薔薇の溺愛~黒き吸血鬼は愛に沈む~

天岸 あおい

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三章 バラの香に囚われて

●抗えない体

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「言うな……っ、こうなる薬を俺に仕込んだくせに……白々しい」

「薬? ああ、ここへ塗り込んだものですか?」

 するり、とミカルの手が俺の双丘へ伸び、疼きが静まらぬそこを撫でてくる。
 不意打ちの感触に「ぅ……っ」と唸った俺の頬へ、ミカルは唇の浸食を進めた。

「あれはここを痛めないようにするための軟膏。催淫の効果はありませんよ。それだけカナイの体が感じやすいというだけです」

 そんなことある訳がない……っ。
 思わず首を振って否定するが、ミカルの手は俺をあざ笑うように甘い痺れを教えてくる。

 上から順に服のボタンを外し、はだけた胸に手を滑り込ませて直接ミカルに触れられると、羞恥の熱で頭が焼けてしまう。
 胸で固くなった突起を摘ままれながら唇を吸われ、一瞬全身が大きく脈打つ。それはミカルを体が歓迎しているようにも思えて、心の中で泣きたくなる。

 元から抵抗できないよう封じられている体。ミカルがその気になれば、いつだってこうなる運命だった。

 あくまでこの男の情けから先伸ばされていただけ。
 改めて己が無力な捕虜なのだということを思い知る。

 服の上を完全に脱がされぬまま、ミカルの手は俺の下半身へと伸びていく。
 手よりも自由な脚は、この男を蹴り拒もうと思えばできる。それでもクウェルク様の目的のためだと言い聞かせ、逃げたい衝動を堪える。しかし――。

「ぅ……く……ッ……」

 ミカルの手は俺の腰や太腿を撫で回し、時折熱く疼きを覚える所に軽く触れ、久しく縁のなかった感覚を呼び起こしてくる。

 体から力が抜けていく。拒むどころか、もっとこの身を堕として欲しいと強請りたい衝動が込み上げてくる。

 どれだけ抑えていても体は抗えず、わずかに腰を揺らしてしまう。
 身悶える俺を間近で見つめながらミカルは熱い吐息を漏らす。

「良かったです、感じて下さっているようで……ここも、こんなに熱くなって……」

 下穿きに手を滑り込ませ、直接長い指で俺の昂りを握り込んでくる。感じてたまるかと意地を張りたくても、一度覚えてしまった快感の味には逆らえない。

 緩やかに手を上下されると、何もかもが白く弾け、体が快楽に屈していく。
 こんなにも呆気なく、望まぬ肉欲に呑まれていくものなのかと、自分で自分が信じられない。

 少しでもこの感覚から逃れたくて、俺は頭を振り乱しながら敷布を掻く。
 そんな俺の葛藤も、ミカルを喜ばせるだけだった。

「一度楽にしてあげますね。どうか我慢せず、私に流されて――」
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