているから好き勝手はさせないけどな。
「なんか企ててるみてえだし、逃げれねえように両腕と両脚をへし折っておくか」
「いやいやガリオン殿、それなら四肢を断ち切ってしまった方が確実でしょう」
「それも――そうだな」
ガハハ――!
ガリオンとジージーの悪い笑い声がよく響く。
極悪な顔と通常よりも倍ほどあるグレートヘルムの亜人が言うとハッタリでもハッタリに聞こえないからね。
――……後者に関してはハッタリじゃないかもしれないけど……。
「くそ!」
追い込まれたね。
懐からなにかしらを取り出そうとしてますけども、
「その奥の手ってのもこちらが回収させて――」
「いやがったな!」
「――あん?」
なんだ。
こんな場所で聞き慣れない――いや、聞いた声だな。
「誰だよ?」
誰何すれば、月明かりの下、森の木々から勢いよく飛び出してくる存在は――体躯に恵まれた男。
見た目だけはガリオンと良い勝負をするけども、見た目だけの男がまさかの再登場とはね……。
場違いにも甚だしい……。
なんでいんだよ……。
あ、ガリオンの奴、声が震えているじゃないか。
意外と人情味のある場面に弱いタイプのようだな。
「逃がすわけがない」
一足先にとジージーが湖畔へとむかって飛んでくれる。
ピクピクとしていたかと思えば、ズリズリと這いずって俺たちから離れようとしているのが湖からでもよく見える。
「本当にタフだね……。並の冒険者以上だと思うよ……」
呆れ口調のミルモン。
「性格は絶望的に救いようがないけど、リジェネポーションってのは本当に有用だな」
魔王軍との戦闘時、継戦力が増すってのは助かる。
本気で欲したい技術だし――、
「裁くためにも絶対に逃がさねえ」
「当然だ」
ワックさんとシュネーにゴロ太を任せればベルも動く。
「ゴロ丸。私を投げてくれ」
「キュウ!」
優しくベルを掴めば、掴む具合とは真反対の力強い投擲……。
普通の人間なら投げられただけで悲鳴でも上げるだろうが、そこは最強様。静かなものである。
しばらくして聞こえてくる悲鳴は情けない男のものだった。
遅れて俺とミルモンも湖畔に到着。
ベルの姿に後退りして、湖方向に来ているのが笑えるバルバダイ。
頭上からも監視の目。
正に逃げ場無しだな。
「やあ天才。しばきに来たぞ」
「ゆ、勇者!」
「誰を解剖するんだったかな~」
「小人!」
可愛い右手に黒い電撃をパチパチと漲らせて脅してみせるミルモン。
負の感情がダダ漏れだからとても気分がいいみたいで、プニプニほっぺの血色がすこぶるよい。
陸地側と直上。湖側は俺とミルモン。これに遅れてゴロ丸に乗った面子が接近。
これはまずいとばかりにバルバダイが陸地側へと体を向けたところで最も恐ろしい最強様が立ち塞がっている。
「モーモーチャーチャー!」
「仕留めたから。やっぱデカい生物兵器にはロケットランチャー一択よ」
「ロケットなんだって?」
「うるせえ! 一々と聞き返してんじゃねえ!」
「ひぃ!」
「コイツ脅えてるよ♪」
ミルモンってば心の底から嬉しそう。
さんざっぱら見下されたし、何より不快な戦い方だったからな。
「クソッ! クソクソクソ!」
「汚い言葉を連呼するな」
「どうしてこうなった! 私の計画が完全に破綻したじゃないか!」
「それはな。俺たちを怒らせたからだよ。俺たちと敵対した時点でテメーは詰んでんだよ」
語末を仄暗い声音に変えて凄んでやれば、俺から離れていく。
パシャパシャと浅瀬を四つん這いになっての移動。
天才の斜陽、落日ってやつか。
「終わりだ」
惨めに逃げてもその先をベルに回り込まれる。
RPGの特殊戦闘と一緒。絶対に逃げ果せる事はできないという状況ですわ。
「ハハハッ! 弱者をいたぶるのは気乗りしねえが、テメーだけは心の底から痛めつけてえな!」
「ひぃぃぃぃぃい!」
ゴロ丸から着地して豪快に水しぶきを上げての登場はガリオン。
その後方ではゴロ丸が仁王立ち。
完全に包囲してやった。
「どうするよ。逃げるか? 逃げるならどこまでも追いかけるけどな! この状況から逃げられる事は不可能だろうけどな! この状況で入れる保険があればいいな!」
凄んで顔を近づけてやれば、
「ふぃ! ひぃ! ふぃ…………」
過呼吸となってしまった。
その過呼吸、バルバダイ――完全に終了のお知らせの合図ってところか。
「さあ、連行させてもらうぞ」
「ま、まだ、まだだ!」
「あん? もういいって。お前の最高傑作はもういないの! こっちとしては最高傑作が湖を毒汚染しているかもしれないから、浄化作業の報告もしないといけないしな」
「私の創り出した最高傑作だぞ! 指示がない以上、毒自体は直接触れないと広がらないようになっている。雑な創造などするものか!」
「ああ、そう。それはいいことだ」
ワームや魚群が無事だったのもちゃんとその部分は調整してんだな。
そこだけは評価してやろう。
「クソが! クソが! チキショウ! なんで私がこんな物に手を出さねばならんのだ……」
こんな――物?
「なに言ってんの? 本当にまだ奥の手があるのか?」
「う、うるさい! うるさいぞ!」
なんか凄く興奮してんな。
過呼吸だったり興奮したり忙しい奴だ。
唇が青くなっているから、血色の悪い表情がさらに悪いものになってるし。
どのみち包囲しているから好き勝手はさせないけどな。
「なんか企ててるみてえだし、逃げれねえように両腕と両脚をへし折っておくか」
「いやいやガリオン殿、それなら四肢を断ち切ってしまった方が確実でしょう」
「それも――そうだな」
ガハハ――!
ガリオンとジージーの悪い笑い声がよく響く。
極悪な顔と通常よりも倍ほどあるグレートヘルムの亜人が言うとハッタリでもハッタリに聞こえないからね。
――……後者に関してはハッタリじゃないかもしれないけど……。
「くそ!」
追い込まれたね。
懐からなにかしらを取り出そうとしてますけども、
「その奥の手ってのもこちらが回収させて――」
「いやがったな!」
「――あん?」
なんだ。
こんな場所で聞き慣れない――いや、聞いた声だな。
「誰だよ?」
誰何すれば、月明かりの下、森の木々から勢いよく飛び出してくる存在は――体躯に恵まれた男。
見た目だけはガリオンと良い勝負をするけども、見た目だけの男がまさかの再登場とはね……。
場違いにも甚だしい……。
なんでいんだよ……。
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