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八話 本当の仲間は誰?
答え合わせ
しおりを挟む俺は全力で走りながら城の東側へと向かう。
城が新しくなって広くなったせいで、才明の部屋がどこかは分からない。
ただ登用した将たちを寝泊りさせる部屋があるから、そのどこかにいるだろうと思って移動してみる。
部屋がいくつも並ぶ中、一番奥の部屋の前に誰かが立っているのが見える。
いつも後ろでまとめている髪を垂らし、未だ寝間着のままで普段と印象は違うが、見間違うことのない糸目の男。才明だ。
こちらを一瞥してから才明は踵を返し、部屋の中へ入ってしまう。
どうやら俺が来るのを待っていたらしい。才明の狙いのままに俺は後を追って部屋へ足を踏み入れた。
「才明、話がある! 貴方の正体は――んン……ッ」
話を切り出そうとした途端、待ち構えていた才明は扉を閉めながら俺の唇をキスで塞ぐ。
早く切り上げて現実のことを尋ねたいのに、唇を離して言おうとする度に追いかけられてすぐ口付けられる。
――さわ。
不意に腰を撫でられた瞬間、鮮明な甘い疼きが下半身へ広がって力が抜けてしまう。
咄嗟に才明の胸元へしがみつき、情けなくもズルズルと扉を背で擦りながら俺は座り込んでしまう。
現実から持ち込んだ焦りや力みといったものを全部溶かし切って、ようやく才明は俺の唇を解放してくれた。
「言いたいことは分かりますよ、誠人様。でも明言は控えて下さい。そうしないと私は誠人様の真の味方になれませんから」
軽い愛撫で腑抜けてしまいながら、俺は小さく頷いてみせる。
今回は現実で東郷さんに抱かれてしまい、その余韻を抱えたままこっちへ来てしまった。快楽に弱い体で向き合うべきではなかったと反省していると、才明はクスクスと笑いながら俺を抱き締め、耳元で囁く。
「貴方がこの時期に領主として現れてくれ、本当に嬉しく思っているのですよ……仕事で誠人様のお顔は存じていましたから。私の仮定を証明できると、どれだけ喜んだことか」
「……つまり、俺が才明について考えていることが正しいという訳だな?」
「ええ。誠人様は頭にまで筋肉が詰まっているようなお方ではなくて良かったです。やっとまともに話ができますよ……しかし詳しくはあちらで。ここは真を話せぬ場所ですから」
詳細は現実に戻ってから、ということか。
もどかしさはあったが、一番確かめたいことは確認できたからそれで良いと割り切り、俺は「分かった」と了承する。
才明は仲林アナ。
顔も体格も雰囲気も違うが、才明の中身は間違いなく仲林アナだ。
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