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一章 細マッチョエルフの受難~転生しても腐れ縁?ありえねぇ……~
雑な態度取ってるのに、好感度上げるなよ!
しおりを挟む朝になって、オレは気だるい体をゆっくりと起こす。
ヤりまくったおかげで体の疼きは収まっている。
隣では今も寝息を立てているアグードがいるが……なんか前よりも男前に見えてしまうのは気のせいか?
ってか弟分に童貞卒業を先越されるって……しかもオレで卒業って……。
なんとも言えないモヤモヤが胸に込み上げてくる。嫌って訳じゃないけど……っ。男としての何かが揺らぐっていうか。
めっちゃ良かったけど。
でも――まだ、体の奥がもどかしい。
もしかして、呪いが解けるまでヤらなきゃいけないのか?
アグードに抱かれ続けて、女の子を抱けない体にさせられちまうのか?
前世も童貞だったのに――。
視界の脇でクウガが起き上がるのが見えた。
「おはよう、ルカ。昨日は俺の呪いのせいで迷惑をかけてすまなかった。大丈夫だったか――」
「クウガ、てめぇ……っ、お前のせいでっ、オレの体が取り返しのつかないことになっただろうが!」
敬語の壁を作ることも忘れて、オレはクウガに詰め寄って胸倉をつかむ。
「何があったんだ?」
「そ、それは……オレも、サダナックに呪われた……」
嘘ではない。だけど、どんな呪いかは絶対に言えない。
昨夜の抱かれっぷりを思い出して、顔が火照ってしまう。マジでクウガが寝ていてくれて良かった。あんな姿を見られた日には、もう生きていけない。
呪いの中身を知らないクウガの顔が、痛ましそうに歪んでいく。
「すまない、君を巻き込んでしまって……」
「ああっ、巻き込みやがって! いいかクウガ。オレもお前も呪われた。さっさと魔物倒して呪いを解くぞ。自由になって別れるぞ!」
クウガの同情も罪悪感もいらない。お前はオレのことを背負うな。
こうして同じ所にいるだけでも腹立たしいのに。
もうお前との縁を断ち切りたいんだよ――頼むから。
胸の奥に滾る苛立ちに混じって、小さく鋭い痛みが走る。
一度深呼吸をして自分を鎮めると、オレはクウガから手を放した。
「そろそろ森を出るが、そこからどうするんだ? 行く当てはあるのか?」
「一旦街に戻って、前に世話になった占い師を頼ろうと思う」
「占いで魔物の居場所を見つけてもらって、ブッ倒しに行くってことか。それは分かりやすくていいな。メシ食ったらさっさと行くぞ」
オレが仕切っていると、クウガの目が優しく笑っていることに気づく。
「……な、なんて顔して見てるんだよ……」
「いや、これだけ元気なほうが、俺も接しやすくて嬉しくなる」
雑な態度取ってるのに、好感度上げるなよ!
やめろ、オレをそんな目で見るな。
前世の時にたまに見せていたそれを向けるな……っ、この、オカン野郎!
薄く繋がり始めていた腐れ縁が、がっつり結び直されそうな気がして、オレはクウガから背を向けた。
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