神々の依頼、面倒なんですけどっ!

はなを

文字の大きさ
20 / 173
第1章 旅立つ

19.魔力ポーションを売りたいみたいです

しおりを挟む
クララの店を出たハジメはそのままオースティンの店に行きお客が誰も居なくなるのを見計らって魔力ポーションの話を切り出すことにした。

「オースティンさん、実は魔力ポーションが出来ちゃったんですが・・・」

てへっとつけると和やかになるだろうが、大人の男としてそれをするにはかなりの抵抗があったので恐縮した様子を醸し出しながら伝える。これは面倒なことは出来る上司に丸投げ作戦である。
そう言うとオースティンは慌ててハジメの口を右手で抑えそれ以上話さないように促した。

「ジェーン、すまないが店番を頼む」

「はい。わかりました」

とのジェーンの返事を聞くとキッチンへ案内した。

「本当ですか?魔力ポーションをどうやって・・・・」

一気に問い詰めるようにオースティンが話した。逆らってはいけない態度と目である。

「じ、実は、薬草を取るために森に入ったんですが、森の南から2時間ほど中央に向かって歩くと、池があるんです。その池のほとりやしろがあって、その周囲に生えてある魔素草を見つけたんです。ギルドの本には絵があったので魔素草とわかりました。絶滅したと書いてありましたがあったんです。だから根を残して採ってきて調合してみたら出来たです」

と告げ、出来た魔力ポーションをオースティンに見せた。裏庭で栽培していることはまだ言うのをやめた。

「なるほど。確かに、本物ですね。鑑定したら魔力ポーションと出ました・・・」

頭を抱えながら、

「今ハジメさんの店で売るのはかなり危険です。利益を独占できますが、色々な反感を買うことが簡単に想像できます。そうなると嫌がらせや最悪誘拐されることも考えられます。そのせいで商売をすることがなかなか難しくなるでしょう。ハジメさんは勿論、コウ君にも危険が及ぶことがあるでしょうし・・・・」

そんなにリスキーなのか・・・。コウに危険が及ぶのはダメだなぁ、売るのやめようかなぁとハジメは考え始めていた。するとオースティンが急に立ち上がり、ハジメの手をとり

「今から一緒に商人ギルドに行きましょう。ジェーン、商人ギルドに行ってくるから店番頼むっ」

と言い、ジェーンが「はい」と返事をするのを聞くと、ぐいぐいと引っ張って商人ギルドに連れていかれた。

商人ギルドに入ると到着したばかりの商人たちが地元の商人たちとコミュニケーションを取っていた。人が溢れんばかりにおり、その光景は朝の冒険者ギルドの様子に似ていた。オースティンは受付まで進むとそこに座っていた男性スタッフにエヴァを呼ぶように伝えた。受付の人が事務室内の階段を上がり10分程待つとエルフらしいエルフを連れて降りて来た。恐らくあの人物は偉い人なんだろうなぁとハジメが思っているとオースティンはその人物に向かい、

「ベスパさん。ちょっと話があるのです。エヴァさんと4人で。会議室お借りできませんか?」

と言う。

「かまいませんよ。オースティンさんが来るくらいですからよっぽどでしょう。ギルド長室にエヴァが待機してますよ・・・・。ところでこちらの方は?」

とベスパがハジメの顔を見た。ハジメがスマイルを浮かべようとしたときオースティンが割って入る。

「これからお話することのと言いますか・・・・」

と言った。元凶って・・・、とハジメはイジケたくなった。

「・・・そうですか・・・では私の後についてきてください」

とベスパは言い階段を上り始めた。

オースティンとハジメはベスパの後ろに付き添い歩いていた。オースティンはハジメに

「あの大勢の目がある中で、ギルド長に会いたいと希望し許可されるという状況は基本的にはないことなんです。それでハジメさんが名乗ってしまうと周囲の商人にハジメさんの名前が知れ渡りリスクが高まることが想像されるんです」

とハジメの自己紹介を遮った理由を伝えた。なるほどとハジメは思った。

3人は階段を上がり2階へと進み、一番奥の部屋と案内された。扉をベスパが開けるとそこに妙齢のエルフのような女性が座っていた。その女性は立ち上がりオースティンとハジメに椅子を勧めた。ベスパはその女性の横に立つ。女性が

「私がギルド長のエヴァと申します」

とハジメに向かい頭を下げたので慌ててハジメも自己紹介をして頭を下げた。モスグリーンの髪のエヴァはオースティンに向かい、

「何か話があるとか、あなたの事ですからのことなのでしょう?何があったのですか?」

問う。オースティンは

「こちらのハジメさんが魔力ポーションをました。恐らく彼の事ですから定期的な供給が可能だと思われます」

と言いエヴァの顔を見つめた。出来る大人がダイレクトに言ったことに驚きながらハジメもつられてギルド長の顔を見る。

「本当なのですか?魔力ポーションは私たちエルフの秘薬的な扱いでその製造方法を知るのは人間では極々一部のみと聞いているのですが。製造方法を知っていても薬草自体が人間が住む土地には少なんですが・・・」

と疑うような口調で言った。オースティンがアイコンタクトをしてくるのでアイテムボックスから魔力ポーションの入った調剤瓶を出した。エヴァは調剤瓶を手に取り観察している。

「・・・・舐めてもいいですか?」

とエヴァが言うと

「私が舐めます。貴方はギルド長なのですよ」

とベスパが瓶を取り上げる。ハジメが頷くとベスパが小皿を出してきたのでそこに魔力ポーションを注いだ。ベスパはそれを口に入れると驚愕の表情と安心するかのような複雑な表情を作り、エヴァにその皿を渡した。そしてそれを一口飲んだ彼女は

