68 / 82
四章 そして彼は愛を知る
●奪い奪われる喜び
しおりを挟む
すぐに部屋の隅にある寝台へ俺を座らせると、ミカルは首を傾け、俺の頭を抱き寄せながら飢えた牙を導く。
「どうぞ、いつでも口にして下さい。私はカナイのすべてを捕らえますから、貴方も私を好きなだけ堕として下さい……永遠に、囚われたい」
なんて言葉だ。
俺へ理不尽になれと告げているようで、顔が緩みそうになる。
他の誰かに奪われることを覚え、嫌悪しながら生きてきた男が、俺にだけ奪うことを許す。
それがどれだけ特別なことか、俺には痛いほどよく分かる。
だから俺もミカルに奪われてもいい、と心の底から思う。
ついさっき唇で味わった極上の甘露を思い出しながら、俺はミカルの首へ牙を刺す。
――場所が違うせいだろうか。血の味がより濃く感じる。
甘みもバラの香りもより強まり、吸うほどに俺の中を駆け巡り、その香りを俺も宿してしまいそうなほどの濃さだ。
しかし不快ではない。むしろ心地良く酔いしれる。
魔の者にとって毒であり、弱体化を促すはずのバラの香気を取り込んでいるというのに、むしろ体に力がみなぎっていく。
いつもより飢えているはずなのに、少量の吸血で満たされてしまった。
そして口は血の糧よりもミカルの唇を欲し、衝動のまま口づけを交わす。
こんなに簡単に、好きなだけミカルを奪える。
我を失いながら唇を貪る俺の肌を、ミカルは緩やかに撫で回して煽り続ける。
もっと激しく扱って欲しいのに優しいままで、快楽を覚えながらも心が恨めしさを抱いてしまう。
口で言うのは恥ずかしくて、俺はもう一度ミカルの首に甘くかじりつき、本能を剥き出しにした熱くそそり立つものへ手を運ぶ。
軽く握って先端を親指で弄ってやれば、「ぅ……」とミカルが悩ましげに唸り、ビクンッと体を跳ねさせる。
俺で感じてくれる手応えに胸が躍ってしまう。
こんなに俺から奪われて喜ぶなんて――もっと奪ってやりたい。何もかも俺だけで埋め尽くしてしまいたい。
奪うという行為に嫌悪し続けていたというのに。これほど奪うことが心地よく、嬉々と感じる日が来るなんて思いもしなかった。
昂る体と心のままに、俺の唇はあり得ないと思い続けていた言葉を自然に紡いでいた。
「ミカル……愛してる……」
唇の先を掠れ合わせながら伝えた俺からの告白に、ミカルが息を引く。
そして勢いよく俺の唇を喰らったかと思えば寝台へ押し倒し、本能のままに俺を貪り出した。
「あっ……ミカ、ル……ぅ……ッ……は……っ……」
俺の首筋や胸元のあちこちにミカルはきつく吸いつき、己の痕跡をしっかりと刻んでくる。
手は腰を弄り、双丘の谷間へ指を這わせ、中へ捻じ込めるかを確かめてくる。
「どうぞ、いつでも口にして下さい。私はカナイのすべてを捕らえますから、貴方も私を好きなだけ堕として下さい……永遠に、囚われたい」
なんて言葉だ。
俺へ理不尽になれと告げているようで、顔が緩みそうになる。
他の誰かに奪われることを覚え、嫌悪しながら生きてきた男が、俺にだけ奪うことを許す。
それがどれだけ特別なことか、俺には痛いほどよく分かる。
だから俺もミカルに奪われてもいい、と心の底から思う。
ついさっき唇で味わった極上の甘露を思い出しながら、俺はミカルの首へ牙を刺す。
――場所が違うせいだろうか。血の味がより濃く感じる。
甘みもバラの香りもより強まり、吸うほどに俺の中を駆け巡り、その香りを俺も宿してしまいそうなほどの濃さだ。
しかし不快ではない。むしろ心地良く酔いしれる。
魔の者にとって毒であり、弱体化を促すはずのバラの香気を取り込んでいるというのに、むしろ体に力がみなぎっていく。
いつもより飢えているはずなのに、少量の吸血で満たされてしまった。
そして口は血の糧よりもミカルの唇を欲し、衝動のまま口づけを交わす。
こんなに簡単に、好きなだけミカルを奪える。
我を失いながら唇を貪る俺の肌を、ミカルは緩やかに撫で回して煽り続ける。
もっと激しく扱って欲しいのに優しいままで、快楽を覚えながらも心が恨めしさを抱いてしまう。
口で言うのは恥ずかしくて、俺はもう一度ミカルの首に甘くかじりつき、本能を剥き出しにした熱くそそり立つものへ手を運ぶ。
軽く握って先端を親指で弄ってやれば、「ぅ……」とミカルが悩ましげに唸り、ビクンッと体を跳ねさせる。
俺で感じてくれる手応えに胸が躍ってしまう。
こんなに俺から奪われて喜ぶなんて――もっと奪ってやりたい。何もかも俺だけで埋め尽くしてしまいたい。
奪うという行為に嫌悪し続けていたというのに。これほど奪うことが心地よく、嬉々と感じる日が来るなんて思いもしなかった。
昂る体と心のままに、俺の唇はあり得ないと思い続けていた言葉を自然に紡いでいた。
「ミカル……愛してる……」
唇の先を掠れ合わせながら伝えた俺からの告白に、ミカルが息を引く。
そして勢いよく俺の唇を喰らったかと思えば寝台へ押し倒し、本能のままに俺を貪り出した。
「あっ……ミカ、ル……ぅ……ッ……は……っ……」
俺の首筋や胸元のあちこちにミカルはきつく吸いつき、己の痕跡をしっかりと刻んでくる。
手は腰を弄り、双丘の谷間へ指を這わせ、中へ捻じ込めるかを確かめてくる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
「大人扱いしていい?」〜純情当主、執務室で策士な従兄の『相性確認』にハメられる〜
中山(ほ)
BL
「ルイン、少し口開けてみて」
仕事終わりの静かな執務室。
差し入れの食事と、ポーションの瓶。
信頼していた従兄のトロンに誘われるまま、
ルインは「大人の相性確認」を始めることになる。
侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます
muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。
仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。
成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。
何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。
汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*本編完結しました
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる