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ゆかり先輩
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「ほら、あーん」
パクっ、もぐもぐ
「美味しい~~~♡」
頬張るとそれはシュークリームだった
「良かった!もっとあるから食べていいよ!!シュークリーム以外にもね」
「はいっ♡」
私の大好物を知っているこの人は誰だろう、、、目が霞んで顔が見えない、、、
ピピピピッ!ピピピピッ!
「うーん…わかったわかった、起きるからぁ……」
布団からもぞもぞと腕を出して目覚まし時計を止める。変な夢だったなぁ……そしてそのまま意識が…遠のく…………
「はっ!いけない!寝るな!」
そうして時計を見ると6時半。
「どうしよっ!遅刻だ!」
青ざめた顔のままベッドからはね起きる。朝からバタバタと騒がしい。(あれ?まだ早いよ?と思った方、一般の方ならまだ早いかもしれません。新人アナウンサーの桜は8時からの朝番組の司会のアシスタントのアシスタントをしているのです。つまりは雑用ってことなんですけどね笑
あっ、紹介が遅れました、天の声です♡
8時からの番組なので7時にはリハーサルが始まります。タイムリミットはあと10分。電車が間に合いませんから。)
「もう!一人暮らしだと誰も起こしてくれないよぉ~」
朝ごはんも最低限のメイクも局に行ってからやろう。そう決めて急いで服に着替える。ボサボサの髪の毛をポニーテールにぎゅっと縛り上げて完成。
「行ってきます!」
ガチャっという音とともに勢いよく飛び出す。時間差で扉が閉まる、、桜の部屋はオートロックで閉まるのだ。いつもは鍵を忘れたりする桜だが、今日のところは運良く感じられる。
「おはようございます!」
はぁはぁと荒い息遣いのまま、リハに入る。開始より3分遅れてしまった……。
「長嶺さん、遅いよ」
すいませんのすの字が出るところだった。聞き覚えのある声に息を整えて顔を上げると
「アシスタントだよね、リハは最初からいないと。早く仕事覚えなきゃ…使えないアナウンサーはどこに行っても通用しないよ。」
杉谷先輩だ。
「すいません……。」
いつもは土日の朝を担当しているが今日は臨時担当らしく杉谷先輩がいる。朝一番で会えたのは嬉しいけど怒られてしまった…。
「いつもはちゃんとリハの10分前スタンバイだよ。臨時の人に言われたくないよね~というかそんなに言わなくてもいいのにね~?桜ちゃん?」
私をかばってくれるこの優しい先輩は井上 ゆかり先輩だ。杉谷先輩とは同期で、頭も良くてスタイルもいい。二人が並ぶとモデルみたいだ。
「ゆかり先輩、そんな、私が悪いんです。」
少し不満そうな杉谷先輩をなだめるようにゆかり先輩が肩を組む。
「まぁまぁ、気にしなくていいじゃない。そんなに神経質だとはげやすくなるわよ。」
「それは関係ないだろ。俺ははげてるんじゃなくてくせっ毛なんだ。」
そんな話をしながら遅刻の話題をずらしてくれている。本当にゆかり先輩は美人で心まで優しい……。
「リハ、始めまーす!」
「はーい!」
ゆかり先輩が大きく返事をすると、私の方にウィンクをしてくれた。女神の方へ私はすぐに駆け寄っていく。
「お疲れ様でした~」
リハ終了後、番組も滞りなく進み、時間は正午ぐらいだった。スタッフにも先輩方にも安堵の顔がうかがえる。もちろん私も、ほっとしている。
グゥゥゥウウウウゥ
とお腹の音が響き渡った。緊張の糸がほどけた瞬間、朝ごはんを買いそびれて食べていなかったことを思い出した。
「そんなにお腹すいたの~?」
ゆかり先輩が笑っている。そのおかげでみんなも笑ってくれている。こんな時になかったことにされる方が辛い。ゆかり先輩、大好きです!!