「こ、これは本当に魔力ポーションですね。品質も申し分ないです。魔素草はどうやって確保したんでしょうか?」

とエヴァは初めてハジメをまじまじと見つめた。ハジメはオースティンに説明した内容を再度話す。

「魔素草はこの街の近くに森の中にある池のほとりやしろの周りに生えていましたよ。8株残していますのでそのうちまた増えるのではないかと」

「ナハル様の祠の周囲ですか。ベスパ、調査の人材を冒険者ギルドに依頼して確認をしてもらうようにして。絶対採取しないように厳命して。信頼できる冒険者がいいわ。出来れば指名依頼がいいかしら。≪暁の騎士≫が居ればいいのだけれど・・・」

とエヴァが言うとベスパはすぐに部屋を出て行った。

「それで私に話があると言っていたのはその販売経路というところですか?オースティン様」

と言った。オースティンは頷き

「このままハジメさんの店で販売すると騒動になるでしょうし、やからが騒ぐことが想像されますから。ハジメさんは今12歳の奴隷を育てていますし、教育上良くはないでしょう」

と話す。

「ふふふ、奴隷に優しいのは相変わらずですね、オースティン様。でも残念ながらそうでしょう。柄の悪い商人も居ますし、奴隷をさらったりハジメ様を拷問したり取り込んだりする者も出てくるでしょう・・・・分かりました」

とエヴァは話しハジメの方に体ごと向けた。

「ハジメ様今魔力ポーションは1個39万S程度で売られています。これから商人ギルドがポーションの供給が落ち着くまで35万Sで買取をします。それを商人ギルドが38万Sで売り出します。その後少しずつ価格を下げ、価格が1万Sを切ったらハジメ様の店で売っても問題はないかと思います。ハジメ様今魔力ポーションをどれくらい納品できますか?定期的に納品できますか?」

と言う。

「今すぐと言う訳にはいきません。販売用の瓶がないので。来週には200本程はお渡しできると思いますが・・・。それ以降10日毎なら定期的に納品できると思います。卸しているのを見られるとまずいことは分かりましたので、アイテムボックスを使ってベスパさんかエヴァさんにお渡しすることでいいでしょうか?」

とエヴァの問いに答える。

「10日毎が可能なのですか・・・・。分かりました。それでお願いします。あなたが来れば私かベスパを呼ぶように職員には徹底しておきます。では半月に1回ポーション瓶100本分を買い取ることにします。いきなりポーションが多量に出ると市場が混乱するので流通量は私がコントロールします。何より定期的に提供できるというのが有難い。この街で魔力ポーション不足というのが大きな問題の1つでしたから」

と笑顔を作った。

「それにしてもオースティン様。この街の問題をこうも簡単に解決してしまうとは。是非商人ギルドへ帰ってきてください」

とオースティンに言った。

「あはは。エヴァさんのギルド長姿も板についてきてますよ。それに老兵はただ去るのみです。困りごとなら聞くだけですができますので」

と笑った。

「もう、オースティン様。本当に帰ってきてもう一度ギルド長になって欲しいですよ。事務仕事が多くて私苦手です」

と笑いながら立ち上がった。

「え?オースティンさん前ギルド長だったんですか?」

とハジメは驚いた。

「あら、ハジメ様知らなかったんですか。そうなんです。冒険者ギルドを辞められた後、その手腕を買われて2年前にギルド引退するまで商人ギルド長をなさっていたんですよ。それで私にギルド長の座を押し付けて、自分の店でゆっくり過ごすとおっしゃって・・・。意思の強い方ですので戻ってこられないとは知っているんですが・・・」

と恨めしそうに話し合いは終了した。その後3人は1階に降り、2人に少し待って欲しいとエヴァは言い何かしら書類を記入した。記入が終わるとそれをハジメめに手渡し

「指名依頼です。半月に一度3時間私の第二秘書として働いていただく事にしました」

と話す。一般商人のハジメが半月に1度もベスパやエヴァと会うという行為は否応なしに目立ってしまう。そのため今日の面会は面接としハジメを雇ったという形をとった。給料は1時間1000Sで給料とポーション代金はギルドの口座に入れてもらうことにした。

ハンドブック 6項目目

6-8.商人ギルド長に会おう:Clear!

6-9.魔力ポーションを売ろう:Clear!
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生勇者が死ぬまで10000日

慶名 安
ファンタジー
ごく普通のフリーター・岩倉運命は謎の少年に刺され、命を落としてしまう。そんな岩倉運命だったが、サダメ・レールステンとして転生を果たす…

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。 敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。 結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。 だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。 「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」 謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。 少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。 これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。 【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】

ヤンデレ女神と征く開拓スローライフ。

山椒
ファンタジー
両親に、友達に、恋人に、嫁に裏切られ続けた男、神室千照は絶望して自ら命を絶った。 すべてが終わるという安堵感であったが次に目覚めた時には女神が目の前にいた。 千照のことをずっと見ていた女神、アマテラスは千照に異世界転生を提案する。 まだ人生に未練があった千照はそれを受け入れ、二度目の人生を送ることになる。 だが千照は知らなかった。千照にはとてつもない才能が秘められていることを。 千照は知らなかった。アマテラスがヤンデレであることを。 千照は知らなかった。彼を裏切らないものはとてつもない人格の持ち主であることを。

異世界異話 天使降臨

yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。 落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。 それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...