66 / 68
三章 ありがたい?再会
●蜂蜜を与えながら
「少しでも栄養を摂ったほうがいい。これを――」
ガイは蜂蜜を一匙すくい、エリクの口に運ぼうとする。
しかしエリクに手首を掴まれ、匙から蜂蜜が零れ落ちてしまう。
これが元気な時ならば強い力で引き倒され、そのまま夜明けまで貪られるのだろうとガイは思う。だが、討伐で疲れ果てているせいでエリクの力は弱く、ガイの体勢をわずかに崩すことすらできない。
今ならば強引に押さえつけて、蜂蜜を与えることは十分にできる。それでもエリクを獣を相手にするような扱いをするのは忍びなかった。
ガイはベッドの縁に腰掛け、蜂蜜を自らの口に含む。
そのままエリクの顔に近づけると、薄く開いた唇に口付ける。
待ちわびていたようにエリクの舌がガイに差し込まれ、蜂蜜に甘く包まれた舌を舐り出す。
「ン……っ……」
ゆっくりと貪られていくその感覚と熱に、ガイの体が疼いていく。今まで暴走したエリクにされたキスの中では、記憶を失う前のエリクとのキスに近い。
一瞬、エリクが戻ってきたと思いかけ、ガイの胸が強く締め付けられる。
このまま流されてしまいたい衝動に駆られたが、ガイは理性を働かせ、エリクから唇を離す。
まだ小皿の蜂蜜は残っている。
テーブルに置いていたものを再び手にし、ガイは口に含ませ、唇を欲しがるエリクに与えていく。
本当ならもっと精のつくものを食べさせたいところだが、今はこれだけで精一杯だ。朝になり、エリクが理性を取り戻した後に、しっかり食べてもらおうとガイは思う。
何度か蜂蜜を与えるキスを繰り返し、小皿が空になる。
エリクとの口づけから甘みが薄れていき、風味も消え、貪りたい本能のままのキスへと変わっていく。
動きは鈍いままで、そのまま最後まで行為を行える状態ではない。
だがエリクはキスも、ガイの手首を掴み続けることもやめずに求めたがる。
息継ぎに空けた隙間から、ガイは熱い吐息を零す。
(弱っているとはいえ、やはりこの状態のエリクからは離れないほうが良さそうだな)
唇を合わせながら、エリクのベッドに体を横たえていく。
すると待ち構えていたかのように、エリクはガイの体を両腕に閉じ込め、脚を絡め、逃がすまいとしてくる。
くらり、とガイは軽いめまいと脱力感を覚えたが、エリクを突き放しはしなかった。
(もしかすると、これが今のエリクの食事なのかもしれない。欠けた魂を補うために、俺の精気を……)
ガイもエリクの背に手を回し、抱擁しながら体をさらに密着させる。
互いの熱が移り合い、ふわふわと虚空に浮かんで揺蕩うような心地よさが広がっていく。
このまま眠ってしまいたいところではあったが、互いの雄の証が硬く滾った感触が体に当たり続ける。キスで欲情も煽られ、体の芯が疼いてたまらない。
ガイはバスローブの紐を解き、肌を露わにすると、エリクと己の滾りを合わせ、大きな手で握り込む。
そうして二つを扱いてゆけば、さらなる熱と快感にガイの身が満ちていく。
エリクの息は乱れ、長いまぐわいのようなキスが細かく途切れ、啄み戯れるようなものへと変わっていく。
「ふぅ……っ、ん……ぁ……」
甘くなった声を零してしまうガイの手に、エリクが手を重ねてくる。
軽く握り込まれ、ガイの緩やかな動きを急かすように速く動かされ、思わずガイは息を詰めた。
「……っ……ぁ……あぁ……ッ」
頭が、視界が、白く点滅する。
熱いほとばしりが二人の間に飛び散り、淫らな証を落としていく。
しばらく疎らで荒れた互いの息だけが部屋に流れたが、次第に落ち着き、音が減り――エリクから寝息が聞こえてきた。
(一度の射精だけで終わるほど、疲弊していたのだな……助かった。俺もこれ以上の相手はキツい……)
小さくホッと息をつくと、ガイの身にも抗えない眠気が訪れる。
(完全に眠ってしまう前に、自分のベッドへ戻らないと……今のエリクにこれを知られる訳には……いや……)
今までやってきたことを繰り返しそうになり、ガイは思い留まる。
ラヒュの「真実を隠し続けるな」という声が脳裏をよぎり、小さく頷く。
(ちゃんと俺たちの関係を伝えよう。意識がある状態でも暴走の危険がある以上、俺の不安を理由に関係を隠し続けるなど……)
薄く目を開け、ガイはエリクを見る。
今は穏やかに眠る端正なその顔が、驚愕や嫌悪に歪むかもしれないと思うと、それだけで逃げ出したくなってしまう。
(……まだまだ未熟だな、俺は……)
いつエリクが鼻血を出してもいいよう、事前に枕元に置いていたチリ紙を手に取る。そして体や敷布に着いた残滓を拭き、ガイは眠気に身を任せた。
ガイは蜂蜜を一匙すくい、エリクの口に運ぼうとする。
