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一章 捕らわれた吸血鬼
早朝の来訪者
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◇ ◇ ◇
「――だから、お前のやり方はぬるい――部屋へ入れさせろ――」
「駄目です――せめて、次の夜に――」
「そんな甘いこと――今すぐ会わせろ――」
やけに騒々しい声が聞こえてきて、俺の意識が無理やり叩き起こされる。
外がうっすらと白ばんでいる。早朝だ。
人ならば朝の早くから現れる乱入者は困りものだろう。魔の者でもこの時間は眠りにつく時間。どちらにとってもこの時間の来訪者は、非常識で迷惑極まりない。
どうやら誰かが俺に会いたがっているらしい。
ミカルが頑張って食い止めようとしているが、来訪者の声は勢いが増すばかりで、扉を蹴破られるのも時間の問題だ。
俺を翻弄するミカルが苦しむのは大いに構わないが、部屋の扉を失うことになっては、昼間に身動きが取りにくくなってしまう。
仕方なく俺は起き上がり、寝台を抜けて扉の前へと立つ。
「こんな時間に騒がしいな。うるさくてかなわんから、さっさと要件を済ませて帰ってもらえ」
なるべく声を大きくして伝えると、扉を挟んで向こう側の音が一瞬止む。
「まだ起きていたのですか、カナイ?」
「いいや、寝ていた。うるさくて品の無い声に起こされた」
まだ顔も分からぬ無粋な相手に嫌味を込めて告げれば、わざとらしく「フンッ」と鼻を鳴らしてくる。
少なくともミカルのような好意的な気配はない。
むしろこれが普通だ。扉が開いた直後に襲われそうな気がして、俺は後ろへ下がって扉から距離を取る。
ギィィ、と扉が開く。
現れたのは疲れた様子のミカルと、背が大きい赤毛の男だった。
厳つい顔立ちに、いくつか派手にやられて残ったであろう傷痕。退魔師の衣装をまとっているが、ごつい胸板や二の腕は戦士のものだ。術よりも素手で殴りつけたほうが手っ取り早そうな、力重視の面倒そうな奴――顔は見たことがある。名前は確か……。
「……ビクトル、だったな? 覚えがあるぞ」
完全に扉が開き切った直後は、苛立ちをそのままにした険しい表情だったが、俺が名を呼んだ途端に勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「ほう。俺のことを知っていたか。光栄だな」
「悪目立ちしているからな。お前の力は厄介ではあるが、単独で勝手に動いてくれるから俺としては扱いやすい。罠に誘導すれば素直にかかってくれるしな」
「フンッ、わざとに決まっているだろうが。お前らの攻撃など俺には効かんが、他の連中には効いてしまうからな。ひ弱なアイツらが被害に遭う前に、俺が潰しているだけだ」
「――だから、お前のやり方はぬるい――部屋へ入れさせろ――」
「駄目です――せめて、次の夜に――」
「そんな甘いこと――今すぐ会わせろ――」
やけに騒々しい声が聞こえてきて、俺の意識が無理やり叩き起こされる。
外がうっすらと白ばんでいる。早朝だ。
人ならば朝の早くから現れる乱入者は困りものだろう。魔の者でもこの時間は眠りにつく時間。どちらにとってもこの時間の来訪者は、非常識で迷惑極まりない。
どうやら誰かが俺に会いたがっているらしい。
ミカルが頑張って食い止めようとしているが、来訪者の声は勢いが増すばかりで、扉を蹴破られるのも時間の問題だ。
俺を翻弄するミカルが苦しむのは大いに構わないが、部屋の扉を失うことになっては、昼間に身動きが取りにくくなってしまう。
仕方なく俺は起き上がり、寝台を抜けて扉の前へと立つ。
「こんな時間に騒がしいな。うるさくてかなわんから、さっさと要件を済ませて帰ってもらえ」
なるべく声を大きくして伝えると、扉を挟んで向こう側の音が一瞬止む。
「まだ起きていたのですか、カナイ?」
「いいや、寝ていた。うるさくて品の無い声に起こされた」
まだ顔も分からぬ無粋な相手に嫌味を込めて告げれば、わざとらしく「フンッ」と鼻を鳴らしてくる。
少なくともミカルのような好意的な気配はない。
むしろこれが普通だ。扉が開いた直後に襲われそうな気がして、俺は後ろへ下がって扉から距離を取る。
ギィィ、と扉が開く。
現れたのは疲れた様子のミカルと、背が大きい赤毛の男だった。
厳つい顔立ちに、いくつか派手にやられて残ったであろう傷痕。退魔師の衣装をまとっているが、ごつい胸板や二の腕は戦士のものだ。術よりも素手で殴りつけたほうが手っ取り早そうな、力重視の面倒そうな奴――顔は見たことがある。名前は確か……。
「……ビクトル、だったな? 覚えがあるぞ」
完全に扉が開き切った直後は、苛立ちをそのままにした険しい表情だったが、俺が名を呼んだ途端に勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「ほう。俺のことを知っていたか。光栄だな」
「悪目立ちしているからな。お前の力は厄介ではあるが、単独で勝手に動いてくれるから俺としては扱いやすい。罠に誘導すれば素直にかかってくれるしな」
「フンッ、わざとに決まっているだろうが。お前らの攻撃など俺には効かんが、他の連中には効いてしまうからな。ひ弱なアイツらが被害に遭う前に、俺が潰しているだけだ」
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