「はい……」
あっと思いついたようにゆかり先輩が私の腕を引っ張っていく。
「皆さん、お疲れ様でした~」
そう言って私達はその場をあとにした。
「ふふふ♡桜ちゃん」
私の前にはたっくさんお菓子が並べられている。大好物のシュークリームからガトーショコラ、プリンまである……
「食べていいよ~」
「ほんとにいいんですか?それにこんなに……」
いいからいいからとシュークリームの袋を開けて私の口元まで持ってくる。
「ほら、あーん」
パクっ、もぐもぐ
「美味しい~~~♡」
「良かった!もっとあるから食べていいよ!!シュークリーム以外にもね」
「はいっ♡」
なんかこの感じ、どっかで、うん?なんだっけ?だけど目の前の欲には耐えられず「まぁいいか」と心の中で完結した。
「全部、俺が買ってきたんだけど」
横にはあこがれの杉谷先輩が……
「杉谷は桜ちゃんを怒りすぎよ。これでチャラにしてあげるから。食べる?」
「食べるよ!」
と抹茶プリンをゆかり先輩から取り返した。俺が買ってきたのにとまだぶつぶつ言っている。杉谷先輩はこちらにちらと目線をやると
「さっきは怒りすぎた……長嶺さん、悪かった」
「あれ?ごめんなさいは?」
「……んんん、ごめん」
こんな先輩の一面を初めて見た気がする。
「杉谷先輩、そんな!とっても美味しいです!ありがとうございます!」
なんだか可愛らしいとこもあるのだなと笑みがこぼれる。
「良かったね、杉谷。許してくれるって笑」
うるさいなとゆかり先輩の言葉をさえぎる。
「だけど、いつも余裕を持って現場入り出来てるのに、今日は災難だったね。」
「すいません……。なんか最近、いろんな夢を見てる気がするんですよね、、熟睡出来てないのかな……」
「頑張りすぎなのかもね、桜ちゃん。明日に備えてちゃんと寝るように。」
人差し指を出して、まるで名探偵のようにふんっと息を吐く。私はおかしくて笑ってしまった。杉谷先輩もだけどゆかり先輩にもこんなお茶目な一面があるなんて……。今日はいい日だな。明日からはちゃんと寝坊しないようにしないと、社会人としてもアナウンサーとしても失格だ。改めて、気合を入れてシュークリームを食べきった。
つづく
パクっ、もぐもぐ
「美味しい~~~♡」
頬張るとそれはシュークリームだった
「良かった!もっとあるから食べていいよ!!シュークリーム以外にもね」
「はいっ♡」
私の大好物を知っているこの人は誰だろう、、、目が霞んで顔が見えない、、、
ピピピピッ!ピピピピッ!
「うーん…わかったわかった、起きるからぁ……」
布団からもぞもぞと腕を出して目覚まし時計を止める。変な夢だったなぁ……そしてそのまま意識が…遠のく…………
「はっ!いけない!寝るな!」
そうして時計を見ると6時半。
「どうしよっ!遅刻だ!」
青ざめた顔のままベッドからはね起きる。朝からバタバタと騒がしい。(あれ?まだ早いよ?と思った方、一般の方ならまだ早いかもしれません。新人アナウンサーの桜は8時からの朝番組の司会のアシスタントのアシスタントをしているのです。つまりは雑用ってことなんですけどね笑
あっ、紹介が遅れました、天の声です♡
8時からの番組なので7時にはリハーサルが始まります。タイムリミットはあと10分。電車が間に合いませんから。)
「もう!一人暮らしだと誰も起こしてくれないよぉ~」
朝ごはんも最低限のメイクも局に行ってからやろう。そう決めて急いで服に着替える。ボサボサの髪の毛をポニーテールにぎゅっと縛り上げて完成。
「行ってきます!」
ガチャっという音とともに勢いよく飛び出す。時間差で扉が閉まる、、桜の部屋はオートロックで閉まるのだ。いつもは鍵を忘れたりする桜だが、今日のところは運良く感じられる。
「おはようございます!」
はぁはぁと荒い息遣いのまま、リハに入る。開始より3分遅れてしまった……。
「長嶺さん、遅いよ」
すいませんのすの字が出るところだった。聞き覚えのある声に息を整えて顔を上げると