しかしエリクに手首を掴まれ、匙から蜂蜜が零れ落ちてしまう。
これが元気な時ならば強い力で引き倒され、そのまま夜明けまで貪られるのだろうとガイは思う。だが、討伐で疲れ果てているせいでエリクの力は弱く、ガイの体勢をわずかに崩すことすらできない。
今ならば強引に押さえつけて、蜂蜜を与えることは十分にできる。それでもエリクを獣を相手にするような扱いをするのは忍びなかった。
ガイはベッドの縁に腰掛け、蜂蜜を自らの口に含む。
そのままエリクの顔に近づけると、薄く開いた唇に口付ける。
待ちわびていたようにエリクの舌がガイに差し込まれ、蜂蜜に甘く包まれた舌を舐り出す。
「ン……っ……」
ゆっくりと貪られていくその感覚と熱に、ガイの体が疼いていく。今まで暴走したエリクにされたキスの中では、記憶を失う前のエリクとのキスに近い。
一瞬、エリクが戻ってきたと思いかけ、ガイの胸が強く締め付けられる。
このまま流されてしまいたい衝動に駆られたが、ガイは理性を働かせ、エリクから唇を離す。
まだ小皿の蜂蜜は残っている。
テーブルに置いていたものを再び手にし、ガイは口に含ませ、唇を欲しがるエリクに与えていく。
本当ならもっと精のつくものを食べさせたいところだが、今はこれだけで精一杯だ。朝になり、エリクが理性を取り戻した後に、しっかり食べてもらおうとガイは思う。
何度か蜂蜜を与えるキスを繰り返し、小皿が空になる。
エリクとの口づけから甘みが薄れていき、風味も消え、貪りたい本能のままのキスへと変わっていく。
動きは鈍いままで、そのまま最後まで行為を行える状態ではない。
だがエリクはキスも、ガイの手首を掴み続けることもやめずに求めたがる。
息継ぎに空けた隙間から、ガイは熱い吐息を零す。
(弱っているとはいえ、やはりこの状態のエリクからは離れないほうが良さそうだな)
唇を合わせながら、エリクのベッドに体を横たえていく。
すると待ち構えていたかのように、エリクはガイの体を両腕に閉じ込め、脚を絡め、逃がすまいとしてくる。
くらり、とガイは軽いめまいと脱力感を覚えたが、エリクを突き放しはしなかった。
(もしかすると、これが今のエリクの食事なのかもしれない。欠けた魂を補うために、俺の精気を……)
ガイもエリクの背に手を回し、抱擁しながら体をさらに密着させる。
互いの熱が移り合い、ふわふわと虚空に浮かんで揺蕩うような心地よさが広がっていく。
このまま眠ってしまいたいところではあったが、互いの雄の証が硬く滾った感触が体に当たり続ける。キスで欲情も煽られ、体の芯が疼いてたまらない。
ガイはバスローブの紐を解き、肌を露わにすると、エリクと己の滾りを合わせ、大きな手で握り込む。
そうして二つを扱いてゆけば、さらなる熱と快感にガイの身が満ちていく。
エリクの息は乱れ、長いまぐわいのようなキスが細かく途切れ、啄み戯れるようなものへと変わっていく。
「ふぅ……っ、ん……ぁ……」
甘くなった声を零してしまうガイの手に、エリクが手を重ねてくる。
軽く握り込まれ、ガイの緩やかな動きを急かすように速く動かされ、思わずガイは息を詰めた。
「……っ……ぁ……あぁ……ッ」
頭が、視界が、白く点滅する。
熱いほとばしりが二人の間に飛び散り、淫らな証を落としていく。
しばらく疎らで荒れた互いの息だけが部屋に流れたが、次第に落ち着き、音が減り――エリクから寝息が聞こえてきた。
(一度の射精だけで終わるほど、疲弊していたのだな……助かった。俺もこれ以上の相手はキツい……)
小さくホッと息をつくと、ガイの身にも抗えない眠気が訪れる。
(完全に眠ってしまう前に、自分のベッドへ戻らないと……今のエリクにこれを知られる訳には……いや……)
今までやってきたことを繰り返しそうになり、ガイは思い留まる。
ラヒュの「真実を隠し続けるな」という声が脳裏をよぎり、小さく頷く。
(ちゃんと俺たちの関係を伝えよう。意識がある状態でも暴走の危険がある以上、俺の不安を理由に関係を隠し続けるなど……)
薄く目を開け、ガイはエリクを見る。
今は穏やかに眠る端正なその顔が、驚愕や嫌悪に歪むかもしれないと思うと、それだけで逃げ出したくなってしまう。
(……まだまだ未熟だな、俺は……)
いつエリクが鼻血を出してもいいよう、事前に枕元に置いていたチリ紙を手に取る。そして体や敷布に着いた残滓を拭き、ガイは眠気に身を任せた。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで
二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。