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三章 バラの香に囚われて
●心を鈍らせても
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◇ ◇ ◇
衣服越しに胸を触れてくる手が、やけに熱く感じられた。
「……っ……」
風呂で念入りに洗われた俺の体――いつになく隅々まで――は、ミカルからの刺激を過敏に感じ取る。
仰向きに横たわった俺を見下ろしながら、ミカルは愉悦の笑みを浮かべ、俺の右手を取って唇を落とす。ひどく丁寧に。そして愛おしそうに。
「カナイ……」
俺を呼ぶ声まで甘ったるい。いっそ欲望のまま荒々しく抱いてくれたほうが、どれだけ気が楽になることか。
早く終わらせて欲しいという俺の切望とは裏腹に、ミカルは味わうように俺の指に口付け、指先を舐る。
ひとつ、ひとつ、舌を絡め、甘く噛んで俺の指を優しく蹂躙していく。そうして手の平まで唇を押し当て、浸食を広げていく。
朝を迎えるまで耐えればいいだけのこと。それまで俺の体を好きにさせれば、何もかもが上手くいく。もしミカルが裏切ったとしても、クウェルク様の目的は果たせる。この身を犠牲にするだけの価値はある。
あとはミカルからの行為に心を鈍らせ、時が過ぎ去るのを待てばいい――そう思っていても、ミカルがそれを許してはくれない。
両手の愛撫を終えると、おもむろに俺の襟元を崩し、首筋を露わにさせてくる。
いつもと逆の立場。食らわれる側から喰う側に回ったミカルが、俺の首筋をそっと撫でる。びくん、と体を跳ねさせてしまった俺を見て、その整った顔が喜びに歪む。
「夢のような光景ですね……どれだけ貴方を愛したかったことか」
話し終わらぬ内に俺の首元へ顔を埋め、熱い吐息を吹きかけながら噛みつく。
硬い歯が、グッと肌に食い込む。一瞬初めて先代の王に噛みつかれた日のことが頭をよぎるが、それに比べればささやかなものだ。
ゆっくりと舐められ、柔らかに吸いつかれ、こそばゆさに背筋がざわついて仕方がない。
吸血される時に味わった快感からは程遠い。なのに腰の奥が疼いて頭がおかしくなりそうだ。
……風呂へ入れられた時、中を洗われた後に軟膏を塗り込まれた。おそらく媚薬の類なのだろう。そうでなければ、これだけで体が疼くなど――。
じっくりと俺の首筋を堪能したミカルが頭を上げ、俺の顔を見て上機嫌に微笑む。
「感じて下さっているようで良かった。顔がもう蕩けてる……」
自分では確かめようのないことを言われ、俺の体がカッと熱くなる。
駄目だ。どれだけ心を鈍らせても、ミカルの言動に翻弄されてしまう。
終わるまで何も言ってやるものかと思っていたが、堪え切れずに俺は口を開いた。
衣服越しに胸を触れてくる手が、やけに熱く感じられた。
「……っ……」
風呂で念入りに洗われた俺の体――いつになく隅々まで――は、ミカルからの刺激を過敏に感じ取る。
仰向きに横たわった俺を見下ろしながら、ミカルは愉悦の笑みを浮かべ、俺の右手を取って唇を落とす。ひどく丁寧に。そして愛おしそうに。
「カナイ……」
俺を呼ぶ声まで甘ったるい。いっそ欲望のまま荒々しく抱いてくれたほうが、どれだけ気が楽になることか。
早く終わらせて欲しいという俺の切望とは裏腹に、ミカルは味わうように俺の指に口付け、指先を舐る。
ひとつ、ひとつ、舌を絡め、甘く噛んで俺の指を優しく蹂躙していく。そうして手の平まで唇を押し当て、浸食を広げていく。
朝を迎えるまで耐えればいいだけのこと。それまで俺の体を好きにさせれば、何もかもが上手くいく。もしミカルが裏切ったとしても、クウェルク様の目的は果たせる。この身を犠牲にするだけの価値はある。
あとはミカルからの行為に心を鈍らせ、時が過ぎ去るのを待てばいい――そう思っていても、ミカルがそれを許してはくれない。
両手の愛撫を終えると、おもむろに俺の襟元を崩し、首筋を露わにさせてくる。
いつもと逆の立場。食らわれる側から喰う側に回ったミカルが、俺の首筋をそっと撫でる。びくん、と体を跳ねさせてしまった俺を見て、その整った顔が喜びに歪む。
「夢のような光景ですね……どれだけ貴方を愛したかったことか」
話し終わらぬ内に俺の首元へ顔を埋め、熱い吐息を吹きかけながら噛みつく。
硬い歯が、グッと肌に食い込む。一瞬初めて先代の王に噛みつかれた日のことが頭をよぎるが、それに比べればささやかなものだ。
ゆっくりと舐められ、柔らかに吸いつかれ、こそばゆさに背筋がざわついて仕方がない。
吸血される時に味わった快感からは程遠い。なのに腰の奥が疼いて頭がおかしくなりそうだ。
……風呂へ入れられた時、中を洗われた後に軟膏を塗り込まれた。おそらく媚薬の類なのだろう。そうでなければ、これだけで体が疼くなど――。
じっくりと俺の首筋を堪能したミカルが頭を上げ、俺の顔を見て上機嫌に微笑む。
「感じて下さっているようで良かった。顔がもう蕩けてる……」
自分では確かめようのないことを言われ、俺の体がカッと熱くなる。
駄目だ。どれだけ心を鈍らせても、ミカルの言動に翻弄されてしまう。
終わるまで何も言ってやるものかと思っていたが、堪え切れずに俺は口を開いた。
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