上 下
213 / 343
十話 至高への一歩

●意識が途絶える間際

しおりを挟む
 既に二人を迎え入れた後孔はよく解れているが、それでも華侯焔を迎え入れると圧迫感で息が詰まる。

「ン……く、ぅ……」

 まだ力が戻り切っていない身体は己を支えられず、自らの重みで沈んでいく。深く貫かれる感触が全身をざわつかせ、腰の奥や頭の中が甘く弾ける。

 奥をグッ、と押された瞬間、思わず俺は華侯焔に強くしがみついた。

「あぁぁぁぁ……ッ……ハァ、ハァ……」

「すごいな、中がもうこんなにうねって……欲しいだけやるから、頑張って起きていろよ」

 華侯焔が俺の背と腰を抱え、緩やかに上下する。心地よい抽挿に身も心も蕩けそうになりながら、俺は首を捻り、才明と英正に振り向く。

「二人とも、ここへ……」

 互いに顔を見合わせた後、二人が俺を挟んで左右に来る。

 どこかバツが悪そうな、心配の色が浮かんだ表情。
 俺は先に才明に手を伸ばし、頬に触れながら顔を寄せる素振りを見せる。察しの良い才明は俺の望みに気づき、首を伸ばして唇を重ね、期待に応える。

 軽く舌を絡ませてから離れると、次は英正に手を伸ばし、唇を強請る。
 まだ申し訳無さで顔色は悪いが、俺にぎこちなく口づけながら目を合わせると、情欲の熱が戻ってくるのが見えた。

 また来てもいい、という許しの合図。
 二人の手が、唇が、俺の身体を愛でてくる。肌を撫で回し、無防備な耳や背中に舌を這わせてきて、蕩けていく俺を舐め味わうようだ。

 そんな淫らに染まった俺を、華侯焔は鼓動に合わせたような律動で突きながら、目を細め、恍惚と歓喜の色を濃くする。

「誠人は気に入ったみたいだな……良い傾向だ、保身がない。己がどれだけ変わり果てても負けたくないっていう貪欲さは、もっと持て。ここで勝ち残りたかったらな」

 次第に華侯焔の腰の動きが小刻みになり、俺の最奥を容赦なく責め始める。完全に熟れた身体はすべてに悦び、簡単に快楽の高みを昇り詰め、未知の頂に手を伸ばそうとしてしまう。

 俺の中が大きく弾けようとした刹那、華侯焔が俺の腰を強く掴み、突き立て、熱を放った。

「――……ッッ!!」

 声すら出せず、息だけの絶叫を吐き出しながら、俺は背を反らす。

 また快楽の大波に呑まれて、すべての感覚が消えそうになる。

 弛緩した俺を抱き留めながら、華侯焔が耳元で囁く。

「こんなことを覚えて、一生取り返しがきかないだろうな」

 わずかな笑みを含んだ声。
 しかし意識が途絶える間際、華侯焔の声に切実さが滲む。


「必ず、俺が責任を取るから――」


 いつもの華侯焔とは違う口調と声色。

 抱き締め返したい衝動を覚えながら、俺は意識を手放した。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

トラブルに愛された夫婦!三時間で三度死ぬところやったそうです!

現代文学 / 連載中 24h.ポイント:745pt お気に入り:34

比較的救いのあるBLゲームの世界に転移してしまった

BL / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:605

婚約破棄された私は辺境伯家で小動物扱いされています

恋愛 / 完結 24h.ポイント:198pt お気に入り:4,397

田舎で師匠にボコされ続けた結果、気づいたら世界最強になっていました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:617pt お気に入り:581

主人公を犯さないと死ぬ悪役に成り代わりました

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:266

処理中です...