異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

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PHASE-1781【直撃は死】

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「――お待たせ」

「少々、遅いですね」

「コクリコと違って俺はお空をピョンピョンとは出来ないからな。ちょっと離れてただけなのに、おもしろい芸を増やしているようで」

「まだまだ有るのでこの者との戦いでお目にかけましょう」

「期待するぞ」

「期待させてもらうぞ娘殿」
 俺に続くメッサーラ。

「貴男には期待ではなく絶望を与えましょう! ライトニングスネーク!」
 不意打ち気味に発せば、帯状からなる電撃が三つ顕現。
 これまた練りに練ったようで、

「重ねての不躾だな。だが中位魔法とは思えないほどの威力は脅威である」
 通常のロープサイズとは違って、綱引き用サイズが三発、宙空を蛇行しながらメッサーラへと迫る――のを眺めつつ、

「アクセル」
 俺も動く。
 俺の口の動きを縦長の黒目がしっかりと捕捉していたのは分かっていた。

「フンッ!」

「なんと!?」
 メッサーラの白銀の鱗に覆われた腕が、迫る電撃へと目がけて力強く一度振り下ろされれば、それだけで三匹の蛇がかき消された。
 そのやり取りをメッサーラの背後から確認しつつ、

「ブレイズ!」
 からの斬りかかり。
 強者だからね。背後からを卑怯とは思わないでいただきたい。

「届かんな勇者よ」

「おう……」
 身の丈ほどある尻尾が振られれば、俺の残火を容易く払ってくる。
 姿勢を崩されたところに、

「そら」
 反転して拳を握りしめる動作。

「それは無理!」
 三メートルほどある巨躯の拳が振り下ろされるという恐怖。
 横っ飛びでなんとか回避しつつ、

「おりゃ!」

「ほう。やるな」
 回避位置を予測したかのような尻尾による追撃を対処。
 鞭打を思わせる一撃を二刀にて打ち返してやる。
 感心してくるけども、流石はクロウス氏と互角と言われるだけの実力者だよ。
 残火とマラ・ケニタルだぞ……。しかも残火の刀身にはブレイズを纏わせている。
 だというのに尻尾を断ち切る事が出来なかった。
 間違いなく尻尾に対して刃の部分を当ててから切り払ったのにな……。

「断ち切るのは出来ないにしても、刀傷すらつかないとはね……。どんだけ頑丈な鱗なんだよ」
 これがドラゴニュートって種族か。
 この世界における亜人の中で間違いなく最上位の存在なんだろうな。
 ゲームなんかでもおなじみのポジションだけども、現実で、しかも敵として対峙すると絶望しかねえな。
 
 まったく……、こんなんが百もいるのかよ。
 いや、実際はもっといるのか……。ドラゴニュートで構成された近衛デイライトが百なのであって、そこに組み込まれていないのだっているとなると、

「レッドキャップスよりおっかねえや……」

「お褒めいただき感謝する」

「感謝が伝わってこない豪腕だな!」
 これまた横っ飛びで躱せば地面を穿つ。
 ただの拳打による一撃だというのに、トロールが振り下ろす電柱のような棍棒による一撃とさして変わらない――いや、それを上回る。
 無手による通常攻撃が武器持ちトロール以上。
 これに加えて速いときている。

「種族間での圧倒的な差を見せつけられれば嘆きたくなるね」

「これぞ我らドラゴニュートの膂力というものだ」

「オラッ!」
 豪腕に合わせて二振りにて迎撃。
 といっても正面から力任せに受け止めても吹き飛ばされるだけ。
 弾き返そうとする動きを見せながら、実際は攻撃を受け流してメッサーラの体勢を崩してやる。

「ぬう」
 そのまま相手の腕に沿うように体重移動をし、懐へと踏み込んでからの、

「ここ!」
 愛刀二振りの柄頭部分で喉元一点に狙いを定めれば、

「よい動きだが届かんな」

「くそっ!」
 身長ほどの長い尻尾が俺の進行を阻止。
 ついでにとばかりにソレで思いっきり叩いてくる。

「かぁぁ……いってぇ……」

「バックラーの如き籠手で防いだか。しかも得物は手放さない。大したものだ」
 籠手部分で防いでんのになんで腕周囲から痛みが体全体に広がるんですかね……。
 ベルの蹴りみたいな衝撃貫通タイプめ!

「やり手ではあるが、我を相手取るとなればまだまだ役不足」
 はっきりと本当の事を言いやがる。
 まあ、こっちは――二人いるけどね!

「まだまだ行くぜ!」

「そう自分に意識を向けさせておいての――」
 長い首が背後を見れば、

「良くやりましたよトール」
 顕現させる三つの火球はバランスボールサイズ。
 火球の表面がボコボコと泡立つ。
 お得意のファイヤーボールとは違い、

「ポップフレア!」
 発せば三発の火球がメッサーラを襲う。

「これは驚愕。バーストフレアを凌駕しているではないか」
 感心する余裕。
 シルフィード対策として、妨害のために側面から俺も動く。

「隙だらけ!」
 大声を発して気を引かせれば、

「勇者が囮とは恐れ入る」

「逃がさねえよ!」
 被弾覚悟で攻めないとコイツにはダメージもろくに入れることが出来ないようだからな。
 無茶は承知で仕掛ける!

「流石に直撃は避けたい攻撃魔法だ――」

「あら!?」
 消えた!? ここでアクセルかよ!?

「ぎょわ!?」
 俺の側で連鎖爆発がいくつも発生。
 爆風と爆音が体の内部に響き渡る。

「すげー威力。直撃してたら間違いなく死んでたな! 俺が!!」

「当たらなくて何よりです」
 まったく気にしてないね。
 気にしてる場合じゃないからね。
 でもちょっとは気にして……。
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