「アシスタントだよね、リハは最初からいないと。早く仕事覚えなきゃ…使えないアナウンサーはどこに行っても通用しないよ。」
杉谷先輩だ。
「すいません……。」
いつもは土日の朝を担当しているが今日は臨時担当らしく杉谷先輩がいる。朝一番で会えたのは嬉しいけど怒られてしまった…。
「いつもはちゃんとリハの10分前スタンバイだよ。臨時の人に言われたくないよね~というかそんなに言わなくてもいいのにね~?桜ちゃん?」
私をかばってくれるこの優しい先輩は井上 ゆかり先輩だ。杉谷先輩とは同期で、頭も良くてスタイルもいい。二人が並ぶとモデルみたいだ。
「ゆかり先輩、そんな、私が悪いんです。」
少し不満そうな杉谷先輩をなだめるようにゆかり先輩が肩を組む。
「まぁまぁ、気にしなくていいじゃない。そんなに神経質だとはげやすくなるわよ。」
「それは関係ないだろ。俺ははげてるんじゃなくてくせっ毛なんだ。」
そんな話をしながら遅刻の話題をずらしてくれている。本当にゆかり先輩は美人で心まで優しい……。
「リハ、始めまーす!」
「はーい!」
ゆかり先輩が大きく返事をすると、私の方にウィンクをしてくれた。女神の方へ私はすぐに駆け寄っていく。
「お疲れ様でした~」
リハ終了後、番組も滞りなく進み、時間は正午ぐらいだった。スタッフにも先輩方にも安堵の顔がうかがえる。もちろん私も、ほっとしている。
グゥゥゥウウウウゥ
とお腹の音が響き渡った。緊張の糸がほどけた瞬間、朝ごはんを買いそびれて食べていなかったことを思い出した。
「そんなにお腹すいたの~?」
ゆかり先輩が笑っている。そのおかげでみんなも笑ってくれている。こんな時になかったことにされる方が辛い。ゆかり先輩、大好きです!!
「はい……」
あっと思いついたようにゆかり先輩が私の腕を引っ張っていく。
「皆さん、お疲れ様でした~」
そう言って私達はその場をあとにした。
「ふふふ♡桜ちゃん」
私の前にはたっくさんお菓子が並べられている。大好物のシュークリームからガトーショコラ、プリンまである……
「食べていいよ~」
「ほんとにいいんですか?それにこんなに……」
いいからいいからとシュークリームの袋を開けて私の口元まで持ってくる。
「ほら、あーん」
パクっ、もぐもぐ
「美味しい~~~♡」
「良かった!もっとあるから食べていいよ!!シュークリーム以外にもね」
「はいっ♡」
なんかこの感じ、どっかで、うん?なんだっけ?だけど目の前の欲には耐えられず「まぁいいか」と心の中で完結した。
「全部、俺が買ってきたんだけど」
横にはあこがれの杉谷先輩が……
「杉谷は桜ちゃんを怒りすぎよ。これでチャラにしてあげるから。食べる?」
「食べるよ!」
と抹茶プリンをゆかり先輩から取り返した。俺が買ってきたのにとまだぶつぶつ言っている。杉谷先輩はこちらにちらと目線をやると
「さっきは怒りすぎた……長嶺さん、悪かった」
「あれ?ごめんなさいは?」
「……んんん、ごめん」
こんな先輩の一面を初めて見た気がする。
「杉谷先輩、そんな!とっても美味しいです!ありがとうございます!」
なんだか可愛らしいとこもあるのだなと笑みがこぼれる。
「良かったね、杉谷。許してくれるって笑」
うるさいなとゆかり先輩の言葉をさえぎる。
「だけど、いつも余裕を持って現場入り出来てるのに、今日は災難だったね。」
「すいません……。なんか最近、いろんな夢を見てる気がするんですよね、、熟睡出来てないのかな……」
「頑張りすぎなのかもね、桜ちゃん。明日に備えてちゃんと寝るように。」
人差し指を出して、まるで名探偵のようにふんっと息を吐く。私はおかしくて笑ってしまった。杉谷先輩もだけどゆかり先輩にもこんなお茶目な一面があるなんて……。今日はいい日だな。明日からはちゃんと寝坊しないようにしないと、社会人としてもアナウンサーとしても失格だ。改めて、気合を入れてシュークリームを食べきった。
つづく
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